7,300文字
意中の女の子は、女装したボクに恋をしているなんて!
そんなボクは恋のライバル認定!?
僕の好きな人の好きな人は、女装した僕でした。(ensemble SWEET) | |
ジャンル ―― ADV | |
発売日 ―― 2024年01月26日 | |
パッケージ版価格 ―― 6,800円(税込7,480円) ダウンロード版価格 ―― | |
評価
評価 | おすすめ度 |
★★★★★ | |
満足度 | |
作品の紹介
恋愛には2つの側面がありますよね。味覚で例えるならば、甘みと苦み。
好きになった女の子が、別の人のことを好きだった……これってめっちゃ切ない展開じゃないですか。
その切なさを摂取しつつも、甘さも同時に摂取できる作品がある。
その作品のタイトルは【僕の好きな人の好きな人は、女装した僕でした。】。
公式略称は【した僕】です。
甘みと苦みを同時に摂取したい、抹茶パフェのような作品を求めている人におすすめ。
スイーツ好き男子あつまれ~。
どんな人向け?
- 女装主人公モノが好きな人
- 明るくてノリの良い作品を求めている人
- ちょっぴり入り組んだ恋愛関係を見たい人
- 猪突猛進なお嬢さま、毒舌メイドなどの属性を気に入った人
- 体験版をプレイして、テキストに肌が合っていた人
攻略情報など
プレイ時間
私のプレイ時間は、ボイスをだいたい聞いて8時間ほどです。最初のエッチシーンまでは2時間半ぐらいかかりました。
攻略情報
選択肢は2ヵ所です。非常に分かりやすい選択肢ですので、攻略サイトは必要ないでしょう。推奨攻略順はありません。
システム
難易度 | 修正パッチ | バックログジャンプ |
簡単 | なし | あり |
備考 | ||
※初回オンライン認証あり。 |
感想
※以降、体験版範囲のスクリーンショットと、公式サイトに掲載されているサンプルCGを使用します。
©WillPlus/ensembleSWEET
どんなお話?
まず最初に、本作の主人公を紹介します。
主人公の蛍乃春樹は、女装をして春日蛍という名前で活動しています。
なぜ女装をすることになったのか。それは、姉がデザインをした女性用の服を着せられ、SNSに写真をアップされたことがキッカケ。写真の反響が大きかったことから、姉の専属モデルとして、女装をして活動することになりました。
さて、それでは本編のストーリーを紹介しましょう。
主人公の春樹は、女装をした状態で出会った女の子、清佳ちゃんと仲良くなります。
しかし春樹くんは、親の都合で、海外に渡航するため離れ離れになってしまう。
そこで彼女たちは指切りをして、再会を約束するのでした。
………………
…………
……
数年後。海外に馴染めなかった姉につれられ、帰国することになった主人公。
帰国後に、姉を訪ねて来客がありました。
ちょうど女装していた主人公がお出迎えするのですが……
出会い頭に、来客者にキスされることに。
まるでジョジョの第一部を彷彿とさせる展開ですね。
いきなりキスをしてくるヤベー女の名前は 楠清佳 。
幼少期に再会の約束をした女の子でした。
清佳ちゃんは、何年も何年も募らせていた蛍にたいする恋心が爆発して、このような突飛な行動に出たのでしょう。
もう1人登場人物がいます。清佳の従者である毒舌メイド=藤堂愛ちゃんです。
これで役者は揃いました。
ちょっぴり複雑な相関図の恋愛コメディが開幕します。
ここからは、なにがどう複雑なのか、関係性の説明をしますね。
メインヒロインの清佳ちゃんですが、まるで暴走機関車。
こうだと決めたら、イノシシのように一直線に突撃していきます。
おまけに「ミスマル・ユリカ」ばりに人の話を聞かない。
・・・
主人公は、暴走しまくる清佳ちゃんに、女装していたことを打ち明けることにします。
主人公は、素の状態♂の自分を好きになってもらいたいのです。
長年、勘違いをさせつづけてしまっていたので、伝え方には気を配らなければならない。
そこで、本来の姿♂の写真を見せることにしました。
写真を見せながら、説明しようとしたら……
清佳ちゃんは、蛍(主人公♀)の好きな人は、春樹(主人公♂)だと勘違いしはじめる。
訂正しようとしても、まったく聞く耳をもちません。
それでは複雑になった人間関係を整理しましょうか。
主人公は、清佳ちゃんに男の状態である自分を好きになってほしい。
そして清佳ちゃんは、蛍のことが大好き。春樹のことは恋敵だと勘違いして嫌っている。
両思いであるはずなのに、拗れた関係なのですよ。
さらに、弟のことを応援している姉と、清佳のことを応援しているメイド。この2人も関わってきます。
どうですか? 面白くなってきたでしょう?
した僕の特徴
コミカルなノリが面白い
CASE-01
主人公の姉の千鶴さんは、ロリメイドの愛ちゃんのルックスを気に入り、自分のつくったお洋服を着せようとする。
絶体絶命のピンチ!
そのとき部屋に入ってくる清佳ちゃん。てっきり助けてあげるのかと思いきや、愛ちゃんを売ってしまうのです。
清佳
「悪いわね、愛。蛍との仲を認めてもうらためにも、千鶴さんの好感度はできる限り上げておきたいの」
CASE-02
蛍の部屋にお呼ばれした清佳ちゃん。
部屋に入るやいなや、いきなり服を脱ぎはじめます。
彼女は、以下のように言いました。
清佳
「えっ!? だって、お部屋にお呼ばれされたってことはそういうことなのかと思って……!」
CASE-03
女装しているという秘密を抱えたまま仲を深めるわけにはいかないと考える蛍は、清佳ちゃんと距離をとろうとします。
蛍を怒らせてしまったと勘違いした清佳ちゃんは、愛ちゃんに助言をもとめます。どうしたら許してもらえるのかと。
愛ちゃんは言います。
愛
「でしたら清佳様。土下座などは如何かと。日本では最高位の謝罪ですので」
清佳
「っっ。土下座ねっ! わかったわっ」
しかし土下座は蛍によって阻止されてしまう。
清佳
「どうしよう愛~……! 土下座しても許してもらえない~!」
愛
「でしたら清佳様。三度回ってワンと鳴いては如何かと。日本では最高位の服従アピールですので」
清佳
「なるほどね……!」
清佳
「――ワンっ!」
これまた必至に止めようとする蛍。
清佳「うぅ、愛~……!!」
愛「でしたら清佳様。蛍様の靴をお舐めしては如何かと。日本では最高位の許しを請う姿ですので」
終いには清佳ちゃんは、人間をやめる宣言をして、靴を舐めようとします。
以上の3つの例のように、勘違いからの暴走や、すれ違い、クセの強いキャラクター同士のぶつかりあいが面白いのです。
キャラクターの2面性を見られる
CASE-01
毒舌メイドで、やたらツンツンしている愛ちゃん。清佳の命令によって、蛍と春樹(ホントは同一人物だけど、恋のライバルだと思われてる)の仲を引き裂くために、春樹に色仕掛けを敢行します。
ふだんの言動とのギャップが半端なかったですね。
CASE-02
蛍にたいしてはデレ120%で、暴走しまくる清佳ちゃん。
うってかわって春樹にたいしては、最初は敵愾心を燃やしていて、冷たく接してくる。
しかし徐々に打ち解けてきて、ツンデレのような態度になっていきます。
デレデレとツンデレという2つの側面が見られるのは面白いですね。
ストーリーにも見どころあり
誤解がどのように解消されるのか。そして女装主人公モノの定番である「女装バレ展開」も注目ポイントでしょう。
関係性がどのように収束されていくのかも見どころでしょうね。
清佳ルートは、やはりメインルートなだけあって注力されていました。清佳と蛍の関係だけでなく、清佳と春樹の関係性の変化が描かれているのは実に面白かった。
愛ルートは、デレたり甘えてくれる姿がめちゃくちゃ可愛かった。ですが、やはりサブルートということでプレイ時間は1時間ちょっと。もっとプレイしていたかったので、多少の物足りなさはありますね。
千鶴ルートは、長年秘め続けてきた思いの切なさが描かれていて素晴らしかった。プレイ時間にすると、たったの1時間ちょっとですが、短くもギュギュッと濃縮されている内容でした。
エッチシーンについて
卑語あり。ピー音あり(音消し修正)。アナルモザイクなし。
ウィルプラス系列ですが、くそ煩いピー音はありません。
たぶん音消し修正していると思うのですが、ほとんど気にならないレベルです。素晴らしい。ホンマにありがとうございました。
尻フェチワイは、千鶴さんの最初のエッチシーンを気に入りました。口、マンコ、アナルと、三種の神器をコンプリートしましたからね。やっぱりこうじゃなきゃ。
愛ちゃんは、この猫耳フード付きパーカーがクソ可愛いと思いました。
清佳ちゃんは、どうすれば春樹が喜んでくれるのか。そうした奉仕の心があるのが素晴らしかったですね。
お花畑で裸で正座をしてパイズリするシーンでは、育ちがいいなぁと思いました。
お外で正座ですよ? 裸で正座ですよ? 正座でパイズリですよ? これを育ちがいいと表現しなくて、なんと表現できようものか。
まとめ
ココがイマイチ
- ボリュームはそんなにない
- とくにサブヒロインルートは短め
- 愛ちゃんのケツアングルの構図が欲しかった
ココがおすすめ
- 主人公が男状態と女状態で交互にヒロインと接するのは、女装主人公モノのなかでも珍しいかも
- 短くもまとまっているストーリー展開
- ノリが良くてコミカルで楽しい
- 関係性の複雑さが面白い
女装主人公モノの隠れた良作。
シナリオライターの泰良則充さんが担当された作品は、今のところ9作ほどプレイしましたが、「濃厚なエッチシーン」が持ち味のライターだと思っていました。
しかし本作では、コミカルな作風と、短くもまとまったストーリーが魅力的でした。
こういう方向性の作品で、素晴らしいものを出してくださったのは嬉しい誤算ですね。
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