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夏のはじまり。僕は光を失った。
H2O √ after and another Complete Story Edition(枕) | |
ジャンル ―― ノベルアドベンチャー(18禁) | |
発売日 ―― 2009年07月31日 | |
パッケージ版価格 ―― 8,800円(税抜) ダウンロード版価格 ―― 3,980円(税込) | |
評価
評価 | おすすめ度 |
★★★☆☆ | |
満足度 | |
作品の紹介
今回は【H2O √ after and another Complete Story Edition】を紹介します。
この作品は、アニメ化した人気作である【H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-】と、外伝の【√ after and another】をまとめたコンプリート版です。
H2Oというタイトルの由来は、ヒロインである「はやみ、ひなた、音羽」の頭文字をとったもの。また本作のテーマのメタファーである「『水』の化学式 = H₂O 」の意味合いもあります。
どんな人向け?
- 社会の圧力に屈しない高潔な精神を育みたい人
- イジメ問題などちょっぴり重い題材を求めている人
- 結ばれた「その後」のエピソードが好きな人
- ボリュームのある作品を求めている人
- キャラクターデザインに惹かれた人
攻略情報など
プレイ時間
私のプレイ時間は、ボイスをだいたい聞いて32時間ほどです。最初のエッチシーンまでの時間は、攻略順によって変わります。おそらく早くて7時間。遅くて14時間ぐらいかかるでしょう。
攻略情報
もともと無印は攻略順固定でした。なので推奨攻略順は『はやみ→ひなた→はまじ→ゆい→音羽』だと思います。ヒロインのなかでも「はやみ」が好きな私としては『ゆい→はまじ→ひなた→はやみ→音羽』もアリだと考えます。
Hシーン
卑語あり。ピー音あり。アナルモザイクあり。
システム
難易度 | 修正パッチ | シーンジャンプ機能 |
普通 | あり | なし |
備考 | ||
- |
感想
どんな作品?
あらすじ
主人公の弘瀬琢磨は、先天性の奇病を患っていて、目が見えない少年です。
そんな彼が田舎へ越してきて、そこで出会った少女たちとの交流を経て、孤独を克服するお話。
サクラノ詩との繋がり
ノベルアドベンチャー
【サクラノ詩】との関連性があると聞いて、【H2O】をプレイするべきか迷っている人もいるでしょうからお答えします。
サクラノ詩のキャラクターが、H2Oに少しだけ登場します。また、H2Oの主人公が、サクラノ詩のサブキャラクターとして登場します。知らなくてもストーリーの理解には支障ないです。
つまりH2Oは、プレイ必須ではありません。
しかし、共通のキャラクターがでてくるので、事前にプレイしておくとニヤリとできるでしょう。どちらもプレイするつもりがあるならH2Oからどうぞ。
単品で買うべきかどうか
本編
外伝
この記事で紹介しているのはコンプリート版です。
コンプリート版にて削られた要素は、無印からはスタッフコメント、外伝からはトランプゲームです。
逆に、コンプリート版にて足された要素は、ところどころCGを追加しているのと、本編と外伝の齟齬を少なくするため、いくらか加筆修正されています。
どちらを選んでも大丈夫です。
まとめてあったほうが楽だとか、多少なりとも整合性をとってほしいだとか、余分な要素はいらない人はコンプリート版。ちょっとしたオフザケを見たい人は単品買いって感じっすね。
人を選ぶ要素
「田舎の因習」と「家柄の問題」
まず1つ目の「田舎の因習」について。
本作では「イジメ問題」が描かれています。
個人間のイジメというよりは、村同士の対立をもとにした、村ぐるみのイジメです。
都会の人がイメージするような田舎の陰湿な部分を、これでもかと濃縮して煮詰めて煮こごりにしたような作品なのです。
人によっては面白さよりも不快さが上回ってしまう。
ですが、イジメられても折れぬ姿や、自分のことを顧みずに他人を気づかう高潔な精神、あるいは、圧力に屈さずに友達を助けるシーンなどなど、
イジメに抗う姿の美しさが描かれています。
そして2つ目の「家柄の問題」について。
これは「〇〇家の人間として生まれたからには、〇〇をしなければならない」みたいな、親の敷いたレールを歩かなければならないことに起因するシリアスシーンのこと。こちらもだいぶ好みの分かれる要素でしょう。
暴力ヒロインのオンパレード
昔は多かったですが、今は減ってきている「暴力ヒロイン」。
H2Oはやたらと暴力ヒロインが目立ちます。
普通の作品においてはアリなんですが、目の見えない主人公をぶっ飛ばすのは、さすがにギャグ描写だとしても笑えませんでした。
テキスト描写について
ルートによって、あるいは場面によってテキストの描写が「あからさまに変わったな」と思う部分がちらほら。
なんなら、キャラクターの性格や言動ですら変わるシーンもありました。
レズシーン
レズシーンを好きな人を否定するつもりはありません。
が、本作においては、キャラクター性を無視して無理やりぶっ込まれたレズシーンのせいで、私の評価は地の底まで落ちました。
好きな作品であり、好きなキャラであったからこそ、失望が大きかったのです。
メモ
「はまじ×真紀」のエッチシーンを見たくない人は、おまけシナリオであるATOゲームの「夏草」を回避。
「はやみ×ゆい」のレズ浮気シーンをみたくない人は、ATOゲームの「はやみの友達」を回避してください。
ポジティブな要素
良作ともいえる
本作は、タイトル画面のBGMからして美しく、主題歌も素晴らしい。
ビジュアルは綺麗だし、感動的なストーリー展開もありました。
そして「Blindness」という、画面が白黒になる機能がついています。目が見えない主人公の境遇を反映したものです。
この機能はいらないと言う人もいますが、私としてはアリだと思っています。演出面にも関わってくるので、少なくとも1周目、誰かしらのエンディングに入るまではONにしておいて、2周目以降はONでもOFFでもお好きなほうを選んでいただきたく存じます。
綺麗な文章
図工の授業で、はやみちゃんと琢磨くんが一緒に「風車」をつくるシーン。
2人が好きな色「赤」と「青」を塗ります。
完成したら2人で中庭に行って、風車がきちんと回るかチェックをすることに。
風車が回ると、赤と青の色がまざって「紫」になります。
その情景を、はやみちゃんが、目の見えない琢磨くんにたいして語ってあげるシーンが好きなんですよ。
「……風が吹くと…」
「風車が回って…」
「夕日が、海に溶けて…」
「あじさいの、花になる」
琢磨くんは幼少期には目が見えていました。ですから、情景を想像することはできる。
赤と青の風車がまわって紫になる様子を、
真っ赤な夕日が、真っ青な海にとけていき、紫陽花のような鮮やかな紫に変化していく比喩表現を用いて、琢磨くんに伝えてあげるのです。
はやみちゃんが可愛い
ニッコニコの可愛らしい笑顔の琢磨くんと、照れたような困ったような表情をうかべるはやみちゃんが並んで歩くこのCGがめっちゃ好き。
ということで、本作のヒロインのなかでも1番のお気に入りの「小日向はやみ」について語ります。
はやみちゃんはまず顔が可愛い。声が可愛い。イジメを必至にたえる高潔さをみせる。救いの手を差し伸べようとする琢磨くんのことを、イジメの対象にならないように拒絶する。なかなか素直になれないものの、ときおり照れる姿を見せたり、好意がダダ漏れなセリフを発したりする。表面上は強さをみせているが、内面は優しくて繊細で脆い。
萌え属性の塊なんです。
おそらく「いじらしい」という単語を擬人化したら、はやみちゃんになるのだと思います。はやみゲーと言われるぐらいには、はやみちゃんの魅力があふれている作品でございますね。
琢磨のことを想いつづける一途さや、ヤキモチ焼きな一面、そして彼の好みに合わせてポニーテールでいつづけるところも魅力。
まとめ
ココがイマイチ
- イジメなどの胸糞悪い展開がある
- 無理やり差し込まれるレズシーン
- 場面によってテキスト描写がブレる
- 暴力ヒロインが多い
- システム面が不便
- 超展開
ココがおすすめ
- BGMも主題歌も良質
- グラフィックが綺麗
- 主人公は性格がいい美少年
- はやみちゃんがトニカクカワイイ
- エッチシーンも手を抜いていない
- ところどころでジーンとくる展開がある
- 緊急回避の画像がめちゃくちゃ豊富
粗が目立つうえに、好みの分かれる題材ですが、刺さる人には非常に刺さります。
なによりも、はやみちゃんが可愛いです。笑
体験版は【H2O −FOOTPRINTS IN THE SAND−】のページで配信されていますので気になる方はどうぞ。
パッケージ版
ダウンロード版
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