【遥かに仰ぎ、麗しの】の感想

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【遥かに仰ぎ、麗しの】の感想

2019年5月9日 古城

6445文字

 

 

遥かに仰ぎ、麗しの
公式ジャンルAVG
メーカーPULLTOP
発売日2006年11月24日
通常価格8,800円(税抜)
ダウンロード価格3,780円税込

あの時、確かに僕は世界の果てにいた。

あらすじ/主要スタッフ(クリックで展開)

【あらすじ】

大学を卒業して教員免許を取ったものの、
教鞭をとる就職先が決まっていなかった主人公、滝沢司(たきざわつかさ)に、
上流階級の息女―お嬢様のみが通うことで音に聞こえた、
『凰華女学院(おうかじょがくいん)』から誘いが来る。

一も二も無く、その誘いに飛びついた司だったが、
指定された学院の所在地は、
案内状に書かれた『自然に囲まれ風光明媚な』という言葉に偽りこそないものの、
周囲に民家の一軒すら見当たらない半島の果てだった。

日に数本しか通らないようなバス停で降り、半信半疑のまま歩き続けること数十分。
突然視界が開け、何とも時代錯誤な西洋風の広大なお屋敷が姿を現す。
その建物に負けず劣らず、大袈裟な装飾を施された門の柱には、
そこが目指す場所であることを証明するかのように、『凰華女学院』の文字が刻まれていた。



やがて知らされる、真実の数々。

――ここは学院の『分校』として運営されていること。

――やんごとなき方々のお家事情などにより、
   一般社会から隔離された少女たちのみが在籍していること。

何もかもが初耳な話ばかりだったが、全ては後の祭り。

こうして、世間から忘れ去られたような僻地に建つ女学院を舞台に、
一風変わったお嬢様たちのお相手を務める、司の教師生活が幕を開けた。

【主要スタッフ】

ディレクター朝妻ユタカ
シナリオ丸谷秀人/健速
原画藤原々々
SD原画仁之丞
音楽ファクトリーノイズ&AG
有名作品/お嬢様学校/雰囲気が良い/フルプライス
ゲーム属性

評価

ストーリー
テキスト
キャラクター
演出:7
システム:7
ゲーム性:5
CG
Hシーン:7
BGM10
主題歌10


おすすめ度:★★★★★


満足度 84 点


 

 

 

作品の紹介

 

 

2つの毛色の違うルートを楽しめる、学園ものの名作「遥かに仰ぎ、麗しの」。通称「かにしの」。

 

 

舞台は「凰華女学院」というお嬢様学園の「分校」。

都内にある「本校」から中途転入してきた学生は「本校系」。

凰華女学院分校へ直接入学してきた学生は「分校系」。

 

 

本校系ヒロインのルートと、分校系ヒロインのルート、それぞれ違うシナリオライターが担当していますので、主人公の性格からストーリー展開まで大きく違う。

そのどちらも楽しめるという1粒で2度おいしいアーモンドグリコ的な作品なのです。

 

 

当時から本校系ヒロインのルートをマンセーする人が多かったのですが、私は分校系ルートの方が好きでした。

再プレイした今もそれを再確認。

ま、どのルートも楽しいんだがな。ガハハハハ!

 

 

所持購入動機プレイ前期待値

私が所持しているのはパッケージ版です。

確かライター買い&絵師買いだったと思います。

プレイ前期待値:80

プレイ後満足度:84

 

 

 

どんな人向け?

 

 

  • 有名作品は押さえておきたい人
  • ライターの丸谷さん健速さんが好きな人
  • 藤原々々さんの原画が好きな人
  • ボリュームのある作品を求めている人
  • 安価で手に入る作品を求めている人

本校系のルートはキャラゲーライクで、分校系のルートはシナリオゲーライクに感じました。そのどちらかは楽しめる可能性が高いと思うので、万人におすすめしやすい作品です。

 

 

 

ストーリーについて

 

 

この作品の舞台である「凰華女学院分校」は、大自然にかこまれた僻地に設立されており、外界とは隔離されています。

ここに通う学生たちは、皆一様に「何らかの問題」を抱えており、それを解決することがストーリーの軸となっております。また主人公自信もトラウマを抱えていて、その事がどのルートでも「壁」として立ちはだかるのです。

 

 

分校系のルートでは、お嬢様ヒロインにありがちな「お家騒動」やそれに伴う「人間関係」にスポットを当てていて、その解決を主軸としたシナリオゲーライクな展開。

とくにルートロックされている邑那ルートでの「怒涛の伏線回収」や「二転三転して明かされる事実」には大いに驚かされました。

 

 

本校系のルートでは、お家騒動ももちろんあるのですが、それ以上にヒロインの「心の問題」にスポットが当てられていまして、それを主人公とともに乗り越えるという恋愛を主軸としたキャラゲーライクな展開。

あらすじにすると一行(たとえば、人間関係に苦しみ心を閉ざしてしまったヒロインが、心を開くようになるお話……など)のストーリー展開を、緻密な心理描写とともに丁寧に描いているがゆえに楽しいルートとなっております。

 

 

 

攻略情報

 

 

プレイ時間

私のクリアするまでのプレイ時間は、ボイスをしっかりと聞いて53時間ほどでした。分校ルートが30時間で本校ルートが23時間です。

 

 

攻略

分校ルートは選択肢が多めなので、攻略サイトを見ながらのプレイでも大丈夫です。ルートに入りたいヒロインに好意的な選択肢を選んでいけばいいので、自力攻略もそこまで難しくはないかもしれません。

 

 

効率重視の攻略サイトはこちら

テキストの差分も回収していきたい人はこちら

 

 

邑那ルートの6話の選択肢は、あとでテキストにちょっとした変化がありますので、自分で好きなものを選んだ方が楽しいかもしれません。

全キャラを攻略したら、タイトル画面に「エピローグ」が追加されますので忘れずに見ておきましょう。

 

 

攻略順

本校ルートは好きな順番でのプレイでも大丈夫ですが、分校ルートは「 栖香 → 美綺 → 邑那 」の順を推奨します。

私のプレイ順は「 栖香 → 美綺 → 邑那 → 殿子 → 梓乃 → みやび 」です。プレイ順が決められない人にはこの順番をおすすめします。

私は分校ルートが好きなのでそっちを後にするのもアリだと思うのですが、エピローグへのスムーズな流れを気にするならば上記の順番がいいでしょう。

 

 

体験版

体験版はこちら/公式サイト

 

 

修正パッチ

アップデートファイル

パッケージ版でプレイする方は、パッチを当ててからプレイしましょう。

 

 

 

テキストについて

 

 

1~3行で書かれています。

分校ルートを担当する丸谷さんのテキストはクセが強めで、普通ならば開く(ひらがなで書く)テキストを漢字で書いているのが特徴的です。だがそれがいい!

此の(この)、其の(その)、呉れた(くれた)、一寸(ちょっと)、此処(ここ)、其処(そこ)、乃至は(ないしは)、居無い(いない)、非道い(ひどい)、而も(しかも)etc……

本校ルートを担当する建速さんは、比較的平易で読みやすい文章を書かれていたと思います。

 

 

テキストの話からは少し外れるのですが、「三橋」を「みつはし」と呼ぶシーンと「みはし」と呼ぶシーンがあったり、「がくいん」を「がくえん」と呼んでいるシーンがあったり、ちょっとした音声ミスがありました。

 

 

 

キャラクターについて

 

 

本校系学院生

 

 

かざまつり みやび
風祭 みやび

CV:北都南

学院の理事長代理ですが、単純・短気・短絡的な子供っぽい性格。

しかし、変に大人びているヒロインよりは等身大の学生に感じましたし、個別ルートでの可愛さが爆発していました。

みやびちゃんぷりちー!

 

 

たかつき  とのこ
鷹月 殿子

CV:遠山枝里子

非常に大人びておりクールだが、自由奔放ですぐにどこかへ行ってしまいます。

この子は「内と外」の壁が厚くて、一度その内側に入ったときの心の開き具合(甘えっぷり)が半端なくて、人気が高いのも納得のヒロインでした。

 

 

やおとめ     しの
八乙女 梓乃

CV:佐本二厘

対人恐怖症でおどおどとしている女の子。なかなか心を開かない難攻不落っぷりが、面倒くさくも楽しいルートでした。

 

 

みしま   きょうか
三嶋 鏡花

CV:青山ゆかり

礼儀正しく誇り高いお嬢様。

 

 

分校系学院生

 

 

にれ    すみか
仁礼 栖香

CV:井村屋ほのか

真面目でしっかりものの優等生。

お嬢様学園が舞台の作品なのに、お嬢様然りとしたキャラクターが少ないなか、この子はその役目を全うしていました。基本変わり者のキャラが多い中、唯一まともで砂漠のオアシスのような存在でした。笑

シリアナード・レイ!

 

 

あいざわ  みさき
相沢 美綺

CV:安玖深音

天真爛漫な元気っ子。非常にノリの良い女の子。

しかし意外と賢く、気を回すのがうまいところにギャップを感じます。

学院のなかでも情報通なキャラでして、全ルートにて度々でてくるという大活躍ぶり!

 

 

はしば   ゆうな
榛葉 邑那

CV:風華

物静かで穏やかな性格を思わせるが、ただならぬ雰囲気というか大物感がありました。

学院内の一角にある温室で、多くの時間を過ごしています。

 

 

うえはら  かなで
上原 奏

CV:木村あやか

真面目な平和主義者だが、急な事態への対応が苦手でテンパっている姿が印象的でした。同じセリフを二度繰り返すのが特徴的。

 

 

教員・職員

 

 

りーだ
リーダ

CV:天川みくる

本名は、リーリア・イリーニチナ・メジューエワ。ロシア生まれのメイドさんです。

大人びて見えるが、まだ10代であることに驚きを禁じ得ませんでした。

この子の個別ルートが欲しかった人も多いでしょう。

 

 

あかつき こういちろう
暁 光一郎

CV:上州トム

主人公の赴任した学院の先輩教師。

爽やかなカッコいいルックスをしていて、底知れぬ飄々とした態度を見せます。

 

 

たきざわ  つかさ
滝沢 司

本作の主人公。

分校ルートでは「ヘタレ」の烙印を押され、

本校ルートでは「完璧超人」扱いされています。

私は分校ルートの主人公も好きなのですが、エロゲーマーはヘタレ主人公を異様に嫌う傾向がある気がするのですが、どうなんでしょうか。

 

 

好きなキャラ

栖香 ≧ 殿子 > みやび = リーダ > 鏡花 > 梓乃 > 美綺 > 邑那

どのキャラも好きです。好きなキャラと好きなルートは全然違います。

 

 

 

ネタバレ感想

 

 

クリックで展開

 

 

すみすみ可愛い

ネタバレ感想と書きつつ、まずはじめにあまりネタバレにならないことを書きますが、すみすみが可愛い!

栖香「もう一回くらい誘ってくだされば、いえ、誘ってくださってもやっぱり断ったとは思いますが、もう一回くらいは誘ってくださっても!」

丸谷さんは、面倒くさい女の子を書かせたら一級品でしょうね。こんな相反する2つの気持ちの鬩ぎ合いを表現するのがうまい人はなかなかいないです。

 

 

栖香「其れなら私を……つ、司さんのし、尻穴奴隷にしてくださいっ!」

司「ええと……シリアナード・レイって何?」

すみすみルートでのエッチシーンの変態性と、本番エッチまで焦されまくる展開も好きでした。

 

 

照れ顔も天使。

 

 

殿ちゃん可愛い

前項に引き続き、もう一つ主張をさせて下さい……殿ちゃんが可愛い!

殿ちゃんの司に対する愛情の深さがうかがえましたし、娘としても女性としても魅力的なキャラでした。なによりもこの上目遣いの立ち絵が好きです。

 

 

殿子「司の、キスの種類は、これだけ………?」

ディープキスをせがむ表現で、これほど美しいものがあるでしょうか?

 

 

蘆部 源八郎

邑那ルートはすごかったです。二転三転する事実の発覚や怒涛の伏線回収による綺麗な終わり方で、完膚無きまでのハッピーエンドとなっておりました。

滝沢 司」「榛葉 邑那」「蘆部 源八郎」「李 燕玲」「鹿野上 渉」どこか似たような境遇の5人が、その後の環境や出会った人によって、価値観や立場に違いがあるのが面白いところです。

 

 

なにより「蘆部 源八郎」――とんでもない悪漢であり、大物でした。

すべてはこのジジイの道楽だった訳ですね。

 

 

源八郎は、(描写があったのか定かでないが)仲間に裏切られたのか、他人をあまり信用しない性格です。

戦争に赴きますが、ただ1人の生還した人間です。帰ってきてからは(生き残る道は他にはなかったからか)急進的なやり方でのし上がっていきます。ついには日本でもトップクラスの大人物へとなるのです。そんな立場を手に入れると、本当に自分に意義を唱えられるのは愛する妻ただ一人だったのでしょう。妻を失ってからは、気づけば周りにはイエスマンしかいなくなって孤独だったのだと思います。

源八郎は、そんな人生に退屈さを感じていたのか、死ぬ間際まで道化を演じあげるという「道楽」を行っていました。こんな生き方をする人間なんて他にいないでしょうね。悪漢ではあるものの、間違いなく大物ではあるのです。そう考えると、非常に魅力的に見えてしまうキャラでした。

 

 

あの壊れていて大物で、最低で悪趣味で醜悪で愉快で豪傑な老人

主人公も源八郎のことを、このように称しています。

 

 

リーダさんルートは?

みやびちゃんのルートをクリアした後に、このように思った人もいるでしょう……「リーダさんルートはないの?」と。

私はですね、「あれ、おかしいなぁ……リーダさんルートに辿り着けなかったぞ」と現実逃避をしていました。

 

 

まぁ「みやびちゃんぷりちー!」だったし、3人の関係性の良さが描かれていた良いルートだったんですけどね。

願わくば、3Pがあったら最高だった。

 

 

その他雑感

ここまでで触れていないのは美綺と梓乃ですが、両ルートとも楽しかったです。

美綺ルートでは父娘の関係性や姉妹の関係性がしっかりと描かれていましたし、なによりも美綺がいい子でした。

梓乃ルートでは今や少し珍しい主人公への敵対心の強いルートでしたが、徐々に心をひらいていく様子や主人公の格好良さがしっかりと描かれていました。そして梓乃の飼い犬のダンテの活躍っぷりが半端なかったです。笑

梓乃ルートが一番好きな人も多いのではないでしょうか?

 

 

総評

分校ルートが長くてダレる……という問題点はあるものの、どのルートも楽しめる良い作品でした。

やっぱり私はどちらかというと分校ルート派かなぁ。シナリオ(とくに邑那ルートの終盤)が良かったですし、父娘・姉妹・友人・恋人の関係性の描写がうまくて泣けました。

ダレずに楽しめることと、主人公がカッコいいことと、キャラの可愛さでは本校ルートに軍配が上がると思います。

 

 

 

 

 

システムについて

 

 

バックログ画面からのシーンジャンプ機能なし。

今プレイすると不便に感じるかもしれませんが、当時は平均水準以上ではあったと思います。

 

 

 

ゲーム性はあるか

 

 

選択肢によってルートが分岐する、ノベル系アドベンチャーゲームです。

 

 

 

サンプルCG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Hシーン

 

 

胸尻比率
着衣脱衣比率
中出し外出し
卑語少しあり。ピー音あり。アナルモザイクあり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エッチシーン評価

まずは一言……エッチシーン数の分配がおかしい。

とあるヒロインがエッチシーン数の1/3以上を占めています。笑

そのヒロインのエッチシーンですが、焦らしに焦らされます。イメージ的にいうと「婚前交渉はアカンから前戯だけなら」……みたいな展開が続くのです。

他のエロゲーではそんなに焦らされることがないので、意外にもこうした構成に当時はエロさを感じました。

 

 

シーン数

クリックで展開

シーン数は全部で20シーン

みやび_1

殿子_1

梓乃_2

栖香_8

美綺_6

邑那_2

 

 

 

BGM

 

 

27曲(ボーカル曲3)です。

どのBGMもお気に入りだと言えるくらいに好きです。

 

 

フェバリットBGM

風華』――めちゃくちゃ綺麗なピアノ曲で、心が洗われます。

ゆりかご』――優雅なヴァイオリン曲で、心に平穏がもたらされます。

 

 

 

主題歌

 

 

主題歌

風のRhythm / ゆうか

 

 

ED曲:with a smile / ゆうか

ED曲:遥かに仰ぎ、麗しの / 凰華女学院声楽隊

 

 

 

その他

 

 

・タイトル画面の『記念アルバム』から、「Music」「Scene」「CG」を鑑賞することができます。

・「美少女ゲームアワード2007」大賞(BGM賞、純愛系作品賞、シナリオ賞、ユーザー支持賞)受賞作品です。

 

 

 

まとめ

 

 

2人のシナリオライターがそれぞれの持ち味をだしてシナリオを書いているためか統一感はありません。

しかしそのどちらも良質であるという稀有な作品。

今なら安価に手に入れることができますので、プレイすることをおすすめします。

 

 

ご購入はこちら

 

 

 

パッケージ版

 

 

ダウンロード版

 

DMM GAMES DLsite.com Gyutto.com

 

 

 

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