白昼夢と青写真のパッケージ画像

PRを含みます エロゲーの感想

【白昼夢の青写真】の感想

古城

6,688文字

 

 

これは、世界と呼ばれた一人の少女の物語。

白昼夢の青写真Laplacian
パッケージ画像ゲーム属性:シナリオゲー
ジャンル ―― SFADV
発売日  ―― 2020年09月25日
パッケージ版価格  ―― 8,800円(税抜)
ダウンロード版価格 ―― 7,800円(税込)
スタッフ
企画・シナリオ緒乃ワサビ
原画霜降/ぺれっと
ディレクター林亮介
主題歌
CASE-0 ―― Into Gray(Vo.yuki)
CASE-1 ―― クラムボン(Vo.yuki)
CASE-2 ―― 冷たい壁の向こうに(Vo.yuki)
CASE-3 ―― 恋するキリギリス(Vo.yuki)

あらすじ

人類は同じ夢を見るようになった。

ある晩は、女生徒と教師の不倫の物語であり――

ある晩は、劇作家と女優の身分を超えた恋物語――

またある晩は、不登校の少年と教育実習生の淡い初恋――

3種類の夢を、人類は繰り返し見るようになった。

何故、全人類が同じ夢を見つづけるのか。

これは、世界と呼ばれた一人の少女の物語。

公式サイトより引用

 

 

 

評価

 

 

評価おすすめ度
【白昼夢の青写真】の評価★★★★★
満足度
満足度82点

 

 

 

作品の紹介

 

 

今回紹介するのは【白昼夢の青写真】。

今まで発売されたLaplacian作品のなかでも、きっちりと物語の〆まで描かれていますし、作中の4つの物語がそれぞれ違った持ち味があって面白かったです。

 

 

所持証明

所持しているのはパッケージ版です。

 

 

 

攻略情報など

 

 

プレイ時間

私のプレイ時間は20時間ぐらいでした。最初のエッチシーンまでは5時間です。

 

 

攻略

一本道です。途中で選択肢がでてきますが、結局すべて選ぶことができるので、気にせず読み進めましょう。

CASE-1~CASE-3の前半シナリオはランダムで順番が決まります。3つ目にどのシナリオを読んだかによってCGが違う場面があります。差分CGもきちんと回収したい人はセーブ&ロードで回収しましょう。

 

 

パッチ

公式サイト

 

 

システム

バックログ画面からのシーンジャンプ機能あり。

 

 

 

どんな人向け?

 

 

  • 体験版を楽しめた人
  • ラプラシアンの作品が好きな人
  • シナリオがよく練られている作品を求めている人
  • グラフィックや音楽が優れている作品を求めている人
  • 評価の高い作品は押さえておきたい人
  • 声優の神代岬さんのファン

私は【白昼夢の青写真】は、比較的万人におすすめできる作品だと思っていますが、非処女ヒロインに拒否反応を示す人や、ただただ明るいだけの作品をやりたい人にはおすすめできません。

 

 

 

感想

 

 

どんなお話?

【白昼夢の青写真】は、CASE-1~3の独立した3つのストーリーが、CASE-0に集約されているという珍しい形式の作品。

 

CASE-1

CASE-1キービジュアル

静かな教室に、無機質なチョークの音が響く。

の一文からはじまります。

かつて抱いていた熱意を失い、伸びきったゴムのような弾力のない毎日をおくる45歳の非常勤講師有島芳ありしまかおると、

いつも1人で過ごしていて、表情に陰りがみられる女学生波多野凛はたのりんの不倫の物語。

 

CASE-2

CASE-2キービジュアル

???「デンマークの城にはな、幽霊が出るんだ。ただの幽霊じゃねぇぜ、王の幽霊だよ」

の一文からはじまります。

酒場で働く男ウィリアム・シェイクスピアと、演劇を愛している貴族の女オリヴィア・ベリーの身分を超えた恋物語。

お察しのとおりイングランドの劇作家『ウィリアム・シェイクスピア』をモチーフにしてつくられたお話です。

 

CASE-3

CASE-3キービジュアル

指に引っかけていたキーリングを外し、テーブルにおく。

の一文からはじまります。

母親のようなカメラマンになりたくて、学校にも行かずに夢を追いかけている少年飴井カンナあめいかんなと、

教育実習生としてカンナの学園に実習にきている桃ノ内すもももものうちすももとの淡い初恋の物語。

 

CASE-0

CASE-0キービジュアル

CASE-1~3のお話を夢のなかで見ている主人公の海斗かいととヒロインの世凪よなぎ

なぜそれらの夢を見ていたのか。海斗や世凪は何をしたいのか。

そうした物語の革新部分を担っているお話です。

 

ポイント

CASE0~3それぞれ時代や世界観が違いますし、明るい話だったり、切ない話だったり、暗い雰囲気の話だったり、壮大なお話だったり、サクセスストーリーのようなお話だったりと傾向が違います。

なので、どれかしらのお話は刺さると思う。

また、グラフィックや音楽のクオリティも高いですし、合う合わないはあるかもしれませんが、買って損だということはないはず。

「高評価の工作がされているからホントに面白いのか懐疑的だ」と言う人もいれば、「ラプラシアンは気に食わない」だとか思っている人もいるかもしれませんが、体験版をプレイしてよほどツマラナイと思わなかった方ならば楽しめると思います。おすすめできます。

 

現に「延期した作品に面白いものはない」だとか「2作連続でダメだったから次の作品が面白くなるはずがない」だとか言っている人がテノヒラクルーしているのを目にしました。笑

 

 

過去作はプレイすべきか

CASE-1~3それぞれラプラシアンが過去に発売した【キミトユメミシ】【ニュートンと林檎の樹】【未来ラジオと人工鳩】の世界観と繋がりがあります。

背景音楽UIが過去作と同様のものだったり、テキストでニヤリとできる部分があります。

しかし、過去作をプレイしていなくても世界観やストーリーは把握できます。

 

ナンバリングタイトルではないですが、【人類最強性欲の嫁 工口倫子】も一応曲が使われている部分がありました。

ラプラシアンのファンであればファンであるほど思い入れ深くなるファンサービスにあふれている作品ですね。

 

 

エッチシーンについて

卑語なし。ピー音なし。アナルモザイクなし。

 

エッチシーンは、正直クッソ薄かったです。

私がクソガキだったころ、友人の山田くん家に遊びにいったとき出してもらったカルピスぐらい薄かったです。

どんだけ水入れてねん……みたいな。

チュパ音とかありえないぐらい控えめだったのですが、あれは作中の雰囲気を重視してのものだったのでしょうか。

 

エッチシーンの絵に関しては、差分もしっかりと用意されていましたし、人によっては実用的に感じる人もいそうです。

 

 

演出について

目パチ口パクあり。

 

演出は優れていたと思います。

とくに好きなのはCASE-3の写真を撮るシーン。

写真を撮るシーン

対象物をファインダーにおさめてピントをあわせた状態で停止したので、「どうすればいいんだろう」と思いクリックしたら「カシャッ」と小気味好いSEとともに写真を撮ったかのような感覚を得ることができたのが素晴らしかったですね。

クリックして読みすすめるADVゲームならではの持ち味を感じました。

 

 

ネタバレ感想

ここからはネタバレがあります。既プレイじゃないと内容を理解できないと思います。
この項目を飛ばす方はこちらをクリック

 

CASE-3

私はCASE-2→3→1の順でのプレイとなりましたが、一応時系列順(世凪が書いた物語順)でネタバレ感想を書こうと思います。

 

CASE-3は、すももと梓姫のキャラが濃くて、とにかく明るいノリで楽しいルートでした。

前半で1番好きだったシーンはここ。

すもも「だよね、知ってた」

この一枚絵があまりにも綺麗で見惚れてしまいました。

すももが本来の生き生きとしている姿を見せてくれて、カンナが自分の本当に好きなモノにふれる瞬間。お互いの「生き方」と「気持ち」が交差する瞬間。ただカメラのピントが合っただけのシーンではないんです(なに言ってんだこいつ)。

こんな笑顔を見せられたら、そりゃあ恋にも落ちるでしょうよ。

 

後半には、みんなで楽しく過ごしてきたガレージでの生活に少しずつ終わりがみえてきて、寂しくもありつつ明るいノリは続きます。

結局、自分が本当にやりたかったこと、自分らしさを見つけることができて、すももとカンナがお互いの再開を願って分かれる爽やかな終わり方でした。

すもも「……たのしかった……」

このしんみりとした気持ちは、我々ユーザーも共鳴したはず。

 

OPの『恋するキリギリス』とそのBGMバージョンがあまりにも可愛らしいメロディで、めちゃくちゃ好きです。

 

CASE-2

私は1番最初にCASE-2をプレイしました。

まず思ったのが、「ロブの声かっけーな」ってこと。笑

平田広明さんみたいな渋い声でした。

 

このお話はシェイクスピアの逸話や代表作をもとにつくられていて、他とは違う持ち味がありました。

後半にウィルが覚醒して、劇団がどんどんと成果をだしていくところ、キキやトーマスをはじめとした劇団員と仲良くなっていくところ、オリヴィアが徐々にデレていくところなど、サクセスストーリーのような爽快感がありました。

コメディとマジメなシーンがいい感じの塩梅で配合されており、1番ラプラシアンっぽいノリで楽しかったように思います。

キキ「ボク? ボク男だよ? チンチンついてるよ」

チンチンついててもいいから攻略したい(´;ω;`)

 

1番すごいのは、作中劇の楽しさが伝わってきたこと。

たとえば他のエロゲでもよくコンサートや演劇などを作中でやることがありますが、「盛り上がった」だの「鳥肌が立った」だののテキスト描写があるものの、それそのものの面白さが伝わってこないことがあります。

でも【白昼夢の青写真】のCASE-2では、ちゃんと描写できていたのです。

たとえば作中でトーマスが女役をすることにより、配役に面白みがでたことが私にも伝わってきました。

「この劇は本当に面白いんだろうなぁ」というのが伝わってきたのです。

これって凄いことじゃないですか?

 

最後には切ない分かれが待っているのですが、CASE-2は総じて好きな物語でした。

おれとオリヴィアの出会いは、永遠になる――

こんなにロマンチックな身分違いの恋は、他にないでしょう。

創作作品ならではの良さがあるほうが私は好きなので、1番楽しかったのはCASE-2なのでした。

 

「お前を舞台で輝かせられるのは――」

「この世界でおれだけだ」

主人公のウィルがかっこよすぎて最高!

 

CASE-1

CASE-1をプレイしてまず思ったのが、「やたらと哀愁が漂っているな」ということ。笑

私は好きな話ですよ。

主人公がただ虚無な日々をすごしていて悲哀と諦観にあふれているからか、好まない人もいるかもしれませんが、私はけっこう共感していました。

立派な人生を歩んでいるわけでもなく、夢を掴んで成功しているわけでもなく、生き生きと毎日を過ごしているわけでもない私は、有島といううだつの上がらない男に共感していたというか、彼と接することで安心していた面があると思います。笑

 

死の淵までたどりつき、自分の内面ととことんまで向き合い、すべてを文章にして吐き出し、それを愛する人にうけとめてもらうことで、「生きていく」強さを手に入れるという、非常にエモーショナルでセンチメンタルで繊細なお話でした。

私の世界が、凛一色になっていた。

色のない自分に、色が差すような移り変わりが美しい。

 

ただ一点。最後に小説を新人賞に応募しようみたいな話がでてきて、明るい展望をにおわせたのに、とくに応募したりすることなく離別したことが不満でした。

 

CASE-0

CASE-0は面白かったのですが、重くてシリアスなシーンが続いたところなんかは読んでいて疲れましたね。

最初から体が動かなくなった母がでてきて、切ない香りがぷんぷんと漂っていました。

母「……海斗のこと、世凪ちゃんにお願いして、いい?」

今にして思えば、お母さんは世凪に海斗のことを任せて安心したからこそ、「基礎欲求欠乏症」が進行したんでしょうね。切ない(´;ω;`)

そして海斗が作った車をシャチにこわされた原体験が、CASE-3のキャンピングカーに繋がっているんだと思うと面白い。

 

リープくん「――――」

リープくんがガチで可愛かった。

世凪「……ウソだろ……ウソだと言ってくれ……」

コレにならなくてよかったよ……ホント。

 

出雲「わたしも、もう一度世凪に会いたい」

出雲が自分の意見を言って、人間くさい一面をみせたところが好きです。それと、出雲は「世凪のつくった物語の様々な人物」をコミカルに演じていたことが判明して、余計に好きになりました。

 

里桜の幸せが、遊馬と過ごした時間だと判明したシーン

実をいうと、1番泣きそうになったところは、ここのシーンだったりします。

遊馬の奥さんが、一途に旦那を想っていたところ。

遊馬は遊馬で、奥さんである里桜を助けたい一心だったんですよね。

 

なんか、

急に文章が散らかりだしてスミマセン。

長時間感想を書き続けていて、頭が回らなくなってきました。

あと、思い出そうとすると、再び心が疲弊します。笑

それでも大事なところは書いておかないとなので、もう少し踏ん張ります。

 

最後は、「世界」になった世凪のことを語り続ける海斗……その海斗のもとに世凪がやってくるのです。

すごく余韻の良い終わり方でした。

世凪「ただ――あなたのことを愛している一人の女の子だよ」

この展開は正直予想していたんですよね。

「統合思考空間」という概念の説明

なぜなら海斗と世凪のイメージを統合することにより、海斗のママと再開した描写があったからです。

完全記憶能力をもつ海斗が、「世界」になった世凪のことを語りつづけることで、次第に世凪のことが認知されていき、共通認識となり、最後にはそのイメージが具現化する。非常に素晴らしい〆方だったと思います。

 

ラプラシアンはこのように明示していました。

“個性”と呼ばれているものの正体は、今日までの記憶の集積でしかない。

つまりあの世界に顕現した世凪は、まぎれもなく我々の知っている世凪本人なのではないでしょうか。

 

以前に「命と世界を天秤にかける」ことがテーマの1つだという公式の見解をみました。

海斗に(不完全ながら)記憶を取り戻してもらった世凪は、

「わたしは自分で、わたしがどうあるか、決めたい」

と言い、

「わたしは――あなたの手で、みんなの世界になりたい」

と言いました。

そして「世界」になるまえ、眠るまえに、

「……こんな、にせものみたいなわたしを大事にしてくれて、ありがとね」

と言っていました。

 

それに対して、記憶のあったころの世凪は、

世凪が「……実験、もうやめちゃダメかな」と、弱音を吐くシーン

このような泣き言をこぼしたことがありました。

 

こうして見比べてみると、記憶がかけた状態の世凪は、「世界」のために自分を犠牲にしたように見えますが、「本来の自分」と「海斗」のために自分を犠牲にしたようにも見えます。

 

不満点

表記ゆれ、医療に関するあれこれ、存在意義のわからなかったキャラなど細々とした欠点をあげていくと、重箱の隅をつつくような感じになってしまいますので、とりあえず1番の不満点を書きます。

私が1番大好きだったCASE-2が、エピローグとおまけシナリオによりレイプされまくっていたこと。

「ロミオとジュリエット」で例えるとですね、自殺をしたはずのロミオとジュリエットは実は死んだふりをしていただけで、今は2人は幸せに暮らしています。みたいな一文を最後に足されたようなものです。

あの儚げな、でも壊されることのない永遠の愛が壊されたかのような感覚。

そしてオマケのエッチシーンでは、ウィルが早漏になっていて笑ったのですが、正直キャラクター性をぶち壊していましたよ。ムカつきます。

漏れのカッコいいウィルを返して(´;ω;`)

 

総評

いくつか不満点はありますが、面白かった。

凛「……書いたことのない人は、いつも勝手なこと言うね」

ライターさんの心の叫びも伝わってきました。

工口倫子の感想で好き放題言って申し訳ない……。ラプラシアンの作品は1作目から全部購入しています。アンチではない。

 

バックログ画面の左下に薄っすらと

Izummo Ver 2.0
Simulate Support System

と書いてあったり、

アンドロイドである出雲は目パチ(瞬き)がなかったりと、芸が細かい。

 

CASE-1~3とCASE-0のつながりが面白かったですし、よく作り込まれた渾身の一作だったと思います。

あ、余談ですが、インストールしたあと起動チェックをしてすぐにウィンドウを閉じたので、最初の海斗の語りを見ることができていません。笑

 

 

 

まとめ

 

 

ココがイマイチ

  • CGの回収が少し面倒
  • エッチシーンが薄い
  • 音楽鑑賞なし
  • 不快なモブ
  • ダレる展開もあり
  • 余韻を壊すエピローグもあった

 

 

ココがおすすめ

  • CASE0~3のどれもが面白い
  • 読み応えのあるシナリオ
  • よく練られているプロット
  • 絵、音楽、演出のレベルが高い
  • 主題歌がどれも素晴らしすぎる
  • 神代岬さんの演じ分けがハンパない

 

 

ズシッと心にのしかかってくるような重い話が好きな人。ラプラシアンの過去作を楽しめた人。体験版が楽しかった人は買いましょう。

CASE-0~3のどれかしらは刺さるはず。

たまにはこういうヘビーな作品で、感情を大きく動かしてみませんか?

体験版・デモムービー・ご購入はこちら

白昼夢と青写真のパッケージ画像

FANZA GAMES

 

 

パッケージ版

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