8,866文字
――ここが平和を巡る最前線
アンラベル・トリガー(Archive) | |
ジャンル ―― ADV | |
発売日 ―― 2024年03月29日 | |
パッケージ版価格 ―― 9,800円(税込10,780円) ダウンロード版価格 ―― 9,000円(税込9,900円) | |
評価
評価 | おすすめ度 |
★★★★★ | |
満足度 | |
作品の紹介
今回は【アンラベル・トリガー】を紹介します。公式略称は【アントリ】です。
有名な思考実験の1つ『トロッコ問題』をご存知でしょうか?
暴走するトロッコがあります。あと少しで5人の作業員を轢いてしまう。あなたがレバーを操作すれば、進路が切りかわり1人の犠牲で済む。どうするのが正解なのでしょう。
いろんなご意見があると思います。
今回紹介する【アントリ】もまた、その問題に対する解答を用意している作品です。
どんな人向け?
- 異能バトルが好きな人
- ボリュームのある作品を求めている人
- キャラクターデザインにグッときた人
- 未来へと歩む前向きな物語を読みたい人
- 多くのキャラクターが活躍する作品を求めている人
攻略情報など
プレイ時間
私のプレイ時間は、ボイスをだいたい聞いて31時間ほどです。最初のエッチシーンまでは16時間ぐらいかかりました。
攻略情報
選択肢は1ヵ所だけです。推奨攻略順は『レイリ→ソフィア→ミリセント』です。
システム
難易度 | 修正パッチ | バックログジャンプ |
簡単 | あり | あり |
備考 | ||
※パッチを適用すれば動作が軽くなるようです。 |
感想
どんなお話?
世界観
アンラベル・トリガーは、さまざまな種族がいるファンタジー世界のお話です。
ストーリーに大きく関わるのは3つの主要国です。人間を中心とする「合衆国」。吸血鬼を中心とする「帝国」。獣人を中心とする「連邦」。この3ヵ国に挟まれているのが、本作の舞台である「中立特区」です。
中立特区では、3ヵ国の国民が共存しているため、常日頃から争いが絶えません。
吸血鬼にとって、他の生物は血をすするための餌。自分たちこそが優等人種だと考えています。すべての生物を見下しているのですが、とくに身体能力の劣る人間のことを差別しています。
とうぜん人間側は、吸血鬼のことを良く思っていません。なんなら戦争をおこして、吸血鬼を滅ぼしてしまえと考えている人すらいます。
獣人の住む連邦はというと、合衆国と帝国の争いによって、利益を得ることになった狡猾な国家です。
学校の教科書にも載っていたので、みなさんご存知だとは思いますが、日清戦争で漁夫の利を得たロシアのような感じですね。
さて、国家間や種族間で、拗れに拗れた複雑な関係になっていることはご理解いただけたでしょうか。
それを踏まえたうえで、本作のセンターヒロインの主張を見てみましょう。
……無理じゃね?
戦争を起こしたいヤツらと、戦争で利益を得たいヤツらと、他種族を憎んでいるヤツらで溢れていますからね。
扱いの難しい無理難題にどう挑んだのか。結末はあなたの目でお確かめください。
主要キャラクター
ミリセント・フリード・レオンハルト CV:明羽杏子
愛称はミリィ。帝国の第一皇女。こう言っては元も子もないですが、顔がいい。普段から可愛いのですが、変装のためにメガネを掛けている姿もキュート。
服装の綺羅びやかさも目を見張ります。公式サイトの立ち絵一覧をみたら度肝を抜くでしょう。私のお気に入りの衣装はドレスです。あれほど華やかで美しい衣装はそうそうお目にかかることはできません。
そして性格がいい。ストレートに理想を語り、平和の実現にむけて邁進する姿には美しさすら感じます。
ソフィア・ノスコーヴァ CV:松岡侑里
諜報機関である「連邦国家保安委員会」――通称 CSS の中将。主人公のカイくんとは、お互いに利用し利用されるという WIN-WIN の関係を築いており、すごく簡単な言葉にまとめると「対等な相棒」のような立ち位置であった。これは人気が出るだろうなと思いましたね。あとクーデレです。最強のクーデレ。冷酷無比な彼女が、カイくんに対してだけ様子がおかしくなってしまうシーンなんかは発狂モノでしたよ。
小花衣 レイリ CV:くすはらゆい
主人公の所属する「トリガー探偵事務所」にアルバイトとして入所します。明るくて元気な女の子。主人公にたいして、出会った当初はツンツンとしているものの、わりと早いうちにデレる。その後は、主人公に好かれようと、懸命にアタックしつづけます。めちゃくちゃ健気でした。声優はくっすー。わりと序盤にささやき声を出すシーンがあるんですが、コンマ1秒ほどでお気に入りボイスに登録しましたね。あれはズルい。
榊 カイ
普段はやる気がないけれど、いざとなったら強いうえに頭がまわるタイプの主人公。報酬さえ貰えれば何でもやってくれる守銭奴。……かと思いきや、面倒見のよさ、責任感のつよさ、計画性のたかさを持っており、素の部分の性格はカッコいい。
アントリの特徴
思考を巡らせる時間が楽しい
先ほど、国家間や種族間の争いについてお話しましたが、同じ国家の人間でも「所属する組織」によって目指すところは違います。もっと言えば、個人個人の目的や考え方ですらバラバラです。
亡くした過去を乗り越えて、
未来へと歩む物語――
世界情勢などのマクロな流れから、個人対個人のミクロな流れまで、さまざまなものが交差するドラマ性のたかい作品となっております。
1話ごとにエンディングが流れるのですが、この構成がうまくハマっていた。
毎回、各エピソードごとに、続きが気になるような引きで終わります。
逸る気持ちをおさえながら、エンディング曲に耳をかたむける。曲を聞きながら、エピソードを振り返って頭のなかを整理する。そして、次の展開を予想したり妄想したり思考を巡らせる。この時間が本当に楽しかった。
アントリの好印象だったポイントは「道中退屈しなかった」「共通ルートを長らく楽しめた」「エピソードごとに思考を巡らせる時間が楽しかった」――この3点が大きい。
また、ルートによって敵対する人間が変わったり、抱えていた秘密が明かされる展開も面白かったです。
立ち絵の切り替え
私がエロゲにおいて重要視している要素の1つに「いかに妄想を楽しめるか」というものがあります。
本作では、目パチ・口パクが用意されているのですが、喋っていないキャラクターの立ち絵も細かく切り替わっている。
私はボイスをじっくりと聞くプレイスタイルです。ボイスを聞きながら立ち絵や CG を眺めて、頭のなかでキャラクターを動かしています。本作では、話者以外のキャラクターの立ち絵も切り替わってくれるために、妄想力が刺激されました。
タイトル回収
エピソードごとにタイトルがついています。タイトルとなったセリフが作中に登場するのです。タイトルが回収されたときに「うおおおお!」とテンションの上がるタイプのオタクは、これを10回以上も味わえるワケですわ。ということで、タイトル回収☆絶頂オタクくんにおすすめ。
異能バトル
メインの要素ではありませんが、バトル展開もあります。
レガシー・ノーブルと呼ばれる異能者が登場します。
主人公は、身体能力で他種族におとるものの、経験と知性でそれをカバーしていました。バトル展開も退屈することなく楽しめましたよ。
多数のキャラクター
ヒロイン・サブヒロインだけでなく、男キャラクターに至るまで、たくさんの魅力的な人物が登場します。脇役にすらバックボーンが用意されているのが憎いところ。
私的には、モテモテ感があるのも嬉しいポイントですね。
エッチシーンについて
卑語なし。ピー音なし。アナルモザイクなし。
シーン数は非常にすくないです。しかし、1シーンにつき2回戦は行うので、ボリューム不足には感じませんでした。
残念ながら卑語はありません。描写自体はわるくなく、それなりに実用性は感じました。
お気に入りのシーンはソフィアの後背位です。
全員にフェラシーンが用意されているのは素晴らしかったですね。
ただ、過剰にルビを振っているので読みづらい。
エッチシーン中は IQ が下がっている状態です。あまり頭をつかわずに、イラストを眺めたりボイスを聞くことに集中したい。しかし、過剰にルビが振られていたため、小さい文字を目を凝らして追うことになり、実用性もクソもありませんでした。
あまり文句を言っている人を見かけませんが、お前らもっとエッチシーンに真剣になれ。
ここだけでも次回作以降は改善していただけると嬉しいです。
豪華版の追加シナリオ
卑語なし。ピー音なし。アナルモザイクなし。
プレイ時間は1時間ほど。サブヒロインである「シルヴィア」「アリーシャ」「若葉」との恋人関係になったあとのお話です。エッチシーンを楽しむためのおまけシナリオと言った感じ。
まずシルヴィアのケツ。マジでエロい。これはもはや「尻ヴィア」と呼んでもいいかもしれない。
つぎにアリーシャの甘やかし手コキ。セリフがエロくて実用性が高い。ご主人様呼びもGOOD。
さいごに若葉の媚びプレイ。いやらしくケツを向けながら自分のことを「学生オナホ」と言って卑下する。あまりにも性癖にドンピシャすぎてチンコが爆発しました。
ネタバレ感想
既プレイ者むけの簡易レビューです。
まとめ
ココがイマイチ
- ドラマ性やテンポ感が重視されているので描写不足に感じる場面も
- PCのスペックによっては動作が重いらしい(改善パッチあり)
- 魅力的な攻略不可ヒロイン
ココがおすすめ
- 全ヒロイン可愛い
- サブキャラも魅力的
- 飽きずに読み進められる
- 敬語ヒロイン好きの桃源郷
- 先の展開を予測するのが楽しい
- それぞれのキャラのバックボーンが描かれている
体験版を楽しめたのならば、本編を買っても問題ないでしょう。共通ルートでは体験版のような展開が続きます。少なくともルート分岐までの14時間ぶんは楽しいわけですよ。
体験版をプレイせずとも、面白そうだと思ったら、思い切って買っちゃいましょう。
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