5,200文字
「こんなシチュエーションは ―― どうかしら?」
dROSEra ~レディ・バッドエンドの初恋~(Tily) | |
ジャンル ―― 淫らな“ごっこ遊び”を実践する恋愛ADV | |
発売日 ―― 2023年07月28日 | |
パッケージ版価格 ―― 4,950円(税込5,445円) ダウンロード版価格 ―― 4,950円(税込5,445円) | |
評価
評価 | おすすめ度 |
★★★★☆ | |
満足度 | |
作品の紹介
今回は【dROSEra ~レディ・バッドエンドの初恋~】を紹介します。
わたくしは予てより「バッドエンドが好きだ」と言っていたのですが、本作をプレイして、自分が面倒くさい性格の人間だということに気づきました。
本作では、バッドエンドが好きだという、拗らせまくった性格のヒロインが登場します。
仲が深まっていくにつれて、丸くなっていくかと思ったら、そんなことはない。
エンドレスに闇落ちしていきます。
あまりの拗らせ具合に、笑ってしまいました。
面倒くさいヒロインが好きな人にはおすすめしますが、嫌いな人なら回れ右。
でも美人なヒロインって、面倒くさい性格だとしても、それが可愛さを引き立たせるスパイスになると思うんですよねー。
ということで私は、面倒くさい性格のヒロインが大好きです。
本作は好みにドンピシャに合っていました。
どんな人向け?
- 面倒くさい性格のヒロインが好きな人
- ストーリーとHシーンの調和がとれた作品を求めている人
- サンプルCGを気に入った人
- 文系
- ドS
攻略情報など
プレイ時間
私のプレイ時間は、ボイスをだいたい聞いて7時間30分ほどです。最初のエッチシーンまでは20分ぐらいかかりました。
攻略情報
攻略サイトを見ると、若干のネタバレになるので、簡易的な攻略を記します。
エッチシーンの選択肢はどちらを選んでもOKです。最後に1つだけエンディング分岐する選択肢があります。セーブ&ロードでどちらも見ておきましょう。
1度でもエンディングを見ると、タイトル画面に「reStart Game」が追加されます。「reStart Game」からスタートして、追加された選択肢を選んでいくと、新たなエンディングに到達できます。
システム
難易度 | 修正パッチ | バックログジャンプ |
簡単 | なし | あり |
備考 | ||
- |
感想
どんなお話?
しおん様は愛されたい ~秀才たちの恋愛頭脳戦~
本作のヒロインは、氷のように冷たい印象を持たれている 初巳 紫音 さん。
彼女は「露世」というペンネームで執筆活動をしています。
そして主人公の 卯城 桜太郎 も同様に「春日 裏葉」というペンネームで小説を書いています。
ある日、桜太郎は、合同誌を刊行したメンバーがあつまる打ち上げに参加することに。
しかし彼は、キング=オブ=ボッチなので隅っこで1人で飲んでいました。
そこで、ゴリラみたいな男たちにナンパされている紫音さんを目撃するのです。
紫音さんはゴリラたちを突っぱねます。
そしたら意外なことに、ゴリラたちはあっさりと引き下がりました。
迷惑をかけてごめんね。よかったらカクテルを1杯奢るよと。
そうして怪しげな店員が、なにやら毒々しい色のカクテルを持ってくるのでした。
ここで主人公はピンときます。
そのカクテルは飲んだらアカンやつだ、と。
某大学のテニスサークルでは、お酒にスピリタスカプセルをいれて飲ませて、女の子たちが昏酔状態になるという事件がありましたからね。
ヤリチンたちは、それでお持ち帰りしちゃうワケなんです。
ということで主人公は、その怪しげなカクテルを奪い取って一気飲み。
そのまま気を失うのでした。
………………
…………
……
目を覚ます主人公。
そこにはオナニーをする紫音さんが。
どうやら主人公は、紫音さんに担ぎこまれて、カラオケボックスに居るようです。
そして彼女は、好きでもない男たちに犯されちゃう悲劇的な展開を想像してオナニーに耽っていたのでした。
つまりさっきのカクテルを、罠だと知りつつ飲もうとしていたのです。
破滅的な思考をしている紫音さん。
彼女はどうやら、バッドエンドを誰よりも愛していて、バッドエンドな妄想でしか興奮できない特殊性癖のもちぬしなのでした。
………………
…………
……
それに対して主人公は、ハッピーエンド至上主義者です。
最悪の結末にむかって進んでいく紫音さんをなんとかするべく啖呵を切ります。
ハッピーエンドの素晴らしさを分からせてやると。
お互いがお互いの筆力を認めているものの、お互いがお互いの主張をうけいれることができない。
本作は、拗らせまくった面倒くさい女との、恋愛分からせバトルを描いた作品です。
見どころ
ストーリー展開
本作は「全5話」の構成で、各話ごとに主人公が小説を書き、紫音さんに見せる展開があります。
彼が提示するハッピーエンドの物語にたいして、紫音さんは、同じシチュエーションでバッドエンドの素晴らしさを説き、それに準えたエッチをするのです。
ライターの雪丸仟さんは「悪の誘い受け文芸女子に性癖を破壊される話」だと紹介していました。
某批評サイトでは、抜きゲーに分類されているようです。私としてはやはり、面倒くさい女との恋愛模様が核だと思っています。
ストーリーとエッチシーンの調和が取れている作品なのです。
特に凄いのは、きちんと作中作の内容が提示されること。
そこを誤魔化さずに書いているからこそ、登場キャラクターに共感を抱くことができました。
ライターの雪丸仟さんは、以前には「理系特化」のエロゲに携わっていたのですが、本作は「文系特化」のエロゲでした。どちらの性質も併せ持っているのは凄いですね。
言い回し
主人公は小説を書いているため、言い回しに凝っているきらいがあります。
「ふん、予定調和の何が悪い。予定と調和のマリアージュこそが最も美しい形だとなぜわからん」
ルビの使い方が独特ですよね。
先ほど紹介した「ゴリラのようなナンパ男たち」は、以下のように表現しています。
類人猿の登場だ。
サブヒロイン
サブヒロインの 時雨 葵 も素晴らしいキャラでした。
抽象的に表現しますが「幼なじみヒロインとしての良さ」があったキャラクターでしたね。
エッチシーンについて
卑語あり。ピー音なし。アナルモザイクなし。
HOOK系列のブランドだとは思えないほどに、凝ったエッチシーンです。
というよりも……
私の性癖にドンピシャでしたよ!!
物語の性質上、和姦であるはずなのに、インモラルな雰囲気のエッチシーンが楽しめます。
そして、ここの系列では珍しく卑語が無修正ですし、使用頻度がそれなりに多い。
さらに、バッドエンド思考である紫音さんは、酷いことをされたり、酷い言葉を浴びせられて喜ぶドMです。
年上の女性が媚びてくるのって最高じゃないですか!?
Sシチュが好きな私は、ドンピシャに刺さりまくりました。
………………
…………
……
極めつきは、
紫音さんの差金によって実現した「疑似・逆NTR」とも言える展開があってマジで興奮しました。
詳細は伏せておきます。
まとめ
ココがイマイチ
- ヒロインの面倒くささは賛否が分かれそう
- レイプ願望があるような発言にモヤッとする人がいるかも
- フェラシーンでは、口元にモザイクが掛からないようにしてほしい
ココがおすすめ
- エッチシーンにこだわりを感じた
- ストーリーとエッチシーンの両立
- 作中作がきちんと作られている
- 紫音さんがめちゃくちゃ可愛い
- サブヒロインの葵も可愛い
- 〆の1文が素晴らしい
【dROSEra】というタイトルは、ヒロインのペンネームである「露世」と、食虫植物である「Drosera」を捩ったものなんでしょうね。
そして「露世」の語源は、「露の世(=露のように儚いこの世)」から来ているんだと思います。
あるいは「薔薇」と掛けているのかもしれません。
そこからヒロインの性質を読み解くことができるでしょう。
バッドエンドという名の「甘い匂い」を発する、拗らせたヒロインだということを……。
面倒くさい女が大好きな人には、一も二もなくおすすめできます。
〆の1文にまでこだわられている作品です。
ぜひともヒロインの行く末を見届けてください。
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