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純白の源氏か!? 真紅の平家か!?
ここに800年の時を超えて純白と真紅の軍団が雌雄を決する!
源平繚乱絵巻 ‐GIKEI-(インレ) | |
ジャンル ―― 平安剛勇列伝 | |
発売日 ―― 2021年03月26日 | |
パッケージ版価格 ―― 9,800円(税抜) ダウンロード版価格 ―― 9,680円(税込) | |
評価
評価 | おすすめ度 |
★★★★☆ | |
満足度 | |
作品の紹介
今回は【源平繚乱絵巻 -GIKEI-】を紹介します。
平安時代の末期、「源平合戦」をテーマにした歴史モノのエロゲーです。
普段、竿を握っているだけのオタクも、GIKEIをプレイして手に汗握りましょう。
ハラハラドキドキする展開や、ときに泣けるシーンがあなたを待っています。
どんな人向け?
- インレのファン
- 歴史モノの作品が好きな人
- ボリュームのある作品を求めている人
- ときに熱くなり、ときに泣けるストーリー展開を求めている人
- 史実通りの展開と、オリジナルの展開のどちらも見たい人
攻略情報など
プレイ時間
私のプレイ時間は、ボイスをだいたい聞いて39時間ぐらいかかりました。最初のエッチシーンまでは19時間ほどです。
攻略
一本道です。
システム
バックログ画面からのシーンジャンプ機能あり。
感想
どんなお話?
修学旅行で京都へきていた主人公の世志常と、妹の楼子と、幼なじみの紫都香。
彼ら3人が鞍馬寺の金堂で、約850年前の平安時代にタイムリープしてしまいます。
そして妹の楼子が平家にとらわれることに……。
世志常が源義経になりかわり、紫都香の知恵をかりつつ平家を倒し、楼子を奪還するべく奮闘するお話です。
ここが好きだよGIKEI
史実の流れを追った展開は面白い
※「史実の流れを追う」は語弊があるかもしれないので補足すると、「今日に伝わる源義経にまつわるストーリー」を追った展開のことです。たとえば義経は、神がかった勇気と発想力による活躍を描かれがちですが、実際には周到な用意をして合理的な戦略を用いたとされています。
有名なエピソードである五条大橋での弁慶との出会や、一ノ谷の戦い、屋島の戦い、壇ノ浦の戦いなどなど、流れを知っていたとしても面白い!
五条大橋で源義経と武蔵坊弁慶が出会うシーンの浮世絵を再現したイベントCGがドチャクソカッコいい。
突飛な発想と奇襲により不利な戦況をくつがえすシーンでは気持ちがたかぶり、不当な扱いをうけるシーンでは悲しい気持ちになり、悲願を達成すれば嬉しい気持ちになる。
GIKEIをプレイすることにより、登場人物と一緒にさまざまな感情を味わうことができるのです。
義経を慕う郎党
世志常は、無茶な指示をすることもあれば、苦境に立たされることも多いのですが、郎党(従者)は文句をいわずに付き従います。どんな場面でも世志常のことを信じ、力を貸してくれるのです。
世志常が、なぜここまで誠心誠意つくしてくれるのかを問うたときの返答が印象的でした。
【弁慶】
「いいか? オレたちが御曹司に尽くすのは……」
【弁慶】
「夢だ」
【紫都香】
「夢……?」
【弁慶】
「そうだ。たしかにオレさまほどの強さを持ってたら、豪族の家臣になれるだろうな。そうなったら、褒美も思いのままだろうよ」
【弁慶】
「されどな……褒美はもらえても、夢はもらえねぇんだよ」
弁慶は「一緒にいると面白ぇんだよ」と続けて語ります。
世志常は弁慶たちに「夢」を与えている。郎党は一緒に夢をみるために、夢を叶えるために付き従います。
たとえば他の人物は、従者に裏切られるシーンもあるのですが、世志常の郎党はつねに彼に付いていきます。
その関係性の良さがマジで泣ける。
夢かぁ……いいよな夢。
あ、もし夢をみたい女性がいましたらご連絡ください。いい夢見せますよ?
とか私が言っても、ただの胡散臭いやつになってしまう。
大胆な解釈
【楼子】
「ううん……歴史を知らないことは恥ずかしいことじゃないよ。知らなければ、知ればいいだけだから」
【楼子】
「大事なのは、知ってから考えることだと思う。歴史を丸暗記して信じるだけだと、本当の歴史は見えてこない」
【楼子】
「私は歴史は暗記するものじゃなく、考えることだと思ってる。だから歴史が好きだし、楽しいの」
歴女である楼子が語っていたこの内容ですが、これこそがライターの葉山こよーてさんの哲学なんだろうと思いました。
たとえば藤原泰衡さんは、歴史的に評価が低くて不当な扱いをされることも多いのですが、実際はそうじゃないという見方もあります。
女体化したことにより、一途でちょっとヤンデレが入っているようなキャラクター属性を得て、彼女ならそういう行動も取るだろうな~という納得感があって、葉山こよーてさんの大胆な解釈が素晴らしいなと関心しました。いやこれはガチで凄い。
演出が相変わらず良い
インレ作品といえば、演出に凝っていることが特徴的なのですが、今作でもまた新たな試みがありました。
今までも一人称視点、二人称視点、三人称視点をつかうことがあったのですが、今作ではさらにサードパーソン……FPSのような第三者視点もつかわれていました。
また、トリッキーな動きをする世志常を視覚的にわかりやすく表現するために、差分をつかい残像をえがく気遣いをされていました。
システムが快適に
今作ではバックログ画面からのシーンジャンプ機能が搭載されました。
過去作での不満点としてあげていたシステム面がすべて改善されていたのです。
さらにはスクショ機能や、お気に入りボイス登録、マウスジェスチャーなど、プラスアルファのシステムも採用されています。
作品を出すたびに改良されていくインレ作品……最強すぎか!?
エッチシーンについて
卑語あり。ピー音なし。アナルモザイクなし。
正直エッチシーン数は少ないのですが、なんと今作ではピー音なしの卑語がつかわれています。
フェラシーンでは、エッチシーンの薄いゲームにありがちな「舌をペロッと出しているだけのCG」ではなく、しっかりと咥えていました(しいて言うなら口元にモザイクがかかっていなければもっと良かったのですが)。
かなりエッチシーンのポテンシャルが上がってきているので、インレのこれからの作品が楽しみです。
エッチシーンの数が少ないのは残念でしたが、定期的にサービスシーンが入っているので、エロゲとしてのメリハリは良く出せていたと思います。
あと、ヒロインの性器付近にホクロをつける、そのフェティッシュなコダワリはマジで素晴らしいw
ここが惜しいよGIKEI
アクロバティックな戦闘をもっと
主人公は体操をやっていて、めちゃくちゃ身体能力が高いのですが、その身体能力を活かした戦闘が、序盤のトラや弁慶と戦ったシーン以外では、ほとんど出てきません。演出が活かされていたのもそういうシーンです。もっと主人公が積極的に戦うシーンを見たかったのが正直なところです。
2章の終わりと3章の展開
2章の終わりと3章の展開は、私の求めていた方向性と違いました。
お前らがMIBUROの感想で「インレ式ハッピーエンドを頼む」だとか「史実をなぞっただけだった」とか言ったからだろ……。あれこそ私の理想だったのに。
どうせノベル系アドベンチャーゲームをつくるなら、その特性を活かして選択肢をつかい「歴史のIFストーリー」を見せてくれたほうが私の好みには合っています。
テキストのテンポ
これは長所でもあるのですが、GIKEIでは雑学やウンチクが散りばめられています。
いろんな知識を得ることができて楽しいのですが、いささかテンポを悪くしている部分があるように感じました。
主人公に関して
エッチな展開になったとき、急にドギツイ下ネタが入ります。それ自体はいいのですが、「お前ホントに学生か?」と聞きたくなるようなオヤジギャグを連発するので、人によっては引くかもしれません。
ですが、今作ではマジメなシーンが多かったので、これはこれで清涼剤になっていましたし、場面によっては笑えたのでアリです。
主人公の活躍に関して
主人公の活躍に関して、「史実のとおりに動いているだけだった」と言ってディスっている人がいますが、それに関しては真っ向から否定させていただきます。
たとえば、スティーブ・ジョブズの自伝を読んでそのとおりに行動して、同じような結果を出せるのか。ビル・ゲイツの自伝を読んでそのとおりに行動したら億万長者になれるのか。おそらく可能性は0に近いんじゃないでしょうか。
つまり、その人に能力があって、運があって、周りの人に恵まれでもしない限りは、同じ行動をしても同じ結果は得られないのです。
世志常本人も、源義経の行動をマネているだけだと悲観するシーンがあるのですが、紫都香は「それは世志常自身の頑張りのおかげだ」と諭しています。
そもそも、義経がそうしたからといって、崖を駆け下りるような決断がでしょうか?
周りの人間も、世志常の人柄に惹かれて、彼を手助けしたのです。
また、何かあったときの指示出しの早さがものすごい。まさに源氏の嫡流としての器が備わっていたかと。
Favorite scene
※未プレイ者は見ないことを勧めます。
まとめ
ココがイマイチ
- テンポが悪い部分があった
- 2章終わりからの展開が合わなかった
- 攻略できない魅力的なサブヒロイン
- エッチシーンが少ない
ココがおすすめ
- 過去作に比べてシステム面が快適になっている
- エッチシーンに卑語が追加された
- ハーレムチックな展開
- 魅力的なキャラが多数いる
- さまざまな雑学を知ることができる
- ときに泣けて、ときに手に汗握るストーリー
作品を制作するごとに、さまざまな進化が見られるインレですが、今作GIKEIではシステム面が改良され、快適にプレイできるようになっています。
歴史に興味がある方もない方も、奮ってプレイしましょう。
世間に怯え、社会に怯えて震えているそこのあなたも、インレ作品をプレイして心震わせましょう。
ダウンロード版
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