7,940文字
私、不完全な双子形――。
Geminism ~げみにずむ~(CRAFTWORK) | |
ジャンル ―― 惜夜のしあわせ探しADV | |
発売日 ―― 2023年11月24日 | |
パッケージ版価格 ―― 5,200円(税込5,720円) ダウンロード版価格 ―― 4,700円(税込5,170円) | |
評価
評価 | おすすめ度 |
★★★★☆ | |
満足度 | |
作品の紹介
今回は【Geminism 〜げみにずむ〜】を紹介します。
CRAFTWORKが、前作から約22年の時を経て発売した作品です。
22年ぶんの時間があれば、カップラーメンが385万4千4百個作れますよ。
だから何だって話ですけどね。ははっ。
どんな人向け?
―― 公式サイトより引用
- 幸せとは何か、というテーマ性に惹かれた人
- 双子ヒロインが登場する作品を探している人
- 18禁作品ならではの題材を求めいてる人
- キャラクターデザインに惹かれた人
- バイオレンスな描写を求めている人
攻略情報など
プレイ時間
私のプレイ時間は、ボイスをだいたい聞いて8時間ほどです。最初のエッチシーンまでは2時間ぐらいかかりました。
攻略情報
選択肢はどれも選ぶことになるので、攻略サイトの必要はないです。一部、片方しか選べない選択肢もありますが、エンディングには影響がありません。
Hシーン
卑語なし。ピー音なし。アナルモザイクなし。
システム
難易度 | 修正パッチ | バックログジャンプ |
簡単 | なし | あり |
備考 | ||
※演出や機能が強化されているダウンロード版の購入を推奨します。新品でパッケージ版をご購入の方は、付属のDLカードからインストールしてください。 |
感想
仕會わせ
どんなお話?
親の因果が子に報い、生まれ出たるこの姿。
此方彼方に相見ゆるは、双び立たざる相似形。
月無き闇夜の瞞し愛、果て無き浮世の赦し愛。
今宵の仕會わせガマシに非ず、定め無用の奪い愛。
サァサ、お立ち会い、夜半の忌事、
はじまりはじまり――。
まるで「見世物小屋 ⁽*¹⁾」の口上のようなセリフが読みあげられてから始まるのは、双子の姉妹の殺しあい。
この殺しあいは「仕會わせ」と呼ばれる儀式でして、勝ったほうが負けたほうの体のパーツの一部をもらえます。
体のパーツは、右腕、左腕、右脚、左脚、胸部、腰部の6つ。
なぜこのような怪しい儀式がおこなわれているのか。
体のパーツを揃えることができたら何がおこるのか。
殺しあいと日常の描写をとおして示されるのは「不幸な少女の幸せさがし」です。
嗚呼、儚きは我等の宿願、げに悲しきは彼等の儚夢。
悲願志願は成就せり、彼岸此岸に実りたり。
我等常世に知ろしめす、業洗われたる此の姿。
惜夜の仕會わせ探し、先ずは此れにて――。
主要キャラクター
桔梗 CV:中家志穂
自称双子の姉。天真爛漫な性格。
満面の笑みをうかべて素直に「嬉しい」と口にできるのは素敵だと思う。「辛い」「苦しい」「死にたい」などのネガティブな発言しか出てこない私とは大違いである。
深紅 CV:中家菜穂
自称双子の姉。クールでツンツンしている性格。
頬を赤らめながらの「五月蝿い」という発言にはグッときた。深夜にエロゲをプレイして、奇声を発して、隣人から「うるせー」と怒鳴られた私とは大違いである。
淡墨 CV:杯榴万花
包帯だらけの怪しい風貌で、古風な喋りかたをする。
「杯榴万花」という奇妙な名前の声優さんだが、サンプルボイスを聞いたら一瞬で誰なのか分かってしまった。
ヒロインの痴態(オナニー)を発見して、尻穴に指をつっこんだシーンには男らしさを感じた。
月白 CV:皇帝
長髪の怪しい風貌で、ノリが軽くて口数がおおい。
彼が面倒をみているヒロインが人体のパーツを奪うさい、一も二もなくオマンコ(腰部)を所望したその決断力には男らしさを感じた。
Geminismの特徴
UI・演出・システム面について
UIはオシャレで良いと思います。視認性も悪くありません。
タイトル画面では、エピソードを選んだほうのヒロインが目を開けるという演出が素晴らしい。
プレイ画面では、立ち絵を切り替える形式ではなく、カットインを多用しています。
既存のノベル系ADVの枠にとらわれていなくて好ましいのですが、利点も欠点もありました。
利点は、立ち絵の切り替えがないため、シームレスに場面が繋がっている感覚があること。欠点は、カットインが重なるにつれて画面がごちゃごちゃしてしまうこと。この演出を突きつめれば、より面白いものになるだろうなぁと思いました。
勝敗によって、体のパーツの移動がおこなわれるのですが、そのときの演出が、昔なつかしのテレビ番組「クイズハンター」のハンターチャンスの演出を踏襲しているらしいです。それを知ると、シリアスな場面がコミカルな印象になってしまいますね。笑
システム面に関しては、現代の水準のものは揃っています。が、Unity製のゲームにありがちな、ボイスカットをOFFにできない、ロード画面を開いたときに最新のページにならない、右クリックでダイアログ画面を消せないなどの弱点がありました。
18禁要素に関して
まずはエッチシーンについて。ヒロインのイラストを隠すように男キャラのカットインが入ることがあったり、陰部が画面に写っていない場面もおおかったりと、あまり実用的とはいえません。
深紅のダルマ状態でのイラマチオはガチで性癖にドンピシャでしたけどね。
しかし、性体験により生じるキャラクター間の誤解、すれ違い。グロテスクな描写。センシティブな題材などなど、18禁であることが活かされている作品です。
グロさに関しては、あまり過激ではありません。サンプルCGを見て大丈夫だったら、特に問題はないかと。
姉妹の関係、友情関係、恋愛関係などを楽しめる
深紅と桔梗。この2人は、啀みあい争うことになる。考え方のちがい、立場のちがい、想いのすれ違いなどなど、双子の姉妹の複雑な関係、対立の関係を楽しむことができます。
淡墨と月白。2人は争うはずの立場なんですが、とにかく仲がいい。クリアした人には通じると思いますが、徹頭徹尾、仲睦まじかったですね。最後までチョコたっぷりなトッポのような友情関係を楽しむことができます。
仕會わせにおいては、桔梗と淡墨がペアを組んでいます。
淡墨は、全身に包帯をまいているので、まっとうな職に就くことができません。
ちまちまと内職をして、小銭を稼ぐしかないのです。きわめて直接的かつ端的な表現をするならば「貧乏」ですね。
淡墨と一緒に暮らすことになった桔梗は、不便で質素な生活を強いられます。しかし彼女は、幼少期の環境が特殊で、不自由な生活を送っていた。だからこそ、日常のちょっとした出来事が新鮮にみえるのです。
幾ばくかのお小遣いをもらい、お菓子を買うことができて幸せ。
安物のオモチャを買ってもらうのだが、彼女にとっては宝石のようにキラキラ輝く宝物である。
ぶらっと近所をお散歩できて楽しい。お日様の光を浴びることができて気持ちいい。エトセトラエトセトラ。
お金がないことに対する不満を抱くことがありつつも、日常のなかに楽しみを見出していく描写が私にはぶっ刺さりました。
むかし「銭金」こと「銭形金太郎」というテレビ番組があったんですよ。クリームシチューやネプチューンなど、いまや司会者級の芸人さんたちが、レポーターとして貧乏な人の家にとつげきする番組でした。
貧乏さんたちは、さまざまな事情を抱えています。貧困生活をせざるを得ない人から、夢を追うために慎ましい生活をしている人などなど。
登場する人たちは皆、貧乏ながらも楽しそうに過ごしていました。
世のなかお金は大事なのですが、それだけではない。さまざまな生き方が見られるこの番組が好きだったのです。
話が脱線しまくりましたが、桔梗と淡墨の日常エピソードは、むかし私が好きだった光景を見られたので満足しました。
仕會わせにおけるもう一方のペアは、深紅と月白です。
月白は、お金を稼いでいて優雅な暮らしをしている。
月白の部屋に住むことになった深紅は、高級なマンションの一室で、豪華な食事や、ふかふかのベッドなどを堪能でき、何不自由ない暮らしを送ることができます。
しかし彼女は、能天気な桔梗とくらべて、悩みや、迷い、苦しみの感情がつよい。
最初は、なかなか心を開こうとはしないものの、分厚い氷のかたまりが、じょじょに解けていくかのような変化を楽しめます。
ツンツンした状態からはじまり、しだいに頬を赤らめた顔や、満面の笑みなど、異なる表情をみせてくれるのです。
わたくしが抱いた感情を、かぎりなく単純かつ古風なワードで表現するならば「萌え」ですね。
以上のように、複雑な対立関係から、友情関係、はたまた恋愛関係のようなものまで描かれているんですよ。
小難しい内容の作品だとおもわれ、敬遠されているかもしれませんが、ホッと一息つけるような日常の描写もありますのでお楽しみに。
考察という名の見解
まとめ
ココがイマイチ
- システム面で不便な部分がある
- 実用性に乏しい
ココがおすすめ
- 扱っているテーマについて考えさせられる
- キャラクターデザインが良い
- 主題歌の映像が素晴らしい
- 独特な雰囲気がある
- 音楽がGOOD
よく練られている作品だと思いました。
起伏の激しいストーリーではありません。しかし、類のない題材、雰囲気のよさ、キャラクター同士の関係性に注目している人にはおすすめ。
男女問わずに楽しめるでしょう。気になっている方は、ぜひともプレイしてください。
グロ要素は控えめですし、意外にも取っつきやすい作品ですから。
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