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キラキラしたものは、ぜんぶ私たちのもの!
わがままで身勝手、それが私たちの友情だ。
マルコと銀河竜 ~MARCO & GALAXY DRAGON~(TOKYOTOON) | |
ジャンル ―― カートゥーンアドベンチャーゲーム | |
発売日 ―― 2020年02月28日 | |
パッケージ版価格 ―― 7,800円(税抜) ダウンロード版価格 ―― 7,800円(税込) | |
評価
評価 | おすすめ度 |
★★★★★ | |
満足度 | |
作品の紹介
エロゲーや美少女ゲームやノベルゲームは、「紙芝居」やら「進化していない」やらバカにされることが多々あります。
私からしたら「人間ってもう何百年も進化していないよな。そろそろ次の段階に進化しろよ」と言っているぐらい滑稽な発言に聞こえるのですが、まぁそれは置いておきましょう。
絵や音楽やテキストによる表現を、システム面や演出により彩るノベルゲーム。
そこには、この媒体でしか味わえない感覚があり、私はそれが好きだからこそ広めたいと思っています。
そして、ノベルゲームはまだまだ色んな可能性に満ちていることを感じさせてくれたのが、今回紹介する「マルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~」です。
なんやかんや高尚な御託をならべましたが、ヒトコトでいうと「面白かった」……それに尽きます。
私が所持しているのはパッケージ版(GALAXY EDITION)です。
攻略情報など
プレイ時間
プレイ時間は5時間を切るぐらいでした。私は続きが気になりサクサク読みすすめましたが、ゆったりとプレイしたほうが楽しめると思います。
攻略
選択肢は1ヵ所だけあります。とくにストーリー展開に影響はないですが、CG回収のためにどちらも見ておきましょう。
システム
バックログ画面からのシーンジャンプ機能あり。
パッチ
パッケージ版を購入された人は、修正パッチを当てましょう。
どんな人向け?
- ライターのはとさんが好きな人
- テンポ感の良いテキストが好きな人
- 体験版をやって続きが気になった人
- ビジュアルやカートゥーンアニメーションに惹かれた人
- 短くも、しっかりとまとまったストーリーを求めている人
- 絵・音楽・テキストが、うまく組み合わさった作品を求めている人
- 友情や絆をテーマにした作品が好きな人
合わない人
マルコと銀河竜が合わない人は、恋愛要素や個別ルートを求めている人や、はとさんのテキストが苦手な人、ボリュームがない作品が嫌いな人ですかね。
感覚としては、お値段高めのコース料理に似ていますね。ビュッフェやバイキングに慣れている人は多分、ちまちまと少量の料理が運ばれてくることに物足りなさを感じると思うのです。ノベルゲームに慣れていてポンポンと読み飛ばす人のなかには、満足できない人もいそうです。
感想
ストーリーの流れ
©TOKYOTOON(体験版範囲から引用)
記憶喪失の孤児であるマルコは、銀河をかけめぐり、盗みだしたお宝を売ることで生活しています。
そんなマルコが、人型に変身することのできるドラゴンのアルコと一緒に、「母親」を探し求めて地球に降りたつのです。
©TOKYOTOON
地球で母親をさがしもとめるうちに様々な人間と仲良くなったり、マルコが盗みだしたお宝をめぐって異星人がやってきたり、それぞれの思惑がぶつかりあったりと、笑いあり涙ありで、短いながらもよくまとまっているストーリーです。
見どころは、やはりはとさんの作品の特徴ともいえる「家族愛」や「友情」などの絆や人間関係をあらわしたストーリーの根幹部分です。
テンポ感
この作品の特徴はなんと言っても、1000枚を超えるCG・スチルに、63曲もの楽曲です。
もともとはとさんは、ナレーションを入れたり動作を丸括弧で表現したりと、テキストのテンポをよくすることを意識されていたと思うのですが、今作ではその感覚がさらに洗練されています。
どういうことかというと、多大なCGや音楽により、地の文章による状況の描写が極限まで減らされているのです。
テンポよく会話をまわすことに成功しています。
クリックするたびに次々と切り替わるCGや、場面にマッチした音楽を使うことによって、シームレスに場面が動いていく感覚はまさに「新感覚」と言っても過言ではなく、最後までぶっ続けでプレイできたしまった恐ろしい作品なのです。
なによりもテキストのテンポ感を重視する私にとっては、非常に満足のいくものになっていました。
「ギャルゲやエロゲじゃなくて小説でいいじゃん」という輩にこそ、「小説の文章とノベルゲームの文章はこんなにも違うんだぞ」と突きつけてやりたい作品ですね。笑
カートゥーンアニメ
マルコと銀河竜は、アドベンチャーゲームにカートゥーンアニメーションを組み合わせているエポックメイキングな作品です。
バトルシーンなどの動きが必要な部分に導入されていて、ダイナミックな動きからコミカルな動きまで、作風を損なうこともなく楽しく見ることができます。
アドベンチャーパートからアニメーションパートへと、思っていた以上にスムーズに違和感なく移行されていたのが素晴らしい!
ミニゲーム
ノラとと2などと同様に、ちょっとしたミニゲームが用意されています。
スーパーファミコンのソフト「星のカービィ スーパーデラックス」の「刹那の見斬り」のような早押しゲーと、
どこか懐かしさを感じる、シンプルな縦スクロールのシューティングゲームです。
もちろん意味もなく入れられているわけではなく、一応ストーリー展開に即したものとなっております。
その他
まとめ
ココがイマイチ
- 非18禁
- マルコとアルコ以外のキャラの掘り下げ
- もっと「マルコと銀河竜」の世界に浸りたかった
- ボリュームが少ない
ココがおすすめ
- テンポよく読める
- 笑える
- ジーンとくる
- 魅力的なキャラクター
- 絵と音楽とテキストが上手に組み合わさっていた
短かったですが、とても楽しい体験ができる作品でした。
これからも美少女ゲームの可能性を広げてくれるような作品に出会っていきたいです。
ダウンロード版