5,199文字
第一話 逸脱者の矜持
クリミナルボーダー 1st offence(Purple software) | |
ジャンル ―― 日常と常識の境界を引き裂く悪人円舞曲ADV | |
発売日 ―― 2022年10月28日 | |
パッケージ版価格 ―― 3,800円(税抜) ダウンロード版価格 ―― 3,800円(税込) | |
評価
評価 | おすすめ度 |
★★★★★ | |
満足度 | |
作品の紹介
今回は【クリミナルボーダー 1st offence】を紹介します。公式略称はないので、私は勝手に【クリボー】と呼んでいます。
クリボーと呼んだところで、人に伝わらないうえに、「は?」とゴミをみるような目をむけられること請け合いなので、使わないほうがいいかもしれません。
どんな人向け?
- ダークな系統のストーリー展開が好きな人
- 成り上がりを夢見る陰キャオタク
- 裏社会への好奇心がある人
- かずきふみ氏のテキストのファン
- さめまんまさんの描くムチムチBODYが好きな人
攻略情報など
プレイ時間
私のプレイ時間は、ボイスをだいたい聞いて5時間近いぐらいです。最初のエッチシーンまでは10分ほどかかりました。
攻略情報
選択肢は1ヵ所ありますが、とくに攻略には関係ありません。
システム
難易度 | 修正パッチ | シーンジャンプ機能 |
簡単 | なし | あり |
備考 | ||
- |
感想
どんなお話?
主人公の「 一 樹(にのまえ いつき)」は、陰キャのオタクです。
陳腐なMADムービー制作を趣味にしています。
彼は偶然「見るだけで強い性的興奮をともなう電子ドラッグムービー」をつくりだしました。
そのムービーの効果を試したくなった樹くん。
いったい誰に見せるのか?
グズだのノロマだの無能だの、さんざん罵ってきた女――幼なじみの凛にしよう。
彼女を呼びだし視聴してもらいます。
即堕ち2コマ展開みたいで笑えますね。
――そして話は意外な方向に。
動画の効果を実感した凛から、電子ドラッグビジネスをやらないかと持ちかけられるのです。
こうして樹は、自分とは縁がないはずだった裏社会へと、流されるままに身を投じることに……。
それでは、今作のメインヒロインを紹介します。
ひなは、誰とでも仲良くなれるタイプの人懐っこい少女。主人公=樹のクラスメイトです。樹のことを「いっきくん」と呼びます。
なぜ陰キャでオタクな主人公に優しくするのだろうか。なにか裏があるんじゃないのかと訝しみながらプレイしていましたが……
ただただ性格のいい天使でした。笑
すみませんでした。私が捻くれていました。人の好意を素直に受けとめられないクソ野郎でした。
反省しました。反省から大反省へ、そしてその大反省は「大猛省」へと昇華してまいりました (⌒,_ゝ⌒)
本作の特徴
配慮されまくっているダーク系
本作のティザーサイトが公開されたときに、エロゲ界隈がざわついたんですよ。
過去作の作風とはまったく違っていたからです。
しかし Purple software 代表の石川さんは「おかしな裏切り方はしてない」とおっしゃっていました。
実際はどうなのか!?
パパ活斡旋、極道、半グレなどの暗い単語がならんでいる作品ですが、実際にプレイしてみると、めちゃくちゃ多方面に配慮されているじゃありませんか。
むしろ配慮されすぎなレベルだったかもしれません。
まず、パパ活斡旋に手を出しているヒロインには、そうしなきゃならない理由が用意されています。
電子ドラッグムービーの上映会で、乱交に発展するのですが、SDイラストでコミカルに表現されていました。
正直、CLOCKUP 作品のようなダークさを期待していたので、これはいただけなかった。逆にいうと、あまり悪いことをしている感覚はないので、不快な展開が苦手な人なら嬉しい配慮でしょう。
実際には、売春の斡旋や、乱交パーティの主催など、バレたらテレビで報道されるレベルの悪事に手を染めているんですけどね……。笑
処占配慮もバツグンで、ヒロインは処女です。体を売っている攻略ヒロインはいないので安心してください。
ただ、どんなにコミカルに描かれているとは言え、ダークな系統の作品なので、人によっては胸糞悪く感じるかもしれません。
分割作品だが面白い……
本作から見えてくるストーリー展開としては、陰キャなオタクが、裏社会から手を引けなくなり、平穏な生活をとりもどすために力をつける――といった成り上がり系です。
最初は、地味でダサかった主人公が、徐々にカッコよくなっていく感覚があって素晴らしい。
初めから終わりまで、飽きることなく読み進めることができました。
そもそも私は、分割作品が大嫌いです。
しかし、Purple software というメーカーが好きだからこそ個別で買いました。
売れなければ完結もクソもないですからね。
本作に関しては、個別で買っても損はしません。
気になっているならば購入しちゃいましょう。
演出とUIが凝っている
さすがは紫作品というべきか、演出面はやはり目を見張るものがありますね。
以下、電子ドラッグムービーなんですが、ちゃんとモニター内がアニメーションのようになっています。
UIに関しては、作風に合っていて、近代的なデジタル画面になっています。
以下、バックログ画面をひらいたときの挙動です。
エッチシーンについて
卑語あり。ピー音なし。陰毛あり。アナルモザイクなし。
キメセク
本作のヒロインであるひなのエッチシーンの半分はキメセクです。
と言っても、白目をむいたり、痙攣したり、吐瀉したり、泡を吹くワケでありません。
我を忘れて獣のように、貪るように、積極的にセックスをする感じです。
喘ぎ声がメインで、隠語実況はなし。
こういうナチュラル(と言っていいのか分からないけど)なセックスが好きな人もいるでしょう。しかし私は、もっとファンタジックな、卑語マシマシな、いかにもエロゲだというエッチシーンのほうが好きです。
ナチュラルなセックスなんて、現実の女とも行うことは可能です。エロゲっぽい言語センスは、エロゲでしか体験できませんから。
差分の使い方がGOOD
さめまんまさんの描くムチムチBODYが最高なのですが、立ちバックのシーンでは、ケツのドアップのアングルが用意されていて素晴らしかった。
しかも、差分を細かく切り替えているんですよ。
これは、抜きゲーメーカーでは見られる手法ですけれど、非抜きゲーにおいては珍しいかもしれません。
その他
かずきふみ氏といえば
男のゲップは聞きたくねぇ……ってのは置いといて、この展開はいかにも、かずきふみ氏っぽい感じがしました。
というのも過去に、氏のYouTube動画をいくつか見たことがあるのですが、炭酸水を飲んでから撮影をはじめて、謎のゲップ中断タイムが入る展開をチラホラ見かけましたから。
ぜってぇー自分をネタにしているよ。
全然おいしくない
凛が、電子ドラッグビジネスの報酬の取り分は「8:2」だと提案してきて、この時は妥当だなぁと思ったんですが、振りかえってみると妥当じゃなかったですね。
8割のなかから主人公は、上映場所のみかじめ料と、もう1人の協力者への報酬を支払ううえに、乱交パーティーの主催者になるリスクをおう。あまりにも割に合いません。
完全にハメられましたね。
ハメられるよりもハメたいです……。
まとめ
ココがイマイチ
- 分割作品
- 続きが気になるところで終わる
- ナチュラルな描写?のセックスシーン
- ダークなシーンがコミカルに描かれている
- 主人公のルックスが「THEオタク」
ココがおすすめ
- メーカーファンへの配慮が徹底されている
- 多数の魅力的な登場キャラクター
- 続きの気になるストーリー展開
- 平易で読みやすいテキスト描写
- Hシーンの差分の使い方が上手
- 演出やUIが優れている
- アングラな題材
- ひなが可愛い
こうしてツラツラと感想記事を書きましたが、一言であらわすと「面白かった」です。
簡単な言葉でまとめたら、ここまで文章を書いた労力はなんだったんだと思わなくもないですが、あなたと本作との橋渡し役になれたのなら幸いです。
分割作品ですが、ここからポシャることはないだろうと思うぐらいには、続編にも期待がもてる作品でした。
ダウンロード版
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