【徒花異譚】の感想

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【徒花異譚】の感想

2020年6月22日 古城

3,454文字

 

 

これは、咲かぬ“はな”の物語――。

徒花異譚ANIPLEX.EXE
パッケージ画像ゲーム属性:シナリオゲー
ジャンル ―― ノベルゲーム
発売日  ―― 2020年06月19日
パッケージ版価格  ―― 
ダウンロード版価格 ―― 1,870円(税込)
スタッフ
企画・シナリオ海原望
原画大石竜子
音楽さっぽろももこ/松本慎一郎
システム協力SILKY'S PLUS
主題歌 ―― 徒花夢現(Vo.Rita)

あらすじ

少女が気づくと、そこはどことも知れない暗い森の中だった。
突如として現れた怪物に襲われた彼女は、筆を刀のように操ってものを斬る、謎の少年に救われる。

彼は「黒筆(くろふで)」と名乗り、慣れた声音で少女を「白姫(しろひめ)」と呼んだ。
しかし少女には、少年の顔にも呼ばれた名にも覚えはない。
というのも、彼女の頭からはすべての記憶が失われていたからだ。

黒筆いわく、ここは絵草子の中の世界である「徒花郷(あだばなきょう)」。
ありとあらゆる「おはなし」は、夢と同じように、どれほど深く溺れていても、覚めてしまえば何も残らない。
故にこの世界は、徒花──咲いても実を結ばない花に喩えて名づけられたのだという。
そしてふたりの役目は、ここにあるお伽話の世界を渡り歩き、話の筋に歪みが生まれていないかを見張ることらしい。

操り人形のように頼りない風情の白姫は、言われるがまま、手渡された一冊を開いた。
表題は――「花さかじいさん」。
虫食いが進み、朽ちる寸前のようなその絵草子が開かれると、紙面から眩い光が放たれ、
少年少女はお伽話の世界へと連れ去られていった――。

 

 

 

評価

 

 

評価おすすめ度
【徒花異譚】の評価★★★★★
満足度
満足度83点

 

 

 

作品の紹介

 

 

食わず嫌いって言葉があるじゃないですか。

美少女ゲームをそれなりにプレイしていくと、好き嫌いがハッキリしてきて、その傾向が増す人はおおいと思うんですよ。

あれって本当にもったいないですよね。

面白い作品に出会う可能性が低くなっちゃうわけです。

 

 

ぽまえらカービィを見習えってんだ。

カービィ

やつは生物でも無生物でもなんでも吸い込んで消化しますからね。

そうして自分の血肉としているのです。

私はカービィでありたい。

 

 

ということで、今回はノベルゲームとしての良さがつまった【徒花異譚】という全年齢向けのゲームを紹介いたします。

「我こそはカービィだ」という人におすすめ。

 

 

所持証明

私が所持しているのはダウンロード版(ダウンロード専売)です。

 

 

 

攻略情報など

 

 

プレイ時間

プレイ時間は、ボイスをほとんど聞いて7時間ちょっとでした。

 

 

攻略

物語を正しく完成させるか、理想のものに書きかえるかどうかの選択肢があります。

自力攻略したほうが楽しいかもしれません。

 

 

システム

バックログ画面からのシーンジャンプ機能あり。

 

 

 

どんな人向け?

 

 

  • 考えながら読む人
  • コスパに優れた作品を求めている人
  • ノベルゲームとしての意義がある作品を求めている人
  • ストーリー性のある作品が好きな人
  • 世界観に惹かれた人

 

 

 

感想

 

 

概要

この作品には2人の主人公がいます。

黒筆Twitterアイコン

黒筆 CV:加藤渉

物語の世界を渡りあるき「歪み」をなおしている少年。何事にも臆さないクールな性格。

 

白姫Twitterアイコン白姫 CV:南早紀

記憶喪失の少女。心優しく控えめな性格。黒筆とともに物語を正す導き手として活動することになります。

 

 

この2人が、絵草紙に書かれている「おとぎ話」の世界に旅立ち、その世界の「歪み」をなおしていくことになるのです。

たとえば「花さかじいさん」の世界。

心優しきお爺さんが、物語が歪んだことにより見るも恐ろしい姿に……。

徒花荒らしとなった花さかじいさん

歪みを無事になおし、あるべき物語の姿に戻すのか。

はたまた、歪みをうまくなおすことが出来ないながらも、理想的な物語へと書き換えるのか。

そうした選択をつみかさねていき、最終的に黒筆と白姫の2人の行動の「意味」と、求める「答え」が変わってきます。

 

 

ここがすごいよ徒花異譚

和の世界観

ライターの海原望さんと原画家の大石竜子さんのコンビといえば、ライアーソフトの「フェアリーテイル・レクイエム」を思い浮かべる人がおおいでしょうが、あちらは「洋」のおとぎ話の世界ですが、今回紹介している「徒花異譚」は「和」のおとぎ話の世界。

浦島太郎をなでる乙姫さま

大石さんの独特な絵タッチと、墨絵で描かれた線、豊かな色彩、それからさっぽろももこさんと松本慎一郎さんが手掛けるこれまた和風なBGMが相まって、世界観が最高です。

この惹き込まれる世界観で、いろんなおとぎ話の世界をまわれるんだからそれだけでヤバい(語彙消失)。

 

黒筆くんカッコよすぎ

主人公のうちの1人、黒筆がまじでカッコよかったです。

木の上にいる黒筆くん

どんなに不測の事態におちいっても冷静で、白姫がピンチのときは体をはって守り、つねに白姫の気持ちに寄り添っています。

ネタバレ(クリックで展開)

夢エンドでは、白姫に幸せな夢を見てもらうことを選び、白姫が亡くなったあとも1人で物語を紡ぎつづけることになります。

現エンドでは、白姫との身分の差をこえるため(正式に彼女の家へと住み込むため)に「書生」になるべくして幼少期に彼女の元を離れたことが判明。病床にいた彼女の手をつかみ、病を克服した彼女と2人で物語のつづきを紡ぐようになるのです。

 

物語の捉え方のちがい

徒花異譚は、主人公2人と一緒に絵草紙の世界にはいりストーリーを体験します。

おとぎ話を「自分(ゲームプレイヤー)」「白姫」「黒筆」の3者の価値観でみることになるのです。

また選択肢があることにより、否が応でもおとぎ話の世界の登場人物の心情に寄り添うことになります。

つまり何が言いたいかというと、作品を多様な見方ができるように促すノベルゲームとしての面白みが詰まった作品なのではないかということです。

 

ノベルゲームとしての良さ

上記の「物語の捉え方のちがい」と通ずるところではありますが、ノベルゲームの良さがつまっている作品だと考えます。

  • 2つの方向性のちがう結末
  • 選択肢のもつ意味合い
  • ユーザーとして物語に介入できる
  • ノベルゲームならでは絵、音、演出、文章

これこそが、私がいちばん評価している点です。

 

作り込まれたストーリー

  • なぜ徒花郷という世界が生まれたのか
  • 白姫と黒筆の2人の関係性
  • なぜそのおとぎ話の世界が歪んだのか
  • おとぎ話の「案内人」とはどういう存在なのか

などなど……あらゆるものの意味がつながっていて、それが1つの線となって〆られるのが素晴らしい。

 

 

とっつきづらいと思われているのがもったいない

ノベルゲームとしての良さが詰まっている作品ですが、Twitterなどでプレイしている人を探してみたところ、わりとノベルゲームをたくさんプレイしていそうな「通」の人がおおかった印象w

たしかに絵や雰囲気が人をえらぶのかもしれません。

テキストも平易でテンポよく読めるタイプではなく、どちらかというと考えながらじっくりと読むタイプの人にあっていそうだと思います。

せひともいろんな人にプレイして頂きたいんですけどね……。

イッツ モッタイナイ!

 

 

 

まとめ

 

 

ココがイマイチ

  • 非18禁
  • テキストは詩的で深みがあって素晴らしいですが、平易でテンポよく読めるものを求めている私としては方向性があわなかったかも

 

 

ココがおすすめ

  • 物語を多視点でみる幇助となっている
  • ノベルゲームとしての良さが詰まっている
  • コストパフォーマンスに優れているというか採算度外視レベル
  • 絵や音楽やテキストによりうまれる独特な世界観が最高
  • なんだかんだハッピーエンドが最高w

 

 

なにも考えずに気楽にプレイしたい人は合わない可能性もありますが、私はすばらしい作品だと思いました。

ぜひとも偏見をもたずにいろんな人にプレイしていただき、ノベルゲームの良さを知ってほしいですね。

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パッケージ画像

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