【クリミナルボーダー life sentence】のパッケージイラスト

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【クリミナルボーダー life sentence】の感想

古城

4,866文字

最終巻 光の中を一人歩むより闇の中を君と

クリミナルボーダー life sentencePurple software
【クリミナルボーダー life sentence】のパッケージイラストゲーム属性:シナリオゲー
ジャンル ―― 日常と常識の境界ボーダーを引き裂く悪人円舞曲ハスラーワルツADV
発売日  ―― 2024年05月31日
パッケージ版価格  ―― 9,800円(税込10,780円)
ダウンロード版価格 ―― 8,800円(税込9,680円)
スタッフ
シナリオかずきふみ
原画さめまんま
SD原画CHIHIRO
主題歌 ―― Life Initialization(Vo. 橋本みゆき)
あらすじ

NEST、その巣を手に入れて樹が得たもの、失ったもの―――

強敵・東雲を破った樹達のビジネスは順調に回っていた。
紆余曲折の末に生み出された『レイヴ』は莫大な利益を生み、
今や裏社会で樹達を、樹達が運営する『NEST』を知らない者はいなくなっていた。

しかしそこにまとわりつく違和感、そして大切なものを失った焦燥、純粋な怒り。
今や樹と親友・萬屋辰也の眼には、湧き上がる金も地位も映っていない。
雨紋会・勅使河原吾郎の命を奪う、それだけしか見えていなかった。

ともすれば自分の命を事もなげに投げ出そうとする樹。
その危うい様子を心配するビジネスパートナーであり、幼馴染の春夏冬凛。

そして樹達に接近するマフィア組織幹部ルカの影。

生か死か、光か影か、復讐かそれとも―――
犯罪境界線上<クリミナルボーダー>で踊り狂う最後の円舞曲<ハスラーワルツ>が、ついに幕を開く。

――公式サイトより引用

評価

評価おすすめ度
【クリミナルボーダー life sentence】の評価★★★☆☆
満足度
満足度77点

作品の紹介

今回は【クリミナルボーダー life sentence】を紹介します。

読み物としては面白かったですし、練られたストーリー展開だと思いました。が、好みから外れた部分もありましたね。詳しくは全てネタバレ感想にて語りますので、既プレイ者はご覧くださいませ。

【クリミナルボーダー 1st offence】のパッケージイラスト
【クリミナルボーダー 1st offence】の感想

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未プレイの方は、1作目の感想記事を参考にしていただければ幸いです。

【クリミナルボーダー life sentence】のパッケージ画像

私が所持しているのはパッケージ版です。

攻略情報など

プレイ時間

私のプレイ時間は、ボイスをだいたい聞いて4時間半ほどです。最初のエッチシーンまでは1時間半ぐらいかかりました。

 

攻略情報

選択肢はありません。

 

 Hシーン

卑語なし。ピー音なし。アナルモザイクなし。

 

システム

難易度修正パッチバックログジャンプ
簡単なしあり
備考

感想

  • 以下ネタバレを含みます。プレイ後の閲覧を推奨します。
  • 配信ガイドラインに則って、スクリーンショットを掲載します。

大人たちに導かれる物語

本作に登場する大人は、ろくでもない人物がおおい。

ひなや辰也の親は、多額の借金を子供にせおわせる形になりました。樹の母親も、息子をノイローゼ気味になるまで追い込んだうえに、息子がどこで何をしていようが無関心でした。ヤクザ連中にも立派だといえる人物はいないでしょう。

 

10代の少年少女ティーンエイジャーは、まだ視野がせまく、自分の視点から見えているものが世界のすべてだと思ってしまうフシがある。

大人による導き、失敗による学び、人との関わりによって視界が広がっていくのです。

本作の主要人物である樹たちには、導いてくれる大人などいませんでした。そのせいで、どんどんと泥沼にハマっていくことになったのです。

復讐に凝り固まった彼らの考えにメスをいれたのは、とある人物でした。

東海林「若いときってさ、これしかないって思っちゃうんだよね。ボクもそうだったし……わかるんだ」

本作のメインヒロインである東海林先生。

「どうしても……ちょっとねぇ……。若い子が破滅に向かっていくのは……抵抗があるよ」

~中略~

「若いときってさ、これしかないって思っちゃうんだよね。ボクもそうだったし……わかるんだ」

「でも意外とね、道っていっぱいあるんだ。探してみると、別の道が見つかるんだよね」

~中略~

「他の道もちゃんとあるよってことと、僕は味方だよってこと、忘れないでね」

凛「さっきの先生の言葉……、少し、響いた」

凛「破滅しない、誰も死なない。そういうベストな復讐」

凛は、東海林先生の言葉に心を動かされて、破滅しないベストな道はないのかと模索しはじめます。

 

もう1人、ルカさんについても言及しなければなりませぬ。

ルカ「私はね、ハッピーエンドが好きなんだ」

ルカさんは樹に、ハッピーエンドが好きであること、懸命な選択をしてほしいこと、導いてくれる大人が必要であることを説いています。

そもそも彼女は、メリルに関しても、組織に縛り続けるつもりはなく、自由に生きてほしいと願っていました。

私は、ルカさんこそが樹たちを導いたのではないかと考えます。

樹たちは、大人の都合によって巻き込まれただけの被害者です。けれども、人を殺すなどの罪を背負ってしまっている。

だからこそ、彼らに重すぎる試練をあたえ、痛みや悲しみを抱えたまま生きることを強いたのです。

裏社会にドップリと浸かってしまった少年たちを導くには、こういう方法しかなかったのかもしれませんね。

 

ルカ「いっそ、火をつけてしまおう。火種のすべてを、なにもかも燃やしてしまおう」

話は逸れますが、画像の発言をみて『ARMORED CORE Ⅵ』のキャッチコピーを思い出しました。

火を点けろ、燃え残った全てに

 

―― 閑話休題 ――

 

辰也「オレが、お前を売った」

さて、本作が大きい転換点をむかえたのは、辰也が樹を裏切る展開からでしょう。

 

凛「……大丈夫だから。すぐ終わらせるからね」

捕まってしまった樹と凛が、どんどんと消耗していく展開には、ただひたすら胸が痛くなりました。

懸命に樹を支えようとする凛の姿には、グッとくるものがありましたね。

 

 

琴子「お父様は……お父さんは、わたしが頭角を現すのが怖かったんですよね?」

私が凄いなと思ったのは、声優の桃山いおんさんの迫真の演技。

琴子がお父さんのことを糾弾するシーンです。

あまりにも悲痛に叫ぶようなセリフの数々には、真に迫るものを感じました。

琴子は、最後の最後まで、自分の父親を信じたい気持ちがあったのでしょう。

 

辰也「ガキだと思って……ナメてたろ?」

裏切ったかと思われたていた辰也が、勅使河原吾郎にとどめをさすシーンも印象的でした。

メリル、琴子、辰也と、全員がバトンをつなぐようにしてここまで漕ぎ着けたわけですから。

 

 

場面はきりかわり、樹たちのシーン。

樹「凛の罪は、全部僕がもっていく」

完全にラリってしまったかのように見えた樹は、逆転のチャンスがくるときを信じて演技しつづけていたのです。

凛が犯されてしまうか否かのタイミングで、敵役であるを男を銃殺します。

まさに主人公らしい活躍だといえる逆転劇で、樹くんが最高に輝いていたシーンでしょう。

その後の、凛にたいするセリフのすべてが胸に響く。

特に「凛の罪は、全部僕がもっていく」という発言にはカッコよさを感じました。

清々しさを感じる横顔と、凛の頬へ優しく手を添えるCGがありまにも尊い。

私が作中で1番好きなのは、これらの一連のシーンでした。

 

 

1人、生き延びることになった凛。

夏が終わり、秋を越えて、冬が到来するも、彼女はずっと過去に囚われたままでした。

そんななか、メリルから連絡が入ります。

メリル「明日のおやつはチョコケーキにする」

内容は、「明日のおやつはチョコケーキにする」というもの。凛と樹しか分からない暗号が伝えられたのです。

2人が捕まってシャブ漬けにされていたときに交わした会話が、ここで暗号として使われるのはオシャレでしたね。

そのままエンディングに突入します。

エンディングでは、凛が電子ドラッグの動画を削除したあとに、前へ向かって歩きだす描写がなされている。

動画を削除しますか?

すべてのしがらみから解放されて、未来へと歩みはじめることができたのでしょう。

たいする樹のほうも、復讐を成し遂げて、過去を捨てて生きていくことになり、全てから解放されたんだと思います。

そんな凛と樹の2人が再開したときに、お互いにどんな感情を抱くのだろうと夢想しながら物語を読み終えました。

【クリミナルボーダー life sentence】クリア後のタイトル画面

エピローグを終えると、タイトル画面が変更されます。

今まではずっと、どんよりとした雰囲気だった本作が、晴れわたる青空の画像で〆られたことは興味深いですね。

 

上記のとおり、序盤から結末を明示するようなシーンがちらほらありましたし、東海林先生によって別の生き方もあるということを示唆してもらい、ルカさんによって強引ながらも導いてもらいました。

つまり、唐突なハッピーエンドでもなければ、ご都合主義展開でもないと思っています。

合わなかったところ

1.マフィアが勢力を拡大したのが気に食わない

海外マフィアが日本でデケェ顔してのさばっているのは気に食わねぇんだよな。

上の画像は【クリミナルボーダー 3rd offence】の感想記事に書いたものです。

私は、海外マフィアが日本にのさばっている状態を好ましく思っていなかったんですよ。

仮に、あなたが一軒家を所持しているとしましょう。家のあちこちがシロアリによって食い荒らされていることを知ったまま放置できますか。あるいは、屋根裏が雨漏りしたことにより腐敗していたら放置できますか。目に見えないところに膿が溜まっているような感覚が苦手なのです。

現実でも、統一教会の息のかかった国会議員がいたりと、膿はそこらじゅうに溜まっているんですけどね。せめてフィクションの世界だけでも清浄な状態を味わいたい。

 

2.ぽっと出のキャラをぬっころしてもカタルシスはない

ブラッド

ルカさんの後ろに控えていたコイツが、ひなを殺した実行犯ですと急に言われても、殺したところで何のカタルシスもありませんでした。

 

3.シャブ漬けからの復帰

大麻などならまだしも、シャブは、身体的ダメージ、精神的ダメージ、離脱症状、依存性が桁違いにヤバいですので。

薬物依存からの回復には、専門的な治療と長期的なサポートが不可欠でしょう。

 

4.分割商法

選択肢によるルート分岐が見たかった。さらに、3巻目でハードルがめちゃくちゃ高まったまま放置されていなけらば、もっともっと評判が良くなったと思うんですよね。つまり、今作においては分割商法が合っていなかったんじゃないかと思います。フルプライス作品を1本買うよりも割高になってしまいますしね。

 

5.Hシーン

私は、エッチシーンにはリアリティよりもファンタジーを求めています。卑語マシマシな2次元でしか味わえないようなシーンのほうが好みです。

 

6.恋愛描写

結局のところ私が求めているのはボーイ・ミーツ・ガールなんですよ。

ベタでもいいから、少年と少女の恋愛模様がみたいのです。

その点本作では、凛が同性愛者かもしれないだとか、樹とエッチをしても何も感じなかっただとか、恋愛を匂わせない作りになっていました。

絶望した!!

もし仮に凛が、樹にたいする贖罪の気持ちではなく、つよい好意から行動を起こしていたとしましょう。そしたら、シャブ漬けになった樹を甲斐甲斐しく世話を焼いているシーンはいじらしく見えたはず。樹と凛のお別れのシーンは切なさが増しているように感じたはず。再開を示唆したエンディングはロマンチックに思えたはず。

もちろん、安易な恋愛感情じゃないからこそ良いという意見があるのは承知の上です。しかし、私の好みからは外れていたかなぁと。

まとめ

前述したとおり、読み物としては面白かったですし、練られたストーリー展開だと思いました。しかし、好みから外れた部分もありましたね。

ただ、めちゃくちゃ熱中できたので、素晴らしい作品だったと思っています。

3巻目のときの盛り上がりをリアルタイムで経験できたのも楽しかったですね。

パッケージ版

ダウンロード版

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