【はじめるセカイの理想論 -goodbye world index-】のパッケージイラスト

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【はじめるセカイの理想論 -goodbye world index-】の感想

2024年3月15日 古城

7,300文字

その答えはきっと世界を導く――
走り出す僕らのアンコール

はじめるセカイの理想論 -goodbye world index-Whirlpool
【はじめるセカイの理想論 -goodbye world index-】のパッケージイラストゲーム属性:シナリオゲー
ジャンル ―― ADV
発売日  ―― 2023年07月28日
パッケージ版価格  ―― 9,800円(税込10,780円)
ダウンロード版価格 ―― 8,800円(税込9,680円)
スタッフ
企画芦井ナオ
シナリオ近江谷宥
原画水鏡まみず
SD原画みるくぱんだ
主題歌 ―― Sweetest Doubt(Vo. 美郷あき)
ED1 ―― ideal world(Vo. solfa feat.小春めう)
あらすじ

ここは、あなたが住む『そこ』ではないどこか。

主人公の少年・小野宮シンは、
この世界を司る神の呼びかけに応えた『転生者』の一人。

「世界を正しく導いて欲しい」

神から託されたのは、この歪な世界の未来そのもの。
周りには彼と同じように異なる世界から招かれてきた仲間たち。
『世界の敵』と称される影の化け物と戦いながらも、どこか穏やかで賑やかな『日常』が続いていた。

少年の心には傷がある。
かつて彼が生きていた世界は嘘にまみれ、その嘘に彼は殺された。

この世界に転生した時、彼が神に願い獲得した能力は『ダウト』
それは、他人の嘘を見抜く力。
もう二度と、嘘が自分を傷つけないようにと。

しかし、その力は同時に仲間たちの心をも暴くものだった。
心に秘めていたことや、目を逸らしていたいもの。
そんな少女たちの傷に触れることで、ぎこちなく、少しずつ、両者の距離は縮まっていく。

日々、刻まれていく終末へのカウントダウン。
かつて自らの居場所を失い、「こうであるべきだった」という理想を胸に隠し、
招かれた少年・少女の思いによって世界は形を変えていく。

終末のその先。
誰かが掲げる理想の世界へ向けて。

――公式サイトより引用

評価

評価おすすめ度
【はじめるセカイの理想論】の評価★★★★★
満足度
満足度80点

作品の紹介

今回は【はじめるセカイの理想論 -goodbye world index-】を紹介します。公式略称は【はじ論】です。

たまたま紅茶にレモンを入れてみたら、予想以上に美味しかった。そうしてレモンティーが誕生し、普及していくことに。

レモンティー

世の中、組み合わせによって、その価値が何倍にも高まるものがあります。【はじめるセカイの理想論】という作品も、テーマや構成がうまく噛み合い、良い作品になっていたと思いました。

【はじめるセカイの理想論 -goodbye world index-】のパッケージ画像

私が所持しているのはパッケージ版です。

どんな人向け?

  • 出演声優目当ての人
  • 水鏡まみず先生のファン
  • ノリが良くてダレずに読めるテキストを求めている人
  • 各ルートでテーマに対するアプローチが違う作品を求めている人
  • キャラ萌えやストーリー展開など、偏りなく力を入れられている作品を求めている人

攻略情報など

プレイ時間

私のプレイ時間は、ボイスをだいたい聞いて24時間ほどです。最初のエッチシーンまでは5時間半ぐらいかかりました。

 

攻略情報

制作スタッフによる推奨攻略順は『 ヒナギク → ティア or ハルカ → ヘルミリア 』で、サブヒロインはお好きな場所でどうぞとのこと。私は『 ヒナギク → ノゾミ先生 → ティア → ヨル → ハルカ → ヘルミリア 』の順でプレイしました。この順番で問題ありませんでした。

 

システム

難易度修正パッチバックログジャンプ
簡単ありあり
備考

感想

どんなお話?

主人公・小野宮シンをはじめとした主要人物は、異世界転生をして、神様から特殊能力を授けられて、世界を救うようにお願いされました。

碇ゲンドウ「シンジ、エヴァに乗れ」

©GAINAX

/ シン、エヴァに乗れ \

少年少女が世界の命運をにぎる「セカイ系」のような作品ではあるのですが、それだけには留まりません。

終末のその先――誰かが掲げた理想の世界を実現することが、個別ルートの主題となっております。

人間はどのように生きていくべきなのか。幸福とはなにか。各々のキャラクターが理想の在り方を見つける物語です。

本作は、人生の目的を見失った、迷える子羊ちゃんにおすすめ。

セイキン「人生の目的を見失いました」

SeikinTVより

ヒロイン紹介

ヘルミリア=ヴァン=ノクスローゼ CV:月野きいろ

ヘルミリア=ヴァン=ノクスローゼ

魔王を名乗り、尊大な態度をとっているが、部屋に引きこもってぐーたらしている問題児。せっかく角がついているんだから、そこを握ってイラマチオさせる通称「イラマチオハンドル」的なシーンがあるかと思いきや、そんなシーンはありません。フハハハハ。

能力

絢爛たる12使徒――12の魔王を召喚・使役する能力。

最上 ヒナギク CV:明羽杏子

最上 ヒナギク

正義感がつよく、おバカでノーテンキな剣士。何度か「私は、難しいことは分からないが……」と言っていたが、これって「俺、馬鹿だから分からねぇけどよ……」と言って本質を突く発言をするアレですよね。わかります。

能力

鬼哭紅蓮――喋る刀。めっちゃ強い。

綾月 ハルカ CV:蒼乃むすび

綾月 ハルカ

あまり感情の起伏がなく、本ばかり読んでいるダウナー系の少女。可愛い。

能力

私のための物語マイ・ディアー・ファンタズマ――本に記した内容が何でも実現してしまう能力。いろいろな制限があるものの、作中でも1番のチート能力。

ティア=フォーレンタイト CV:秋野花

ティア=フォーレンタイト

愛の伝道師を名乗るドスケベなシスター。いや、分かりますよ。シスターといえばドスケベな職業ですからね(エロゲ脳)。彼女が終盤に発した「……おっぱいの触り方は時計回り?」の質問には頭を悩ませました。俺様を悩ませるとはやるじゃねぇか。

能力

永遠の献身エターナル・デポーション――他人の怪我や痛みなど、あらゆる苦痛を自分に転嫁する能力。マゾいっすね。

ノゾミ先生 CV:白月かなめ

ノゾミ先生

学校の先生、兼、主人公たちの属する『救世委員会』の顧問。主人公たちをリスペクトしており、基本的にはイエスマンのおもしれー女。

ヨル CV:夏和子

ヨル

主人公たちと敵対する謎の少女。俺、馬鹿だから難しいことは分からねぇけどよ、こんな可愛い子が悪いヤツな訳ないんじゃねぇかな。

はじ論の特徴

バトル要素あり

多少のバトル展開があります。

体験版部分の動画をみていただければ分かりますが、ノベルゲームとしての長所を活かしていて、テキストでの描写を極力省いて、演出などの視覚情報をメインに表現していました。

 

ノリの良いテキスト

ハルカ「コホン……行け、バーバリアン・シン。人類の未来を守るのだ」

先ほど貼った動画のつづきのシーンですが、ハルカさんの能力によって、主人公が「バーバリアン」と化し、強い戦闘力を手に入れます。

自我や知性を失い、「ウガガガーーーーーーーー!」と、獣のような咆哮をあげながら、敵に突撃していくシンくん(主人公)には笑いました。

 

主人公の能力

さて、ここまで紹介していなかった主人公の持つ能力ですが、その名は「ダウト」。他人の言葉に込められた嘘を見抜く能力です。

ティア「目を閉じて? あたたかな神のご意思はここにあるわ」

たとえば上の画像の発言では、赤字になっている部分が嘘です。つまりこの場面でのティアの発言には、神への信仰心など一切ないことが分かるのです。

嘘を見抜いたところで戦闘では微塵も役に立たないのですが、ヒロインの心に寄り添い、ともに理想を追求する展開へとつながる重要な能力だと思いました。

嘘をつきまくっているヒロインもいれば、ストレートに感情をあらわすヒロインもいる。相手の真意をさぐるのが楽しいのですよ。

このようなシステムを取り入れた作品は他にもありますが、ノベルゲームとの親和性が高いギミックであり、読み物としての面白みが増します。

 

テーマへのアプローチ

定年後の第2の人生のことを「セカンドライフ」といいます。仕事に忙殺されて、趣味を持たなかった人間は、定年後には生きがいを失い、抜け殻のようになってしまう。だからこそ、生きがいを見つけることが重要なのです。

本作も似たようなもので、世界の危機を救ったあとにどのように生きていくのか。各々がどのような理想の世界を思い描くのかが主題となっております。

君たちはどう生きるか

主人公もヒロインも、それぞれ別の世界から転生をしてきた。つまり、まったく異なるバックボーンや価値観をもった人間が、まったく異なる答えを見つけるのです。

それぞれのルートでどのような答えを出すのかが、本作の大きな見どころではないでしょうか。

 

鬼哭紅蓮が可愛い

私が本作を予約買いした理由の1つに、声優陣が好みであることが挙げられます。

紅蓮「すぐムキになる」

嬉しい誤算がありました。事前に注目していた声優以外にも、喋る刀である「鬼哭紅蓮」の声が可愛かったのです。

「お気に入りボイス登録機能」がある場合には、基本的に私は、エロいセリフしか登録しません。

しかし、鬼哭紅蓮の健全なセリフは「声が可愛い」という理由のみで登録してしまいました。自分のポリシーを曲げてまでも。

ズラーッと並ぶエロイ発言の数々に混じって、健全なセリフが登録されているのです。

これは凄いことですよ。笑

スタッフロールを確認したところ、担当声優は、花実萌歌さんでした。

キュー子
(「花実萌歌」………覚えましたし)

これからの花実萌歌さんの活躍に期待しております。どこかのメーカーで、ヒロインに抜擢していただけないでしょうか。

エッチシーンについて

卑語あり。ピー音あり(音消し修正)。アナルモザイクなし。

 

ハルカとの背面座位

水鏡まみず先生の絵の特徴といえば、やはりぷっくりとしたデカい乳首――通称「まみず乳首」でしょうね。

 

ヒナギクのフェラシーン

私としては、フェラシーンの実用性の高さを称賛したい。

チュパ音がうまくて、ケツまで見える構図のヒロインが多くて素晴らしかった。マジで全員、フェラシーンの実用性が高くて関心しました。まみず先生ってアナルの描写もドチャクソ上手いんですよね。これから流行らせましょうよ――「まみずアナル」という単語を。

各ルートの簡易レビュー

致命的なネタバレあり(クリックで展開)

 

ヒナギクルート

ヒナギクルートではありますが、紅蓮(=スイレン)が美味しいところを持っていきましたね。

平和など到底想像できないような世界からやってきたヒナギクが、後悔を清算して、平和な世界を目指すという大きな夢を掲げるまでに変化した終わり方は好きでした。

 

ノゾミ先生ルート

まさかの「ロボ娘」だったノゾミ先生。もともと主人公たちをマンセーするイエスマンだった彼女ですが、恋愛感情にふりまわされて暴走する展開が面白かったです。結末は、理想の世界を否定するというもの。不完全な世界だからこそ、不幸や不条理を試練にして成長できる。個性のある人間が生まれる。納得感の高い答えだと思いますよ。

 

ティアルート

共通ルートからエロい誘惑をしてくる最高のお姉さん。他ルートでも、ヒロインの嫉妬心を引き出してくれる八面六臂の大活躍。

ティアの過去は1番予想外でして、「氷の女王」や「首斬り姫」とよばれる暴君でした。自分の心を殺しつづけていた彼女は、嘘に塗れながらも、愛を求めることをやめなかった。ずっと彼女は、SOS信号を発していたんですね。

ティアをモデルにした神を生みだし、誰もが守られていると感じられるような「大いなる優しさ」に包まれた世界をつくる。そんな世界に、ティアやシンが生まれおちて一緒に過ごしていく。予想の斜め上の結末でした。

ですが、ティアの過酷な前世があったからこそ、こういう世界が実現できたと思うと感慨深い。

話は変わりますが、懺悔室が出てきたんだからさぁ、小窓からチンコをつきだしてフェラをしてもらう「グローリーホール」的なシチュがあったも良かったんじゃないでしょうか? もしくは、せっかくのシスターなんだし、不浄の穴と呼ばれるアナルを犯す展開など。

 

ヨルルート

お尻くらいなら勝手に触ってていいわ」というセリフが心に残りました。感動しました。いつでもお尻を触らせてくれるとか神か!?

 

ハルカルート

理想の世界なんて知ったことか。俺は神のために生きているんじゃない。大切な人と過ごせればいい。世界に人が集まっているんじゃなくて、人が集まっている場所が世界と呼ばれている。そういう結論でした。まさかの、神ちゃんの支配する世界から脱するというアクロバティックなエンディングでしたね。脱出しようとするハルカ&シンを、ヘル子&ヒナギク&ティアが手助けしてくれるシーンが激アツすぎました。感情の起伏が乏しかったはずのハルカさんが、シンくんと恋をして変わっていき、みんなにお別れを告げるときには感情的に大声を出したところも好きでした。ハルカさんが可愛すぎたし満足度が高いです。

 

ヘル子ルート

先に断っておきますが、完全に楽しめた訳ではありません。私はどうしても「お前呼び」ヒロインが苦手なんですよ。不良娘など、使ってても違和感のないヒロインの場合ならまだしも、可愛らしい見た目の女の子による「お前」という呼称は、ストレスで血管がブチブチと千切れるぐらいにはイラつきます。

ですが、おばあちゃんとのエピソードはアカンすわ。そういうのに弱いんすもん (´;ω;`)

ストーリー展開自体はやはり、1番グッとくるものがありましたね。まさかの歴史改変系の展開にビックリしました。理想の世界をつくるのではなく、クソッタレな現実世界と向き合うという成長物語としての良さがありました。

ヘル子は、キャラクターデザインも声も素晴らしいヒロインだと思います。

一言だけ申し上げたい。真柴留美状態でのエッチシーンがないとかマジ?

 

シンルート

今までシンくんは、自分が傷つきながらも他人に優しくしてきました。打って変わってこのルートでは、ヒロインたちがシンくんの答えを尊重してくれるという展開にグッときましたね。彼が掲げた理想の世界とは、誰もが夢見ることができる世界。願いが共存し、尊重しあえる世界。シンくんならではの優しい結論です。

〆方は、誰のルートにでも入ることができそうな終わり方でGOOD。ハーレムルートになる可能性があるのも素晴らしい。

 

まとめ

ココがイマイチ

  • お前呼びヒロイン
  • 卑語に音消し修正あり
  • エッチシーンのバリエーションに乏しい

 

 

ココがおすすめ

  • キャラ萌えとストーリー展開のどちらにも力が入っている
  • それぞれのルートでテーマに対する回答が用意されている
  • キャラクターデザインが良い
  • フェラシーンが良い
  • 声優陣が良い
  • ノリが良い

 

 

過去作の経験を活かして、「ヒロイン全員がトゥルールート」という構成にしたのが功を奏しましたね。ルートによって、テーマにたいする結論が変化したので面白かったです。

シリアスになりすぎないよう、ちょいちょい明るい展開を入れ、ダレずに読み進められました。そして、声優やイラストの質が高い。

さらに、主人公の「嘘を見抜く能力」がノベル系アドベンチャーゲームとしての面白さを引き出していたりと、さまざまな要素の噛み合わせがうまくいき、Whirlpool作品のなかでも評判の良い1作となったんではないでしょうか。

制作者の考える理想論・幸福論をぶつけられたい人におすすめします。

パッケージ版

ダウンロード版

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