【カルタグラ】のパッケージイラスト

エロゲーの感想

【カルタグラ ~ツキ狂イノ病~】の感想

7,660文字

――それは、妄執と狂気に至る愛。

カルタグラ ~ツキ狂イノ病~Innocent Grey
【カルタグラ】のパッケージイラストゲーム属性:シナリオゲー
ジャンル ―― 和風サイコミステリィADV
発売日  ―― 2005年04月28日
パッケージ版価格  ―― 8,800円(税抜)
ダウンロード版価格 ―― 
スタッフ
シナリオ飯田和彦
原画杉菜水姫
音楽LittleWing
主題歌 ―― 恋獄(Vo.霜月はるか)

あらすじ

――それは、妄執と狂気に至る愛。

終戦から六年が過ぎた日本。逗子行きの列車に一人の男の姿があった。『高城秋五』――、かつて警視庁に籍を置いていた男。退職した自分が逗子くんだりにまで出向くことになった理由を、秋五は膝の上に置いた新聞の見出しから思い返す。

 『上野連続バラバラ殺人事件――』

日本では類を見ないこの事件を、かつての上司『有島一磨』が担当していたことから、この逗子行きが決まった。
「頼まれてくれないか?」
長沙・満州・警視庁を通して上司として世話になった有島の頼みを、断ることはできない。引き受けた仕事は、良家息女の失踪事件。
失踪事件のあった上月家で、かつて逢瀬を交わした恋人――『上月由良』と同じ顔を持つ少女『上月和菜』と出会う。
そして彼女から、消えた双子の姉を捜し出して欲しいと懇願される。
だが由良の父親である上月慶一郎は、秋五に告げた。
「あの娘は、本当は死んでいるんですよ……」
 
交錯する虚構と真実。戦後間もない上野の町を舞台にして、今、惨劇の幕が開く――。

公式サイトより引用

評価

評価おすすめ度
【カルタグラ】の評価★★★★☆
満足度
満足度78点

作品の紹介

人間「怖いもの見たさ」という、「怖い」だけど「見たい」という不思議な感情をもっています。

今回は【カルタグラ ~ツキ狂イノ病~】を紹介するのですが、まさかかつて心を抉られたこの作品を再びプレイすることがあるとは夢にも思いませんでしたよ。どうやら私も「怖いもの見たさ」を有していたようです。

どうでもいい話かもしれませんが、「悔しい」でも「気持ちいい」というマゾっぽい感情も「怖いもの見たさ」に似ていますね。

え、似てない? マジで?

所持証明

「PARANOIA通常版」に収録されている「カルタグラ」は、Windows10で起動できました。

どんな人向け?

  • ミステリー作品が好きな人
  • シナリオゲーが好きな人
  • 「終戦から6年後の日本」という時代設定に惹かれた人
  • サンプルCGやデモムービーに目を奪われた人
  • 体験版をプレイしてテキストに肌が合っていた&先の展開が気になった人
  • 殻ノ少女シリーズをプレイする前に、関連作をやっておきたい人

いろんな人物の思惑が交差するドラマ的作品なので、多分ですが一方向だけから見る人は楽しみづらいかもしれません。

あとは「妄執」に至る「愛」を理解できるかどうかにかかっています。

攻略情報など

プレイ時間

私のプレイ時間は、ボイスをしっかりと聞いて14時間ぐらいでした。

最初のエッチシーンまでは1時間半です。

 

攻略

選択肢がおおめで、どれを選べばいいのか分かりづらいので、難易度は平均より高めです。

攻略サイト

 

システム

バックログ画面からのシーンジャンプ機能なし。

BGMがハウリングするので、私は毎回「タイトル画面」で一度「CONFIG」を開いて戻ってからプレイ開始していました。ご参考までに。

感想

どんなお話?

以前は警視庁に籍をおいていて、現在は探偵業のまねごとをして食い扶持をかせいでいる主人公の 高城秋五たかしろしゅうご 。

高城秋五

©Innocent Grey/gungnir All Rights Reserved.(≫著作物ガイドライン

秋五は、警視庁時代の上司のツテで、とある依頼を引きうけます。

それは、失踪した 上月由良こうづきゆら という少女の捜索。

不思議なめぐり合わせだが、上月由良は秋五のかつての恋人なのです。

かつての恋人を、由良の妹である 和菜かずな とともに、捜索することになります。

上月和菜

©Innocent Grey/gungnir

この依頼に端を発して、秋五たちは現在世間をにぎわせている事件に関わることになるのです。

『上野連続バラバラ殺人事件――』

ただの殺人事件ではなく、四肢が切断されていたり、臓器がとりだされていたり、他に類をみない猟奇的殺人事件です。

誰が、どういう思惑により、このような事件を起こしたのか。

【カルタグラ】は、妄執と狂気に至るまでの愛が描かれた作品です。

 

 

特徴

和風ミステリー

戦後まもない上野が舞台です。

前述したとおり、猟奇殺人事件の全貌を明らかにするミステリー作品です。

主人公自身が真相にたどりつく部分はあるものの、いくつかの謎は他のキャラクターが解き明かします。つまり、真相を解き明かすまでのプロセスを完全には追っていない。ミステリー好きが不満に思うかもしれない見せ方をしているのです。

しかし、物語の大筋は面白く、テキストの求心力はあるので、いわゆるシナリオゲー好きの人なら楽しめる作品ではないでしょうか。

 

グロ要素あり

猟奇殺人事件をあつかっているので予測はできるでしょうが、ちょっとしたグロ要素があります。

グロゲーと呼ばれている類のものよりは軽めですが、魅力的なヒロインがひどい目にあうのは辛いでしょう。

苦手な人はご注意を。

 

演出が良い

カットイン演出の例

©Innocent Grey/gungnir

カットイン演出によりCGを印象的に見せていたり、縦長のCGを下から上に移動させつつ見せるシーンがあるのが特徴的。

また、主人公視点のときは横書きで、主人公以外の視点のときは縦書きでビジュアルノベル形式で表示しているのが面白い。

横書きはサラッと読めて、縦書きは集中して読むことができるという実験結果を目にしたことがあります。

この2つの効果を、うまいことメリハリをきかせて使用していました。

 

 

エッチシーンについて

卑語なし。ピー音なし。アナルモザイクあり。

 

シーン数、尺、描写は、当時の非抜きゲーのなかでは悪くないほうだったと思います。

和菜との騎乗位でのエッチシーン

©Innocent Grey/gungnir

グラフィックが美麗なので、視覚的な興奮を得やすいです。

 

初音ちゃん

©Innocent Grey/gungnir

上の画像のシーンでは、まだ幼い少女だと思っていた初音に「女の色香」を感じる主人公ですが、CGにも説得力があり「なるほどたしかに」と納得させられます。

 

 

ネタバレ感想

ネタバレあり(クリックで展開)

 

あくまで「和み匣」の内容を無視した本作だけの感想に徹します。

 

凛と楼子

凛「あたしやっぱり、秋さんのこと好きなんすよ」

©Innocent Grey/gungnir

本作でも人気の高いキャラクターといえば

私も、一途に秋五のことを慕うが好きです。

 

楼子と秋五の幼少期の思い出

©Innocent Grey/gungnir

幼いころから秋五に恋心を抱いていた楼子

楼子もその華やかなルックスと、お嬢さま然りとしたお上品さにより、好きな人が多いでしょう。

この2人がひどい目にあってしまうシーンは、やはり今みても辛い……。

実は、「天ノ少女」発売に合わせて、昨年の10月ごろに再プレイしはじめたのですが、「あぁ~この先のシーンを見たくねぇ」というところで停滞して、クリアまで3ヵ月ぐらいかかりました。笑

 

冬史と七七

冬史「面白い、やる気か――?」

©Innocent Grey/gungnir

冬史さんカッコいい。

戦闘において一番活躍したのは冬史です。とくに最後は、瀕死の重症を負った状態で赤尾を打ち負かします。

そのあと火に包まれる建物から脱出して生き延びる超人です。

 

そして、推理において活躍するのは七七

私が七七に抱いている感情は「怖い」です。

七七「ボクも彼女の存在には興味があったからね。なかなか愉快な会食だったよ。珍しいものも食べられたしね」

©Innocent Grey/gungnir

スクリーンショットを見返しただけなので、ここが該当シーンかは分からないですが、たしか七七は人肉を食ったことを匂わす描写がされていました。

そして七七ルートでは、極限の飢餓状態においこまれた秋五も「凛の肉」を食い七七と同じ存在(あえて言葉で表現するなら“怪物”)になります。そして七七は、精神的にボロボロになった秋五を支えるという形で、彼を手に入れる。

 

たとえば同じような性質(秋五にたいする執念深い愛)を持っている由良は、狂ってしまったバックグラウンドが描かれているのですが、七七は(私の価値観からすると)ナチュラルに狂っている。そこがどうしようもなく怖いです。

というかこの一連の展開はマジで趣味が悪い。私が【カルタグラ】をどうしても手放しで絶賛できないというか、好きになりきれない理由はそこです。

親父「世の中には、超えちゃあいけない一線てのが、あると思うんだよ……」

©Innocent Grey/gungnir

 

秋五と有島さん

愛する者に裏切られる、あるいは失う苦悩。

戦争の悲惨さと、腐敗した国の体制。

正しい者が淘汰される歪んだ警察組織。

あらゆる部分で似通った境遇をもつ秋五と有島さん。

その2人の人生をわけたのは、有島さんが上司として見せていた「偽り」の姿。腐りきった警察組織のなかでも有島さんは常に正義感にあふれ公平である姿を秋五に見せていた。だからこそ秋五は完全には絶望しなかったんだと思います。こんな世の中にも正しい人はいるんだと。

有島「ただ、ひとつだけ忠告しておこう。勝負は勝ちを得た後が、いちばん危険だ」

©Innocent Grey/gungnir

最後に上司としての言葉をのこして自殺した有島さんを、私は憎むことができません。

あと、秋五をヘタレ主人公扱いすることもできない。

だってそんな悲惨な経験をしたら、私だったらもっと狂っていただろうから。

 

寝取られやレイプは脳を粉々に破壊するよ。

【カルタグラ】をプレイしたあとに上記のコラ画像をみると、「マジやんけ!」ってなりますね。笑

 

由良

由良は生まれもった「しるし」によって歪んでしまいます。「唯一『和菜』として主人公に愛された時間が幸せだった」と語る彼女の境遇を考えると胸が痛い。

しかし、同じようにハンディキャップをもって生まれた冬史は、

【冬史】
「結局の所――、お前は弱かったから、運命に屈した。それだけのことだ」

と一蹴します。

 

また、初音ルートにて、和菜の舞台でやっていた「ロミオとジュリエット」をみた初音が、

【初音】
「勝手すぎると思います」

【初音】
「自分たちの思い通りにならないからって、人を騙そうとしたり、自分勝手に死んでしまったり……」

と否定意見を口にします。

 

たこ焼き屋の親父も、

【親父】
「人間、普通に生きるのが一番なんだ……。あんたも、歳をとれば分かるよ……」

と言っていました。

 

【妄執と狂気に至る愛】とその否定が描かれている作品でした。

やはりプレイし終わったあとに思うのは、「普通に生きたい」ということです。ですが、由良をはじめ、歪んでしまった人たちの境遇を考えると否定しきれない弱さが私にはあります。

 

その他

私のプレイ時のメモを見返して吹いたのは、

七七はどんだけ先を見通すんだよ。コイツこそがホンモノの宣託の巫女やんw

ってとこと、

八木沼は目つきが悪いから怪しいんだけど、ただの性格の悪いやつなんだよな

ってとこです。笑

 

まとめ

ココがイマイチ

  • 今プレイするとシステム面で不便かも
  • お気に入りのヒロインがひどい目に……
  • 胸糞悪い展開あり
  • ボカされた結末

 

 

ココがおすすめ

  • 先の気になるストーリー展開
  • 飽きることなく読めるテキスト
  • グラフィックが綺麗
  • 演出が良い
  • 音楽が良い
  • いろんな人物の心情に寄り添って読むのが楽しい

 

 

気になる方は体験版をプレイして、続きが読みたくなるかどうかをチェックしましょう。

【カルタグラ】の中古価格はそんなに下がっていないので、今買うならWin7対応で修正パッチ適応済みの「PARANOIA -Innocent Grey premium box- 通常版」をおすすめします。「PARANOIA」にはファンディスクである【和み匣[*1]】も入っていますので、【カルタグラ】プレイ後にそちらもどうぞ。

けっこう先になるかもしれませんが、リメイクされる可能性が高いのでそれを待つのもアリです。

すぐにプレイしたい人、殻ノ少女シリーズをやる前に関連作をプレイしたい人は、今購入するのが吉でしょう。

[*1]【和み匣】は正式には「PP -ピアニッシモ- 操リ人形ノ輪舞」と「カルタグラ ~ツキ狂イノ病~」のファンディスクです。しかし「カルタグラ」の要素が7割ぐらいなので、「PP」に興味のない方は飛ばしてこのファンディスクをプレイしても大丈夫だと思います。

パッケージ版

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