6,420文字
また一人、少女が散る。
穢翼のユースティア(AUGUST) | |
ジャンル ―― ADV | |
発売日 ―― 2011年04月28日 | |
パッケージ版価格 ―― 8,800円(税抜) ダウンロード版価格 ―― 8,580円(税込) | |
評価
評価 | おすすめ度 |
★★★★★ | |
満足度 | |
作品の紹介
今回は【穢翼のユースティア】を紹介します。略称はありません。
当初、雑誌に載っていた「また一人、少女が散る。」というキャッチコピーを略して「またがる」と呼んでいる人はいました。
少しも定着していないので、「またがる」と呼んでも通じない可能性が高いです。笑
本作のジャンルは、AUGUST作品のなかでも異色の「ダークファンタジー」。過去作との方向性のちがいに戸惑いつつも、期待していた人は多かったでしょう。
しかし「東日本大震災」と発売月が重なり、震災をあつかっていた作品のため1ヵ月の延期をしました。
時を同じくして、ダークファンタジーであるアニメ【魔法少女まどか☆マギカ】も放送延期したため、合わせて印象にのこっています。
世界観の構築がうまく、飽きずに読みすすめることのできるテキストが見事な作品。
どんな人向け?
- AUGUSTのファン
- ダークファンタジー好き
- 飽きずに読み進めることのできる作品を求めている人
- 評判の良い作品や、人気の高い作品を押さえておきたい人
- 後述する本作のテーマに惹かれた人
攻略情報など
プレイ時間
私のプレイ時間は、ボイスをだいたい聞いて27時間ほどです。最初のエッチシーンまでは6時間半ぐらいかかりました。
攻略情報
比較的分かりやすい選択肢だと思います。推奨攻略順は、分岐順『フィオネ→エリス→コレット→ラヴィリア→リシア→ユースティア』です。
システム
難易度 | 修正パッチ | シーンジャンプ機能 |
普通 | なし | あり |
備考 | ||
- |
感想
どんなお話?
穢翼のユースティアの舞台は、浮遊都市《ノーヴァス・アイテル》。
この都市は3つの階層から成っています。
王族や貴族がすむ《上層》。一般民衆がすむ《下層》。そして、下層の一部が崩落してできた《牢獄》。
牢獄はスラム街になっていて、貧困・売春・暴力が横行しています。
本作の主人公カイムは、牢獄に住んでいる「何でも屋」。
彼は、依頼をもとにさまざまな人間と関わることになり、やがて世界の成り立ちや真相を知ることになります。
「不条理」のあふれた世界で、各キャラクターがどのような決断をし、どのように生きるのかが描かれている作品です。
特徴
女性にもおすすめ
本作は、我らがイケメン主人公のカイムくんにもボイスが付いています。
カイムくんのCVは大石恵三さん。全年齢版では近藤隆さんです。
また、牢獄を支配する組織《不蝕金鎖》の頭であるジークなど、魅力的な男性キャラクターが登場します。
主人公とヒロインとの掛け合いだけでなく、男性キャラ同士のやり取りが好きな人にもおすすめです。
惹き込み方がうまい
【穢翼のユースティア】のいちばん良いところは、続きが気になり、飽きずにポンポンと読みすすめられるところ。
本作は5幕構成です。かんたんにストーリーを紹介します。
第1幕は、《羽狩り》と呼ばれる組織の隊長であるフィオネと強力して、世間を騒がせている《黒羽》なる怪物をとらえることが目的。
はたして黒羽は、どういう存在でどういう目的を持っているのか。
生真面目で頑固だったフィオネは、カイムと接していくうちに柔軟な考えをもちはじめます。態度が変化していくサマが可愛いです。
第2幕は、主人公のカイムが友人のジークの頼みで、敵対組織の壊滅に協力するお話。
病的なまでにカイムを愛しているエリスとの関係性の変化も見どころです。
余談ですが、マイフェイバリットヒロインがこのエリスちゃんです。
彼女はまさに「スラム街に咲く一輪の花」。ふっ……思わずクサい台詞を吐いちまったぜ。
第3幕は、いつ崩落するか分からない浮遊都市において、人々の心の支えになっている聖女イレーヌと従者ラヴィリアにかかわるお話。
浮遊都市の秘密にせまることができるエピソードです。
第4幕は、王女リシアと、この国の政治にかかわるお話。
私が本作でいちばん好きなのが第4幕です。「王になる人間は、どう在るべきなのか」が描かれている成長物語。
第5幕は、ついにセンターヒロインであるユースティアがメインとなるエピソード。
彼女がせおっている使命はどういうモノなのか。浮遊都市にせまる大きな危機にどう対処するのか。都市全体をまきこんだスケールの大きいお話です。
さて、かなり大雑把な説明をしましたが、何となくでもご理解いただけたでしょうか?
ストーリーが進むにつれて、いろんな立ち場の人間とかかわることになり、だんだんと隠されていた秘密が明らかになるのです。
異なる立ち場の視点をえることで、世界の見え方がかわるのです。
ルート分岐が切ない
本作のルート構成は、「ヒロイン脱落式」やら「階段分岐」とよばれる形式。
ヒロインのことを支えていくのか、それとも突き放すのかの選択を迫られます。
選択肢の選びかたによっては、ヒロインとの関係性が悪化することに……。
大げさな例をあげると、直前にプレイしていた個別ルートでは「好き」だの「愛してる」だの言いながら腰を振っていた女が、本筋に戻ったら「見損なったぞ」と言い、軽蔑してくるのです。笑
賛否の分かれる最終幕
先ほど大まかなストーリーを説明しましたが、終盤にいくにつれて様々な事実が判明して、いろいろな価値観にふれることになります。
そして大きな問題が差し迫ったときに、はじめてカイムくんは立ち止まり苦悩するのです。
それまでは「完璧・イケメン・俺TUEEE系主人公」だと思っていた彼の苦しむ姿をみせられます。
落差があるせいか、ヘタレ化したように感じる人もいるはず。
もちろん納得できる自然な流れでそうなっているんですが、おそらくここが好みの分かれる部分でしょうね。
さらに物語の〆方も、人によってはモヤッとすることになるかもしれません。
テーマに則って読むと面白い
【リシア】
「世の中には『出来る』ことと『出来ない』ことがある」
【リシア】
「同時に『する』ことと『しない』こともある」
【リシア】
「選択によって人が表現されるということだ」
自分ができることのなかから何を選ぶのか。
そして生きる意味を見つけることの大切さ。
この2点を意識しつつ読むと面白いですし、最終幕の展開にも納得できると思います。
エッチシーンについて
卑語なし。ピー音なし。アナルモザイクあり。
おまけルートの3Pがエッチでした(小並感)。
取り合っている感じが最高でしたね。
浴槽内でフィオネに挿入して「っ……風呂より熱いな」って言ったカイムくんに笑いました。これはセンスがいい。
ネタバレ感想
本作のどういう部分を好きで、どういう部分を改善して欲しいかを認めました。
まとめ
ココがイマイチ
- 恋愛描写は弱い
- ほろ苦い展開がある
- 最終ルートの主人公
- セクハラされたりと、若干の処占NG展開あり
ココがおすすめ
- グラフィック・システム・演出・音楽のどれもが高水準
- 主題歌は、楽曲だけでなくムービーも素晴らしい
- 先が気になりクリックする手が止まらない
- イケメン主人公
- エリスが可愛い
- ティアが健気
- 3Pが良い
- おまけエピソードあり
暗い話が嫌いな人、完全無欠のハッピーエンドが見たい人、頭を空っぽにして楽しめる恋愛ストーリーを求めている人、当感想記事をみて合わなそうに感じた人は回れ右。
それ意外の人には、わりとおすすめしやすい人気作。
飽きずに読み進められる作品は貴重です。
ダウンロード版
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