5,900字
色めく花、咲き誇る夏 ふたたび――
SHUFFLE! Essence+(Navel) | |
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ジャンル ―― 恋愛アドベンチャー | |
発売日 ―― 2009年10月30日 | |
パッケージ版価格 ―― 8,800円(税抜) ダウンロード版価格 ―― 6,380円(税込) | |
評価
評価 | おすすめ度 |
![]() | ★★★☆☆ |
満足度 | |
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作品の紹介

2004年に発売した「SHUFFLE!」のパッケージ画像
「SHUFFLE!」といえば、同年に発売した「Fate/stay night」や「CLANNAD」につぐ売り上げだった大人気作です。
「どろどろとした人間関係を排除」して「とにかく明るい作風」なのが特徴的な、ハーレムちっくな学園ラブコメです。
今回紹介する「SHUFFLE! Essence+」は、無印の「SHUFFLE!」にルートやヒロインを追加した完全版です。
私が所持しているのはパッケージ版です。
攻略情報など
プレイ時間
私のプレイ時間は、ボイスをだいたい聞いて30時間(無印14時間/追加16時間)でした。最初のエッチシーンまでは5時間ぐらいです。
攻略
攻略が楽しいタイプの作品ではないですし、自力攻略が少し面倒だった記憶があるので、攻略サイトを見てのプレイで大丈夫でしょう。
攻略順
推奨攻略順はとくにありません。ある程度固定されていますので、上記サイトの通りの順番でいいでしょう。
システム
バックログ画面からのシーンジャンプ機能なし。
バックログ画面にて、キャラクターの顔グラフィックにマウスカーソルをあわせると、笑顔に切り替わるのが可愛くて好きです。
Gallery画面では、キャラクターを切り替えると前に見ていたキャラクターが切り替え先のキャラクターの紹介をするという面白い仕様になっております。
修正パッチ
パッケージ版(Limited Edition)を購入された方用の修正パッチです。
どんな人向け?
- キャラゲーが好きな人
- 有名な作品はおさえておきたい人
- シリアスな展開が苦手な人
- モテモテ&ハーレム感を味わいたい人
- テンポ感の良い作品が好きな人
感想
概要
10年ほど前に、とある遺跡から発見された門が「神族の住む神界」と「魔族の住む魔界」につながった事件を『開門』といいます。
開門以降、『人間・神族・魔族』の3種族は友好関係をむすぶことになり、各世界を行き来できるようになりました。
主人公の土見稟がかよう国立バーベナ学園は3種族が集う学び舎です。
そんなバーベナ学園に、神界の王女リシアンサスと、魔界の王女ネリネが転入してきます。

左から、神界の王女リシアンサス、魔界の王女ネリネ、人間界のプリンセスと称される楓
しかも彼女たちは稟くんのことを知っていて、好意を抱いていた模様。
つまりこの作品は、土見稟という男が『人間・神族・魔族』の女の子から好意をいだかれるハーレム系学園ラブコメです。
作中で稟くんは「神にも魔王にも凡人にもなれる男」と評されていて、稟くんのことが好きな女子は「土見ラバーズ」と呼ばれていますw
メディア展開
本作は、アニメ化もされた人気作です。
アニメはゲーム本編の明るい雰囲気から一転、ドロドロとした三角関係と、重くて暗いシリアス展開がつづく衝撃作でした。
とくにメインヒロインの1人芙蓉楓は、原作のキャラとは違ってヤンデレキャラとなっていて、やつれた顔で空鍋に火をかけオタマをまわしつづける「空鍋事件」はあまりに衝撃的で、今でも伝説となって語り継がれています。
原作ファンが激怒して、NavelのオフィシャルBBSは批判コメントであふれかえり、アニメで楓の声優を担当した後藤邑子さんの個人サイトにも大量の反響メールが届いたほどでした。
しかしアニメはアニメで面白かったという声もあります。あくまで原作とアニメは別物と考えましょう。
キャラクターについて
土見 稟
本作の主人公。
とにかくモテまくっていて、ストーリー序盤からハーレム状態です。
ルックスがよく、優しく気遣いができるタイプで、女の子に歩く速度をあわせたり、相合い傘をするときは自分の肩が濡れてでも女の子が濡れないようにしたり、モテる要素の「基本」といわれていることを、さらりとこなすことができるタイプです。
リシアンサス CV:佐々留美子
神界の王女。愛称は「シア」。
明るく元気で気さくな性格。たまに「〇〇っす」という体育会系な敬語がでるのが可愛い。
キキョウ CV:佐々留美子
シアと似た見た目をしている謎の少女。
ネリネ CV:松永雪希
魔界の王女。愛称は「リン(Nerineというスペルから)」。
丁寧な口調の心優しいお嬢さまでありながら、大好きな稟くんが侮辱されたりすると、魔法で相手を排除しようとする過激な一面も持ち合わせています。笑
芙蓉 楓 CV:籐野らん
稟くんとは幼なじみの関係。
稟くんの身の回りのことをなんでもやりたがる、お世話好きで家事万能な女の子。
時雨 亜沙 CV:宝塚すみれ
気軽に友達感覚で話せる先輩。
プリムラ CV:北都南
神界と魔界の共同開発により生まれた人工生命体。愛称は「リム」。
無口で表情があらわれにくいタイプ。
しかしルートに入ると性格が180度し、北都南ボイスが存分に生かされた萌えモンスターになります。笑
麻弓=タイム CV:香取那須巳
人間と魔族のハーフ。
明るくノリがいい。
カレハ CV:日向裕羅
おっとりとした性格の先輩。
たまに妄想の世界に旅立ってしまうことも……。
ツボミ CV:一色ヒカル
カレハの妹。
ルートに入ると稟くんのことをストーカーしだすストーカー系女子です。笑
紅薔薇 撫子 CV:緒田マリ
稟くんたちの担任の先生。
稟くんのことを「つっちー」とあだ名で呼ぶのがめっちゃ好きでした。
八重 桜 CV:安玖深音
稟くん楓とは幼なじみ。
ぬいぐるみを作ることが好きで、夢(ぬいぐるみ造形作家)のために稟くんたちとは違う学園に入学しました。
デイジー CV:西田こむぎ
神界の出身で、奨学生制度をつかいバーベナ学園にかよう稟くんたちとは同級生の少女。
ルリ=マツリ CV:向井葵
神界の王族を護衛するために働く少女。
神王 CV:浜五郎
本名:ユーストマ
魔王 CV:司馬嵯峨之
本名:フォーベシイ
緑葉 樹 CV:小池竹蔵
稟くんの親友。真弓の幼なじみ。
ルックスがよく頭もいい。
一人称は「俺様」。
とにかく女好きでナンパな性格をしています。モテてはいますが、稟くんに好意をよせている女の子たちからは相手にされません。
ナンパな発言ばかりしていたのに、とあるルートでは稟のために奮起し「一応、あいつの友人なんで」というセリフを言ったときは、少しばかり目が潤みました。
好きなキャラ
みんな好きです!
……と言いたいところですが、強いて挙げるならネリネがお気に入りです。
ネリネ「今、世界で一番稟さまに近い場所にいるんですね……」
うぎゃぁぁぁぁぁっ!!!
この一枚絵と、このセリフがあまりにも好きすぎて、ニヤニヤが止まらなくなってしまうので、これ以上は口を慎みます。
印象的なセリフ
上記のネリネのセリフが1番好きなのですが、それ以外で記憶にのこったセリフを書きます。
■ふとプリムラがネコの人形を物欲しそうにしていたことを思い出した稟。しかし値段が高い……
稟「……これで笑ってくれるなら、安い買い物だ」
■稟くんに一緒に帰りたいと伝えるも、途中から遠慮しはじめてしまうネリネ
ネリネ「ですが、稟さまには稟さまのご予定というものがありますし……」
稟「その予定が今新たに加わった。行こうぜ」
■シアが節約家であることを褒める稟くん
リシアンサス「安く買えるに越したことはないもん。裕福だからこそ、節約はしっかりしないとね」
稟「いい奥さんになれるよ、シアは」
リシアンサス「稟くんもらってくれます?」
■デイジールートにて
抱きしめられる。というよりしがみつかれている感じ。……可愛いな。そのまま尖った耳の先をくすぐるとデイジーはふるふると身体を震わせる。
デイジー「……耳、やっぱり気になりますか?」
稟「せっかくだから……舐めてみていいか?」
デイジー「何がせっかく……あ……んっ……なんですか……」
■デイジーとの初エッチシーン
デイジー「私の初めてと、それからずっとを……もらってください」
エッチシーンについて
卑語少しあり。ピー音あり。アナルモザイクあり。
特徴や長所や短所
テンポ感がいい
この記事の冒頭に「どろどろとした人間関係を排除」して「とにかく明るい作風」なのが特徴的……と書きましたが、とにかく明るく楽しい学園ラブコメ作品となっております。
2004年当時は、非抜きゲー作品といえば「重厚なシナリオや泣き要素」といった向きが少なからず存在しました。そんななかにでてきたこの「SHUFFLE!」は、重すぎずドロドロしすぎずにサクッと楽しめるキャラゲーとして、非常に貴重な作品だったように思えます。
私はハーレム系の作品が好きですし、ストーリーの壮大さや設定の緻密さよりもテキストのテンポ感を重視していますので、そういった意味でも肌にあった作品でした。
しかし、Navelの前身であるBasiLの名作「それは舞い散る桜のように」のようなものを求めていた人や、潮流に乗った壮大なストーリーのシナリオゲーを求めていた人には合わなかったようで、評価されづらい作品だったのかな……と思います。
ハーレムルートはない
ハーレム系ラブコメと書きましたが、この作品には……ハーレムルートはありません!ドンッ
特定のヒロインと結ばれたあとも、他のヒロインたちは諦めるワケではなく、一応その後のハーレム展開を匂わせるような終わり方はしています。笑
しかし、神界は一夫多妻制という都合のいい設定があるにも拘わらず、ハーレムルートがなかったことにガッカリした人も、少なからずいるでしょう。
絵の違い
上記の記事でも少しだけ触れているのですが、西又さんの絵は無印のころが1番好きでした。
しかし「Essence+」では少し画風が変わっていて、追加CGに違和感がありました。
ですが、「Essence+」では無印のCGがリペイントされていることもあり、立ち絵やCGに関する満足感は高かったです。
ライターの違い
無印はあごバリアさんの執筆。追加部分は森林彬さんの担当です。
かつてプレイしたとき、無印部分がおわって真弓ルートに入ったときのテキストの違いにちょっぴり驚いたことを覚えています。そのせいか真弓ルートは全然楽しめませんでした。
しかし、そのうちに慣れてきて、追加の部分もなんだかんだでけっこう楽しめました。
デイジールートだけやたら長くて合わなかった人もいるようですが、私はありだと思っています。
デイジールートのラストのほうで、無印のOPのBGMアレンジバージョンが流れたときにはテンションが上りました。
3種族が団結する展開も最高でした!
シナリオゲーではない
重い展開やドロドロした人間関係を極力排除していることや、テンポ感がいいことはさんざん書いてきましたが、逆にいうと壮大なストーリー展開や、緻密な世界観設定をもとめている人には合いません。
神族や魔族という他種族がでてきますが、種族間での性質のちがいや確執などの現実的な問題は、ほとんど書かれていません。
(SPIRAL!!という作品でそこらへんの設定がえがかれていますが、あまり楽しくなかったので、無くてよかったのかも)
あとは例えば、ヒロインの楓との間にあった過去の出来事もさらっと説明するだけで流されています。
シリアスな展開になったとしてもサクッと解決してしまいます。
なので、キャラゲーが好きな人にこそおすすめしたいのです。
花言葉
登場人物はいずれも花や植物の名前に因んでいて、花言葉にそったキャラクター設定やストーリー展開がされているというコダワリがすごいです。
地名や建物の名前も同様で、たとえば主人公たちが通う「バーベナ学園」……赤いバーベナの花言葉は「一致団結」「魔力」です。3種族があつまる学園であることや、魔力をもつ種族が存在することから、このような名前になったのでしょう。
音楽について
BGMが44曲で、主題歌が4曲です。
無印からOPやEDが変更されています。OPに関してはどちらも好きです。EDは「Essence+」のほうが断然好きです。やはりアッチョリケさんは神!
Mirage Lullaby / YURIA
Link-age / YURIA
まとめ
ココがイマイチ
- あまり語られない世界観設定
- あっさりとしたストーリー展開
- 無印と追加部分のテキストや絵のちがい
ココがおすすめ
- テンポが良い
- 無駄が省かれている
- ヒロインがみんな可愛い
- ハーレム感が最高
- ニヤニヤできる
シナリオゲーが好きな人には合わないかもしれませんが、キャラゲーが好きな人にはだんぜんおすすめ。
多くの人の心を掴んだ思い出の1作です。
パッケージ版
ダウンロード版