7,188文字
魔王のいない世界で、
勇者がとった行動とは!?
下戸勇者 ~酒は飲まねど酒池肉林!~(キャラメルBOX いちご味) | |
ジャンル ―― ADV | |
発売日 ―― 2021年06月25日 | |
パッケージ版価格 ―― 8,800円(税抜) ダウンロード版価格 ―― 9,680円(税込) | |
評価
評価 | おすすめ度 |
★★★☆☆ | |
満足度 | |
作品の紹介
パクチー、ブルーチーズ、ルー大柴の口調、ビートたけしの仕草……これらに共通するのは何だと思いますか?
そう……
癖が強いことです。
ということで今回は【下戸勇者 ~酒は飲まねど酒池肉林!~】を紹介します。
システムはクソなんですが、クセの強いテキストが魅力的。
噛めば噛むほど味がでる、スルメのような作品を求めている人におすすめ。
どんな人向け?
- 世界観や設定に惹かれた人
- 嘘屋 佐々木酒人さんの作品が好きな人
- 体験版をプレイしてテキストに肌が合っていた人
攻略情報など
プレイ時間
私のプレイ時間は14時間ぐらいかかりました。最初のエッチシーンまでは10秒ほどです。
攻略
エンディング分岐に関わるのは終盤の選択肢のみなので、そこまでは好きに選びましょう。
システム
バックログ画面からのシーンジャンプ機能なし。
感想
どんなお話?
下戸[*1]だったせいで酒場で仲間をあつめることのできなかったボッチ勇者が、1人で魔王を倒すための旅にでます。
数々のフラグを無視して進んだため、「この世界のバグ」になりレベルが100を越えるほどの実力がつく。
いざ魔王城に到着したら、なんと……他の勇者がすでに魔王を倒したあとでした。
目的を見失った勇者は、
好き放題に生きることを決意!
仲間をあつめてハーレムをつくり世界を漫遊します。
まずは、かつての心残りであった「仲間」をもとめて酒場へ赴くことに。
しかし、まだ仲間が1人もいない勇者はナメられてしまう。
マジカルチンポファンタジーがごとき圧倒的な強さで、つぎつぎに女性を征服していくのです。
旅の仲間になるヒロインは、みんな個性的。
ぽっちゃり体型のシスター
のじゃロリ魔法使い
マッシブな肉体美をほこるヒロイン
彼女ら4人と勇者が、各地をめぐりつつ体をかさねて仲を深め、「魔王を倒したあとの世界=クリア後の世界」を漫遊するお話です。
本作の魅力や欠点
劣悪なシステム
本作が大きく評価を落としている原因はシステム面だと思います。
一番不便なのは、マウスホイールが効かないこと。
バックログ画面を開いたり、マウスホイールで読みすすめることができないのです。
その他、テキストの瞬間表示ができなかったり、フルスクリーンでプレイしていたのに起動するたびにウィンドウに戻っていたり、絶妙にストレスをためる仕様になっております。
癖のあるテキスト
【下戸勇者】の一番の魅力は、ライターである『嘘屋 佐々木酒人』さんのテキストです。
ですが、ここが大きな問題でもありまして、昔から佐々木酒人さんのテキストは賛否が分かれていました。
絵文字や顔文字をつかったり、好き放題改行をしたり、とにかく自由にテキスト欄をつかっています。
私は、エロゲなんだから型にとらわれずに自由にやるのはアリだと思っています。
嘘屋 佐々木酒人さんの過去作を楽しんだ人、あるいは【下戸勇者】の体験版をプレイして、テキストに肌が合っていた人には本作をおすすめしたいです。
ドラクエ世界のパロディ
前提条件としてドラゴンクエスト……とくにドラクエⅢを知らないと十二分には楽しめないように思います。
そもそも最初に訪れる街からして、ドラクエⅢの「アリアハン」をパロっていて……
アリエヘン……もうこの時点で吹きました。
たとえばちび魔女ちゃんは、かつて他の勇者パーティに所属していたのですが、『ああああ』という明らかに捨て駒的な名前を付けられていました。こういう文脈も自分で仲間に名前をつけるRPGをプレイしてきた人じゃないと理解しづらいんじゃないかと思うのです。
その他、人ん家に勝手にはいってタンスや壺を漁る行為は、「勇者へのカンパ」であることが示されていたりと、前提条件としてドラクエの知識があったほうが楽しめるでしょう。
パロディは多岐にわたり、たとえば女戦士の肩には【ダイの大冒険】にでてきそうな可愛らしいキャラクターがのっかっています。
しかも、意外にも「捨てキャラクター」や「捨て設定」がなく、後々に活躍したり回収されたりするのが凄い。
FAVORITE
ちび魔女ちゃんの呪文がマジで好きです。
これは「チャラリ~鼻からニューギュー」と言っています。
小学生のときなんかに「チャラリ~鼻から牛乳~」という謎のメロディを、一度は聞いたことがあるかもしれません。そのパロディです。
こちらは「たんたんタヌキの金玉は~、風ッ、ねぇのにぶ~らぶら」です。「たんたんたぬき」のパロディですね。
呪文が何かしら聞いたことのあるメロディになっていて、しかも唱えているときは眼鏡が光って杖の先も光っているのにはコダワリを感じます。
「〇〇アル」という口調の武闘家のアナルにぶちこんで「アイヤ~」と言わせていたのにはセンスを感じました。
先ほどテキスト欄の使い方が自由であることをお話しましたが、上の画像のシーンなんかは、この里の里町が「相手を絶妙にイラつかせる」能力の持ち主で、
『クソ長いフルネームにより、テキスト欄が圧迫される』
という、ユーザーにダイレクト攻撃をしてくるメタ的なネタで面白かったです。
その他にも選択肢で「いいえ」を選ぶと無限ループするドラクエパロディ的なシーンもあります。
まだまだ笑ったシーンはあるのですが、紹介しすぎるとプレイする楽しみがなくなってしまうと思うので控えておきます。
魅力的なサブキャラ
女司書騎士や女武闘家など、可愛らしいキャラクターデザインのサブヒロインがいました。
レギュラーメンバーにはならなかったので残念です。
登場キャラクターたちに愛着がわく
悪ぶっているけど実は心優しい勇者さま。
そして、そんな勇者を慕って支えているヒロインたち。
プレイしていると登場人物全員に愛着がわいてきます。
エンディング
片方のエンディングは真っ当なものだったんですが、
もう片方のエンディングが『勇者が女体化して、ヒロインたちから逆に(性的に)攻められて、これからもお互いがお互いを嫁として仲良く過ごしていく』という内容で、好みじゃなかったというか蛇足に感じました。
エッチシーンについて
卑語あり。ピー音なし。アナルモザイクなし。
ストーリーの一部
エッチシーンもストーリーの一部のような扱いで、エッチシーン中にマジメな会話をすることもしばしば。実用性は二の次になっています。
ギャグっぽい
上の画像のシーンは『体が重なる魔法』をつかって、ヒロイン全員に挿入しているシーンです。
意味不明すぎて実用性は皆無w
ヒロイン全員が全力で喘ぐので、あまりにも煩い。エッチシーンをスピーカーで流したら、半径100メートル以内に存在した野鳥がいっせいに羽ばたいて逃げ出しました。
エッチシーンですらギャグのようになっていて、もはや笑っちゃうでしょう。
まとめ
ココがイマイチ
- システム面がとにかくクソ
- 蛇足なエンディング
- もうちょっとエッチシーンの実用性がほしかった
ココがおすすめ
- ドラクエパロディ
- 独特なテキストやユーモアが癖になる
- 主人公やヒロインたちに愛着がわく
- 意外にも作り込んである設定
- アホらしくて笑える
癖のつよい作品が減ってきた昨今、【下戸勇者】のような作品はなかなか出てこなくなりました。
嘘屋 佐々木酒人さんのテキストが好きな人、あるいは体験版を楽しめた人はチャレンジしてみてください。
ダウンロード版
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