はじめに
アトラスの設立35周年に発売された、完全新作RPG『メタファー:リファンタジオ』はご存知でしょうか。初日に100万本の売り上げを突破した注目作でした。
『The Game Awards 2024』 にて、「BEST RPG」「BEST ART DIRECTION」「BEST NARRATIVE」の3部門を受賞した良作です。
JRPG好きを自称するならば、取り敢えずプレイしておけと言いたい作品ですね。
当サイトはエロゲブログである。
ですから、エロゲーマーに訴求できるポイントとして、ヒロインの魅力に迫っていきたいと思います。ただし、作品の内容を知らなければその魅力も伝わりにくいでしょうから、まずは簡単に概要を説明します。
概要
あらすじ
物語の舞台は、王族が暗殺されて、統治者を失ったファンタジー世界。
主人公と妖精のガリカは、とある使命をおびて王都にやってきました。
暗殺されたはずの王子様は、実は生きていたのです。強力な呪いをかけられて、人目につかないところで寝たきりの状態です。主人公とガリカが、王子様の呪いを解くために奔走することになるストーリー。
作品の方向性
本作の世界には、8つの主要な種族が共存しています。
種族の見た目や能力により、ゴリッゴリに差別が存在している世界です。
そのなかでも主人公は、8つにカテゴライズされない「エルダ族」と呼ばれる少数民族。
カーストで言ったら最底辺。
インドのカースト制度で言うところの「不可触民」で、すべての民族から下に見られる存在といっても過言ではない。
本作をプレイしていると、ビックリするぐらいにモブキャラから野次を飛ばされます。笑
この状態から、少しずつ少しずつ這い上がっていくんですよ。
本作は、最底辺から這い上がっていく王道のサクセスストーリーです。
ただただ順調に成り上がっていくわけではなく、どん底に突き落とされたり、アッと驚くような事実が明かされたりと、ストーリー展開の起伏が面白い作品ですね。
主人公の境遇は酷いのですが、過度にストレスが溜まることはありません。たとえ世界が敵にまわろうとも、仲間たちは主人公のことを信頼してくれますし、「さすがだな」「すごいです」「やるじゃないか」「格好良いじゃない」とヨイショしてくれるので、「ンギモヂィィィ」と悦に浸りながらプレイすることができますので。
示唆に富んだ作品である
本作の王国には現在、王様がいません。王様が死んだときに「王の魔法」と呼ばれる強大な魔法が発動されて、「国民から1番支持を集めた者が次期国王になる」という決まりが作られます。
さまざまな思想をかかえた王の候補者たちが、しのぎを削ることになるのです。
危険な思想をもった人物を、次の王にするわけにはいきません。ですから、王子を救出するまでのあいだ、主人公が王の候補として名乗りをあげ、各地を巡ることになるのです。
移動手段は「鎧戦車」と呼ばれる乗り物です。これは、選挙のときに使われる「街宣車」をモジッた単語ですね。
さまざまな種族と思想がからみあう展開が面白く、本作をプレイすることで、現実での政治にも興味をもつであろう、示唆に富んだ作品だと思いました。
テーマ性について
アトラス作品のなかでも人気の高い『ペルソナ3』はご存知でしょうか。
「ペルソナ」とよばれる能力を具現化して戦うのですが、拳銃で自分の頭をぶちぬくというショッキングな絵面が話題になりました。特に、銃が身近にある欧米圏の人に与えた衝撃は大きかったでしょう。
それでは、今回紹介している『メタファー』は、どのような演出がなされているのか。
メタファーでは、「アーキタイプ」とよばれる英雄の力を具現化させて戦います。
まさかまさかのペルソナ3以来の衝撃でした。
なぜなら、自分の心臓をえぐりとって、アーキタイプを召喚したのですから。
この演出は、本作のテーマと深く関わっています。
本作のテーマは ――「自らの不安と向きあい、それを力に変えることで困難に立ち向かっていく」―― だからです。つまり、不安を抱えた心を、アーキタイプという力に変えたことを表した演出だということ。
テーマ性からしてバチクソ王道で、グツグツに煮えたぎった熱いファンタジー作品であることが分かるでしょう。
バトルについて
画像の左上に、結晶のようなものが4つ並んでいると思いますが、これは行動回数を表しています。1回の行動につき1つの結晶を消費します。
本作は、敵の弱点をつくと行動消費が半減します。つまり、ダメージ量が増えるうえに、行動回数まで増やすことができるのです。とうぜん敵側も同じ条件で戦っています。
難易度の低いRPG作品のばあい、レベルを上げて攻撃を連打していれば勝ててしまうこともあるでしょう。しかし本作は、バフ・デバフを活かす必要がありますし、如何に弱点をつくかを考えることで戦略性が生まれるのです。
育成方針を考えることも、行動スケジュールを考えることも、めちゃくちゃ楽しいので、あまり攻略サイトなどに頼らず、自力で試行錯誤してみてください。
アートについて
独特な世界が構築されていて、非現実的でファンタジーな景観を楽しむことができます。
ファンサービス
アトラスの35周年記念作品だけあって、アトラス作品の小ネタがチラホラ出てきます。
ヒロインについて
ようやく本題です。笑
主人公たちのパーティは、全員異なる種族という、作中でも異様な集団です。
エロゲーマーへの訴求ポイントは、ただの人間ではなく、ファンタジーなデザインのヒロインが用意されているというところ。
「ただの人間には興味ありません」と言い放った涼宮ハルヒ的な価値観の御仁におすすめしたい一作ですね。
ガリカ
主人公の相棒ポジションの妖精さん。
「おはよう」から「おやすみ」まで四六時中一緒にいるという、アホみたいなヒロイン力の高さをしています。
音楽が掛かったあとのガリカの動きに注目してください。私は一発で彼女に心を奪われました。上下に体を揺らしながら左右に腕をふる動作があまりにもキュート。
モブキャラなどが主人公に差別発言を浴びせかけたときに、彼女が代わりに怒ったり、言い返してくれるんですよ。なので、プレイヤーのメンタルを癒やしてくれるありがたい存在です。
数シーンだけ、彼女が頬を赤らめてくれるシーンがありました。
主人公を操作しないまま放置しておくと、ガリカが肩のうえにポテンと降りてきて、休憩している姿がありえないぐらいに可愛い。
ヒュルケンベルグ
女騎士のお姉さん。エロゲではないので、アナルが弱いかどうかは判明しない。
ルックスは可愛いのですが、恋愛というよりも友情色がつよめで、ヒロインとしての印象は薄いかもしれません。
ゲテモノ食いで、ヒュルケンベルグのエピソードのほとんどが、飯、飯、飯、飯。いや、もぐもぐしている動作は可愛いんですけどね。やはり色気よりも食い気を前面に押しだされると、ヒロイン力が下がってしまうでしょう。
……と思っていたんですが、とあるシーンで、私のなかでは、ヒロインとしての株が2倍以上に跳ね上がりました。
ヒュルケンベルグは、昔は王子様の騎士をつとめていました。主を失った今となっては、主人公の手助けをしてくれる友人です。
彼女には、王族に仕えてきた「忠義」と、主人公たちと育んだ「信頼」という2つの顔があるのですが、とある衝撃的なシーンにおいて、その2つがピタリと重なり合わさる場面があるのです。そのシーンを見て、頭のなかに稲妻が走ったような衝撃をうけました……。マジでビックリしましたね。わずか1シーンの出来事が、ここまで私のハートを掴むのかと。
ジュナ
ドスケベな衣装で悦に入っているヤベー女!
……ではありません。華やかなドレスを着て歌っているだけです。ジュナは、国中にその名を轟かせている歌姫です。
いきなりヒロイン力という名の暴力を、井上尚弥ばりのラッシュで浴びせてくるハードパンチャーでした。主人公にたいして、可愛いだとか、興味があるだとか、思わせぶりな言動をする小悪魔ちゃん。
本作では、仲間キャラクターと一緒に料理をつくることができるのですが、ジュナの場合は、横に立って応援しているだけ。笑
ですが、片手を高くつきあげたり、腕を振って声がけしたり、パチパチパチと手を叩いたり、チャーミングな動きが可愛いかったですね。
ユーファ
額に「第三の目」がついていて、ヒロインのなかでも尖ったデザインをしています。
ですが、キャラクターデザインに反して、1番ヒロインとしての魅力が高かった。
のっけから「傍にいてほしい」と言ったり、握手をして照れたり、行動も言動もすべてが心をくすぐってくる。
ホワンホワンとした柔らかい声はとにかく耳心地がいい。そのうえ、驚いたときにワッと手を広げたり、額に人差し指をあてて悩んだり、ググッと腕を引いてガッツポーズをしたり、ポージングの可愛さが言葉にできないぐらいに素晴らしいんですよ。
ありえないでしょこの子の発言。こんなんずっと浴びせられていたら頭おかしくなるで。
彼女の種族は、握手をすることに特別な意味があるらしいのですが、彼女と仲を深めたあとに握手をする展開が…………あ、いや…………これ以上言うのは止めておきましょうか。
マリア(サブキャラ)
健気で純情な女の子。主人公にたいしてストレートな好意をむけてくれます。父性だとか兄性だとか、不思議な感情がわいてくるプレイヤーもいるのではないでしょうか。
仕草があざとすぎてヤバイんですよ。それを下心なしの純度100%で見せてくれますからね。マジで可愛いのです。彼女は誰にでも優しいので、困っている人を助けているうちにスラム街の姫みたいになっていて笑いました。めちゃくちゃ魔性の女ですやん。
この発言はもはや、劇場版『機動戦艦ナデシコ』のルリルリですね。
キャゼリナ(サブキャラ)
作中で1番3Dモデルが可愛く作られているケモミミキャラ。亜人ヒロインのなかでは、ケモミミキャラがメインヒロインに据えられることが多いですよね。少なくともエロゲではそういう判断がされるでしょう。
メタファーでは、まさかまさかの脇役でした。
彼女とは、順調に友情を育んでいると思っていたら、終盤に急にデレはじめてビックリしましたね。仲間に加入してほしかったぜ。
もっともっと出番をプリーズ。
ベルギッタ(サブキャラ)
ドギツイ性格のヤクザ系お姉さま。
……かと思いきや、意外にもヒロインとしての魅力が高いです。
たとえば上の画像では「もう…来るなよ」と言っていますが、辛い、寂しい、助けて、また会いにきてと、心の叫びが伝わってくるのですよ。
終盤の彼女の、憑き物が落ちたかのような穏やかで優しい雰囲気が大好きですね。
まとめ
本記事のタイトルに「想像の100倍ギャルゲーだった」と書いていますが、これは事前に公開されていた制作者へのインタビュー記事の内容に反していたからです。
発売前から「本作には恋愛要素はありません」と表明されていました。ですから、恋愛要素にたいする期待値は限りなく低かったんですよね。ですが、実際にプレイしてみたら、恋愛要素を匂わせまくり&ヒロインの魅力を描きまくりで笑いました。
プレイ後に私はこう思いましたね。想像の100倍ギャルゲーだったと。
確かにペルソナシリーズみたいに、恋愛関係を示す直接的な描写はありませんし、キャラクター造形からはエロスが無くなっています。それらを差し引いても、あらゆる面で完成度の高い作品でした。
既プレイ者は共感してくれるかもしれませんが、上の画像のシーンはめちゃくちゃドキドキしましたね。1度きりのチャンスをものにしなければならないという緊張感のなか、主人公の鼓動がドクンドクン大きく高鳴っていくシーンです。それ以外にも、終盤のムービーにはめちゃくちゃ興奮したなぁ。