【月の彼方で逢いましょう】の感想

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【月の彼方で逢いましょう】の感想

古城

4,994文字

 

 

もう一度、キミと会えたなら

月の彼方で逢いましょうtone work's
ゲーム属性グラフ
ジャンル ―― 恋愛アドベンチャー
発売日  ―― 2019年06月28日
パッケージ版価格  ―― 9,800円(税抜)
ダウンロード版価格 ―― 8,100円(税抜)
スタッフ
原画恋泉天音/秋野すばる/古池屋/武藤此史
SD原画柚木ガオ
シナリオ丘野塔也/魁/白矢たつき/龍岳来/和泉万夜/今科理央

あらすじ

2年生の夏。
彼女たちは誰よりも気まぐれで、誰よりも謎めいていて、そして誰よりも美しかった。

初めての恋。甘酸っぱい思い出。
心残りと共に、夏の日は過ぎ去っていった。

25歳の夏。
気がつけば、サラリーマンになっていた。
空を見上げながら、ふと夢のような日々のことを思い返す。
懐かしむように、かつて学生時代に使っていたスマートフォンを起動する。
メッセージアプリを起動すると、自分自身にメッセージを送ってみる。

「後悔するぞ」

かつての自分に向けた、届くはずのない想い。
しかし、スマホは振動を返した。

「いきなりなんだよ?」

それは、過去の自分自身からのメッセージだった…

 

 

 

評価

 

 

評価おすすめ度
★★★★☆
満足度

 

 

 

作品の紹介

 

 

わたし、後悔、後悔、後悔中~、あなたの後悔なんですか?」とかいう初めてみたときにガチで悪い意味で鳥肌のたった後悔ラップなるものがあるのですが、誰しも後悔していることの1つや2つはあるはずです。

もしあなたが後悔していることをやり直せるとしたらどうしますか?

 

 

今回紹介する「月の彼方で逢いましょう」は、今までの「tone work's」の作品同様、「スクール編」と「アフター編」の二部構成となっております。しかしメーカー過去作とは違いSFちっくな要素が入っていて、方向性を変えてきています。

 

 

公式サイトのストーリーの欄に「もし、未来と過去をスマホで繋げたら、あなたはどんな後悔をやり直す?」と書かれているとおり、本作のテーマは「運命の選択」なのです。そのテーマに則っているのが「灯華・うぐいす・雨音」の3人のルートで、のこりの4人のヒロインはテーマとは関係のないルートになっております。

つまりはシナリオゲーのようなルートもあれば、キャラゲーのようなイチャラブ展開もあり、さらにはメインの3人のルートのテーマ「運命の選択」にたいする答えがそれぞれ違っていて、それがまた賛否をわけているので、非常に好みの分かれそうな作品だといえます。

 

 

ですが、間違いなく絵や音楽のクオリティが高く、(他社の作品とくらべると)ボリュームがおおめで満足感はたかいと思うので、そういった意味ではおすすめできる作品ですね。

 

 

私が所持しているのはパッケージ版です。

 

 

 

攻略情報など

 

 

プレイ時間

全ルートをクリアするまでのプレイ時間は、ボイスをほとんど聞いて46時間ほどでした。最初のエッチシーンまでは8時間ぐらいです。

 

攻略

自力攻略はそこまで難しくはありません。学生時代に小説にどのように向き合うかが、とくに重要な選択肢となっております。

攻略サイトはこちら

 

推奨攻略順

私のプレイ順は『 きらり → 霧子 → 栞菜 → 灯華 → うぐいす → 聖衣良 → 雨音 』でした。

基本的にはお好きな順番で大丈夫ですが、メインのキャラは『 灯華 → うぐいす → 雨音 』の順番のほうがストーリーを理解しやすいでしょう。

 

Hシーン

卑語あり。ピー音あり。アナルモザイクなし。

 

システム

バックログ画面からのシーンジャンプ機能あり。

参考

テキストを太字にしたり縁取ったり影をつけたりする場合は、コンフィグ画面の「フォント変更」というところから行えます。

 

パッチ

なし。

 

 

 

どんな人向け?

 

 

  • シナリオゲーもキャラゲーも好きな人
  • SFちっくな要素がオーケーな人
  • ボリュームのある作品を求めている人
  • 原画・声優・音楽が好みに合った人

 

 

 

感想

私のプレイ順に各ルートの感想を書いていきます。クリアしたのが3~4ヵ月まえなので、記憶が曖昧な部分があります。記載ミスなどがありましたらご報告ください。

なおこの項目では、致命的なネタバレはしていないですが、本編の内容に触れています。

 

 

きらりルート

月ヶ洞 きらり

CV:手塚りょうこ

性経験が豊富で「同じ男と二度寝ない」ことを信条としている、いわゆるビッチなお姉さん。

このルートは、主人公が編集者として人気作家のきらりと関わっていくのですが、仕事柄「世間」とのつながりが描かれていて、学園もののエロゲーにはないような「世界観の横の広がり」を感じました。

また、きらりがわがままかつ自由奔放な性格であるがゆえに、小説家としての強い個性をもっていることや、主人公が振り回される展開へつながっていたので、設定倒れにならなかったのも好印象。

ビッチな性質に関しても、エッチシーンの実用性が高めになっていたことと、主人公が「同じ男とは二度寝ない」の信条を打ち破ったことに活かされていてよかったです。

 

 

霧子ルート

松宮 霧子

CV:猫屋敷舞

人公と同じ出版社につとめる敏腕編集長。35歳というエロゲヒロインとしては年齢が高めの設定。

彼女は結婚適齢期をすぎているため、母の勧めもあって「婚活」パーティに参加することになります。

同時期に出版社にて主人公が「婚活」をテーマにした企画をうちだして、それが霧子との深いつながりになっていく展開は面白かったです。

 

 

栞菜ルート

岬 栞菜

CV:鈴谷まや

ロの少女漫画家

彼女のルートでは主人公が臨時で「漫画部」に配属されることになり、栞菜先生の担当編集になります。

干物女のようなどこかダラけた私生活と、女子校育ちであるがゆえの男性にたいする免疫のなさ、マンガに自分の理想とする世界をえがいていきたいけれども、なかなかそれが読者の反応に結びつかないもどかしさに四苦八苦する様子、そんなところが彼女の可愛らしさにつながっていたと思います。

 

 

灯華ルート

新谷 灯華

CV:風音

まぐれで、突拍子のない行動をおこすことのある主人公の同級生。

ネタバレ(クリックで展開)

灯華ルートでは、最初のほうは奏汰くんは過去の自分との対話が大半をしめていて、灯華との接触をもってからは「増岡隼磨」の手がかりを探すために奔走していたために、深刻なイチャラブ不足に陥っています。この点は、過去のトーンワークス作品が好きな人にとってはマイナスポイントになりそうですね。

かくいう私も終盤までは「微妙だな」と思っていました。

しかし、「知識と経験のある」今の奏汰と、「行動力のある」昔の奏汰、それぞれが協力しあっている関係がよかったですし、灯華は突然「あー」と大声をあげること以外は可愛いヒロインだと思いますし、なによりも読後感がバツグンによかったので、総じてみると好きなルートです。

あとひょっとこフェラ最高!

 

 

うぐいすルート

日紫喜 うぐいす

CV:桜川未央

藝部の先輩で、凛とした佇まいの少女。

評価が割れているうぐいすルートですが、私はプレイ直後は否定的でしたが、今となっては肯定的な立場にいます。その理由は以下に書いておきます。

ネタバレ(クリックで展開)

まずは、うぐいすルートの流れをおさらいしておきましょう。


奏汰は学生時代に、うぐいすに対する想いを綴った小説を書きあげる。そして手痛い失恋をする。それでも諦めずにアタックをし続ける。そうしてうぐいす先輩と結ばれる。そんな人生の紆余曲折が小説家としての道を切り開き、彼女との幸せに溢れた恋人としての時間をすごします。

奏汰の頑張りに影響をうけた賢斗と円もそれぞれの夢をかなえて、各々がまさに順風満帆の生活……かに見えたのですが、ここから急転直下。

実はうぐいすは病気が完治していなかったことが判明し、病室で結婚式をあげて、残された時間を2人で精一杯すごしていきます。

彼女が亡くなってからは、奏汰くんは抜け殻のようになってしまうのですが、聖衣良ちゃんの献身的な支えや、きらりの励ましの言葉の数々に突き動かされ、なんとか立ち直っていく。

……と思いきや、最後には過去改変をして、今までのことが無かったことになり、うぐいすとの幸せを取り戻す。


こんな感じのストーリー展開だったと思います。少し記憶が曖昧になっているので、違ったらすみません。

展開の波がはげしくて振り回されましたし、一番心をうたれたといいますか、正直にいうと泣いたのがこのルートなのですが、それを全て台無しにしてしまうんじゃないかというような最後の展開には辟易としました。

まるで、丁寧に丁寧に並べていったのに完成間近でたおしてしまった『ドミノ倒し』。

……とまぁディスる気まんまんでプレイし終えたのですが、しばらくたってから妙に納得してしまったんですよ。

 

どいういうことかと言うと、本作のテーマは「運命の選択」です。

もうこれは完全に推測でしかないのですが、おそらく大枠のプロット「運命の選択に対する答え」の部分は、灯華・うぐいす・雨音で3パターン決められていたと思うんです。

うぐいすルートに与えられたのは「現在の後悔にたいするやり直し」。その上でライターはあのようなうぐいすルートを作ったと思うので、むしろものすごいと思います。本当にすごいと思う。

過去をなかったことにする選択……というものを扱うならその落差(積み上げてきた時間)を表現し、それでもなお彼女(うぐいす)と幸せになりたかったんだと示すしかなかったのです。

運命を変えるなんていうのは間違いなく大きなエゴなので、その重みを表現しない限りは陳腐なものになってしまいます。

よく「世界を選ぶか、彼女を選ぶか」という究極の二択がありますが、うぐいすルートは「彼女」を選ぶというエゴにあふれた選択を、全力で描いたあまりにも泥臭いストーリーだったのではないかと思うのです。

 

 

聖衣良ルート

倉橋 聖衣良

CV:白月かなめ

人公の遠い親戚にあたる女の子。

メインヒロインかと思いきや、テーマ的にもボリューム的にもサブヒロインみたいな扱いでした^^;

ですが、スクール編では12歳、アフター編では女学生になっているという、いちばん二部構成の恩恵を受けていたヒロインです。

正直ストーリーの起伏はあまりありませんでしたが、聖衣良というヒロインは見た目的にも声優的にもはじめから注目していたこともあり、その可愛さを存分に堪能できたルートだったので、まぁまぁ満足です。

普段の抜きゲーの感想のときみたいに「ロリ状態でのセックスシーンをくれ!」とか語っても仕方ないので、これ以上は口を慎みます。

 

 

雨音ルート

佐倉 雨音

CV:くすはらゆい

二病を患っている、天才ハッカー。

徐々に心を開いてくれて、だんだんと距離を縮めていく描写がサイコーでした。

付き合ってからは「ダーリン」呼びになるのも最高にアドい。はじめて聞いたときには「だだだだだダーリン???」と思わず動揺してしまいましたよ私は。

ネタバレ(クリックで展開)

彼女のルートでも「復讐」という単語がでてきて、「お前もかーい!」と思わずツッコんでしまいました。笑

親との和解のシーンは、鉄の心と言われている私のハートが震えるほどヒートしそうになりました。これはずるい。

「運命の選択」の答え、エンデュミオンの使い方は、このルートが一番好みでしたね。

 

 

 

まとめ

 

 

ココがイマイチ

  • イチャラブゲー的な展開とシナリオゲー的な展開のどちらもあるため、どちらかが好きだという人には合わない可能性がある。有り体にいうとどっちつかず。
  • 同メーカー過去作とは毛色が違うため、同じようなものを求めていると肩透かしになる。
  • 運命の選択にたいする答えに納得のいかない人もいそう。

 

 

ココがおすすめ

  • 欠点で「どっちつかず」と書いたが、逆に言うと誰かしらのルートは好みに合致すると思う。
  • テーマに心惹かれた人には刺さるはず。
  • グラフィックがきれいで印象的な一枚絵が多い。
  • 二部構成による壮大な展開がいい。
  • 音楽がいい。
  • 泣ける

 

 

新しい試みをするのは非常に怖いことだと思いますが、ウケれば万々歳ですね。

あなたも「tone work's」の挑戦的なこの作品、プレイを試みてはいかがでしょうか?

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