7,300文字
その答えはきっと世界を導く――
走り出す僕らのアンコール
はじめるセカイの理想論 -goodbye world index-(Whirlpool) | |
ジャンル ―― ADV | |
発売日 ―― 2023年07月28日 | |
パッケージ版価格 ―― 9,800円(税込10,780円) ダウンロード版価格 ―― 8,800円(税込9,680円) | |
評価
評価 | おすすめ度 |
★★★★★ | |
満足度 | |
作品の紹介
今回は【はじめるセカイの理想論 -goodbye world index-】を紹介します。公式略称は【はじ論】です。
たまたま紅茶にレモンを入れてみたら、予想以上に美味しかった。そうしてレモンティーが誕生し、普及していくことに。
世の中、組み合わせによって、その価値が何倍にも高まるものがあります。【はじめるセカイの理想論】という作品も、テーマや構成がうまく噛み合い、良い作品になっていたと思いました。
どんな人向け?
- 出演声優目当ての人
- 水鏡まみず先生のファン
- ノリが良くてダレずに読めるテキストを求めている人
- 各ルートでテーマに対するアプローチが違う作品を求めている人
- キャラ萌えやストーリー展開など、偏りなく力を入れられている作品を求めている人
攻略情報など
プレイ時間
私のプレイ時間は、ボイスをだいたい聞いて24時間ほどです。最初のエッチシーンまでは5時間半ぐらいかかりました。
攻略情報
制作スタッフによる推奨攻略順は『 ヒナギク → ティア or ハルカ → ヘルミリア 』で、サブヒロインはお好きな場所でどうぞとのこと。私は『 ヒナギク → ノゾミ先生 → ティア → ヨル → ハルカ → ヘルミリア 』の順でプレイしました。この順番で問題ありませんでした。
システム
難易度 | 修正パッチ | バックログジャンプ |
簡単 | あり | あり |
備考 | ||
- |
感想
どんなお話?
主人公・小野宮シンをはじめとした主要人物は、異世界転生をして、神様から特殊能力を授けられて、世界を救うようにお願いされました。
/ シン、エヴァに乗れ \
少年少女が世界の命運をにぎる「セカイ系」のような作品ではあるのですが、それだけには留まりません。
終末のその先――誰かが掲げた理想の世界を実現することが、個別ルートの主題となっております。
人間はどのように生きていくべきなのか。幸福とはなにか。各々のキャラクターが理想の在り方を見つける物語です。
本作は、人生の目的を見失った、迷える子羊ちゃんにおすすめ。
ヒロイン紹介
ヘルミリア=ヴァン=ノクスローゼ CV:月野きいろ
魔王を名乗り、尊大な態度をとっているが、部屋に引きこもってぐーたらしている問題児。せっかく角がついているんだから、そこを握ってイラマチオさせる通称「イラマチオハンドル」的なシーンがあるかと思いきや、そんなシーンはありません。フハハハハ。
最上 ヒナギク CV:明羽杏子
正義感がつよく、おバカでノーテンキな剣士。何度か「私は、難しいことは分からないが……」と言っていたが、これって「俺、馬鹿だから分からねぇけどよ……」と言って本質を突く発言をするアレですよね。わかります。
綾月 ハルカ CV:蒼乃むすび
あまり感情の起伏がなく、本ばかり読んでいるダウナー系の少女。可愛い。
ティア=フォーレンタイト CV:秋野花
愛の伝道師を名乗るドスケベなシスター。いや、分かりますよ。シスターといえばドスケベな職業ですからね(エロゲ脳)。彼女が終盤に発した「……おっぱいの触り方は時計回り?」の質問には頭を悩ませました。俺様を悩ませるとはやるじゃねぇか。
ノゾミ先生 CV:白月かなめ
学校の先生、兼、主人公たちの属する『救世委員会』の顧問。主人公たちをリスペクトしており、基本的にはイエスマンのおもしれー女。
ヨル CV:夏和子
主人公たちと敵対する謎の少女。俺、馬鹿だから難しいことは分からねぇけどよ、こんな可愛い子が悪いヤツな訳ないんじゃねぇかな。
はじ論の特徴
バトル要素あり
多少のバトル展開があります。
体験版部分の動画をみていただければ分かりますが、ノベルゲームとしての長所を活かしていて、テキストでの描写を極力省いて、演出などの視覚情報をメインに表現していました。
ノリの良いテキスト
先ほど貼った動画のつづきのシーンですが、ハルカさんの能力によって、主人公が「バーバリアン」と化し、強い戦闘力を手に入れます。
自我や知性を失い、「ウガガガーーーーーーーー!」と、獣のような咆哮をあげながら、敵に突撃していくシンくん(主人公)には笑いました。
主人公の能力
さて、ここまで紹介していなかった主人公の持つ能力ですが、その名は「ダウト」。他人の言葉に込められた嘘を見抜く能力です。
たとえば上の画像の発言では、赤字になっている部分が嘘です。つまりこの場面でのティアの発言には、神への信仰心など一切ないことが分かるのです。
嘘を見抜いたところで戦闘では微塵も役に立たないのですが、ヒロインの心に寄り添い、ともに理想を追求する展開へとつながる重要な能力だと思いました。
嘘をつきまくっているヒロインもいれば、ストレートに感情をあらわすヒロインもいる。相手の真意をさぐるのが楽しいのですよ。
このようなシステムを取り入れた作品は他にもありますが、ノベルゲームとの親和性が高いギミックであり、読み物としての面白みが増します。
テーマへのアプローチ
定年後の第2の人生のことを「セカンドライフ」といいます。仕事に忙殺されて、趣味を持たなかった人間は、定年後には生きがいを失い、抜け殻のようになってしまう。だからこそ、生きがいを見つけることが重要なのです。
本作も似たようなもので、世界の危機を救ったあとにどのように生きていくのか。各々がどのような理想の世界を思い描くのかが主題となっております。
主人公もヒロインも、それぞれ別の世界から転生をしてきた。つまり、まったく異なるバックボーンや価値観をもった人間が、まったく異なる答えを見つけるのです。
それぞれのルートでどのような答えを出すのかが、本作の大きな見どころではないでしょうか。
鬼哭紅蓮が可愛い
私が本作を予約買いした理由の1つに、声優陣が好みであることが挙げられます。
嬉しい誤算がありました。事前に注目していた声優以外にも、喋る刀である「鬼哭紅蓮」の声が可愛かったのです。
「お気に入りボイス登録機能」がある場合には、基本的に私は、エロいセリフしか登録しません。
しかし、鬼哭紅蓮の健全なセリフは「声が可愛い」という理由のみで登録してしまいました。自分のポリシーを曲げてまでも。
ズラーッと並ぶエロイ発言の数々に混じって、健全なセリフが登録されているのです。
これは凄いことですよ。笑
スタッフロールを確認したところ、担当声優は、花実萌歌さんでした。
これからの花実萌歌さんの活躍に期待しております。どこかのメーカーで、ヒロインに抜擢していただけないでしょうか。
エッチシーンについて
卑語あり。ピー音あり(音消し修正)。アナルモザイクなし。
水鏡まみず先生の絵の特徴といえば、やはりぷっくりとしたデカい乳首――通称「まみず乳首」でしょうね。
私としては、フェラシーンの実用性の高さを称賛したい。
チュパ音がうまくて、ケツまで見える構図のヒロインが多くて素晴らしかった。マジで全員、フェラシーンの実用性が高くて関心しました。まみず先生ってアナルの描写もドチャクソ上手いんですよね。これから流行らせましょうよ――「まみずアナル」という単語を。
各ルートの簡易レビュー
まとめ
ココがイマイチ
- お前呼びヒロイン
- 卑語に音消し修正あり
- エッチシーンのバリエーションに乏しい
ココがおすすめ
- キャラ萌えとストーリー展開のどちらにも力が入っている
- それぞれのルートでテーマに対する回答が用意されている
- キャラクターデザインが良い
- フェラシーンが良い
- 声優陣が良い
- ノリが良い
過去作の経験を活かして、「ヒロイン全員がトゥルールート」という構成にしたのが功を奏しましたね。ルートによって、テーマにたいする結論が変化したので面白かったです。
シリアスになりすぎないよう、ちょいちょい明るい展開を入れ、ダレずに読み進められました。そして、声優やイラストの質が高い。
さらに、主人公の「嘘を見抜く能力」がノベル系アドベンチャーゲームとしての面白さを引き出していたりと、さまざまな要素の噛み合わせがうまくいき、Whirlpool作品のなかでも評判の良い1作となったんではないでしょうか。
制作者の考える理想論・幸福論をぶつけられたい人におすすめします。
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