エロゲの『選択肢』の意義を考える!

©CRAFTWORK(引用:さよならを教えて)

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エロゲの『選択肢』の意義を考える!

2020年1月21日 古城

 ※アイキャッチ画像は「さよならを教えて ~comment te dire adieu~」です。

 

 

こんばんは。

古城です。

 

 

先日、声優の青葉りんごさんが上記のようなアンケートをされていました。

意外にも「選択肢がほしい」と思っている方は多いようですね。

そこで今回は、あらためて「選択肢」についてお話してみようと思います。

 

 

 

エロゲの選択肢について考えてみる

 

 

エロゲにおけるゲーム性

現在のエロゲの大半は、紙芝居と揶揄されるほどにゲーム性を廃しています。簡易化されたADVゲームのなかでも数少ないゲーム性といえるものが「選択肢」です。

一昔まえは、菅野さん、蛭田さん、TADAさん、田所さんなどなど、「システム面」や「ゲームデザイン」こみで高い評価をされているクリエイターの方々が有名でしたが、今はシナリオだけエッチシーンだけを評価する向きもあるように感じ、また製作者もそちらばかりに注力しているように感じるのが寂しいところですが、とりあえず今回はその数少ないゲーム性である「選択肢」について今一度かんがえてみましょう。

 

 

選択肢の種類

1:ルート分岐する

 → 最近増えてきているタイプで、共通ルートが終わって(もしくは終わる直前に)どのヒロインを選ぶかの選択肢がでてきて、該当ヒロインの個別ルートへと分岐する選択肢です。

2:好感度が上下する

 → 選択肢を選ぶごとに好感度が上下し、共通ルートが終わった時点で一番好感度の高かったヒロインの個別ルートにはいるパターンです。

3:フラグを立てる

 → 後のある特定の選択肢が出現するかしないか、特定のヒロインのルートへ入れるかどうか、特定の展開を見られるかどうか、そうしたフラグ立てをおこなっている選択肢です。

4:CGの差分が見られる

 → かんたんに言うと「中に出す」「外に出す」など、どちらのCGを見るか選べる選択肢です。

5:直後のテキストが変化する

 → 直後のテキストが変化するだけで、ルート分岐やその後の展開には影響しない選択肢です。

6:直後のエピソードが変化する

 → 誰と過ごすか、どこへ行くかなど、直後のエピソードが変化する選択肢です。2番3番4番と合わせて活用されていることが大半です。

7:意味がない

 → なにを選んでも同じ答えになるとくに意味のない選択肢ですが、「意味がない」ことへ「意味を持たせている」場合もあります。


©ぱれっと(出典:もしも明日が晴れならば

 

 

選択肢の持つ意味合い

以前、別の記事にて語ったことではあるのですが、むかしはドラクエなどのRPGでは「主人公の名前を自分で決め、自分で操作する」「主人公を無個性にしている」「グラフィックが簡素なために想像で補う必要がある」などの理由から、『主人公=プレイヤー』だという向きが強くて、主観視点でみやすくなっていたと思います。

それに比べると現在では、主人公に個性があるのは当たり前で、それを傍から眺めるような構図になることが多く、客観もしくは俯瞰視点でみることが多くなっているのではないでしょうか。

いつからか、女の子4人ぐらいがでてきてワイワイしているアニメが流行りだしたのも時代の潮流なのかもしれません。

 

エロゲはというと、主人公にはボイスがついていないことが大半で、一部をのぞいて主人公のグラフィックや立ち絵はなく(あるいは特定のイベントCGでしかお目にかかれないことが多い)、ヒロインは基本は画面まえにいる我々プレイヤーへ向き合いながら会話をしていますし、オートモードを使わない限りは自分でクリックをして読み進めていきます。

これらのことから、わりと貴重な主観的に入っていきやすいコンテンツではないかと思うのです。

そしてその象徴たるものが選択肢です。

 

たとえば「妹のおかげでモテすぎてヤバい。」を例にあげますと、主人公はヒロインからの告白を断らないと他のルートに入ることができない作りになっていまして、


©HULOTTE

自分でその選択をしなければなりません。

これがもし選択肢なしで主人公が告白を断っていたとしたら「なんでそんな返答をするんだ」と憤慨したかもしれませんが、我々は主人公と同じように傷をおって苦しみながら、振る決断をしなければいけないのです。

仮に主観視点でプレイをしていないとしても、客観視点であろうとも俯瞰視点であろうとも、選択肢をえらぶ以上はある種の「共犯関係」となり、同じ業を背負うことになるのです。

 

 

自分で選択してみましょう

「エロゲを読むよりも小説を読んだほうがいい」という声を聞くことがあります。たしかに一理あるのですが、エロゲにはエロゲの良さがあります。それは、これまでに述べたように主観的に関わっていけることや、ルート分岐により様々な展開や恋愛をみることができるということです。

 

しっかりと意味合いが込められた選択肢を用意されている作品もあるので、「この作品の選択肢は考えられてるな」と思ったら、自力で攻略してみることをおすすめします。

最近は、攻略サイトを見ないとプレイできない人も増えています。たしかに攻略サイトは便利ですし、作っている人は凄いなぁと思いますが、エロゲの利点の1つに「主観的に関わっていける」ことがあると思いますので、たまにでもいいので自力攻略してみるのも楽しいと思いますよ?

ちなみに私のサイトでは選択肢にどのくらいの意味合いが込められているかをゲーム性の項目の評価点にいれていて、かつ自力攻略が楽しい作品はそのことについて記載しています。(唐突な自己アピール)(宣伝)(オタク特有の早口)(俊足)(コーナーで差をつけろ)

 

あ……1つ言っておきますが、全然「選択肢」の意味合いを考えられていない作品も多いです!

 

 

選択肢の活用

選択肢の活用パターンについて、すこし触れていきます。この題材だけでも1つの記事が書けそうなので、またいずれ話題にするかもしれません。

 

・鬱

「印象的な選択肢」として挙げる人が多そうなのが「WHITE ALBUM2」の選択肢でしょうか。


©Leaf

1番の「コンサートに行く」という選択肢のテキストが灰色になっていて選べないのですが、べつにフラグ管理関係なくどうあがいても選ぶことのできないダミー選択肢です。

これがもし選択肢もなく主人公が会いにいかなかったのなら「何をしてんだ!」と憤慨することになりそうですが、ここでプレイヤーが選択肢をえらぶ形にすることによってある種の共犯関係となり、のちに我々プレイヤーに傷を与えることになるのです。

存在しているはずの答えを選ぶことができなかった。そんなもどかしさに苦しむことになるのです。

たとえそれが一択だけの選択肢だとしても、自分で能動的にえらばなきゃいけないという意義は大きいはず。

 

・展開に大きく影響

直近の作品でいちばん印象にのこったのが「MUSICUS!」の選択肢です。

音楽とどのように向き合うかの選択肢をえらぶことによって、その後の展開が大きく変わっていく作品なのですが、主人公の視点でみるかもしくは共感しつつプレイしていた人は、ある特定の選択肢を思わず選んでしまい、そして奈落の底に叩き落されるという恐ろしい設計をしていました。

 

・ギャグ

なんだかツライ選択肢の話ばかりしてきましたので、ちょっと話題をかえて面白い選択肢について。

やはり竹井10日さんの作品は選択肢がギャグにまで昇華されていて何を選んでも楽しい。たとえば「秋桜の空に」などを試しにプレイしてみてはどうでしょうか。今の環境でもプレイできるように有志が『C.H.A.O.S.』という互換プログラムを公開しています。

最近だと「暁の護衛」などに代表される衣笠彰梧さんの作品も遊びが多い。

同じ選択肢を何度も選ぶと、メタ的にこっちにツッコんできたりと、選択肢を遊びに使っているのが楽しい。

 

・複雑化

選択肢がたくさんあってとにかく複雑な作品も存在します。

その代表格といえるのが「仏蘭西少女」でしょうか。

エンディング数が48個あって、制作期間が10年、ライターの丸谷秀人さんが設計したシナリオ分岐が複雑な作品なのですが、開発者の一人だった荒縄猫太さんが亡くなられて、おそらくその後に何人もの人が手をかけたためかフラグ構造やらルート分岐やらがめちゃくちゃな状態だったものを三ツ矢新さんがディレクションしてなんとかまとめあげた(これは本当に凄いことだと思います)作品です。

無限分岐」と言われるぐらいに複雑すぎるので、私もかれこれ3~4回はフルコンプを目指してプレイしましたが、未だに到達できていない代物です。

まるで、増改築を繰りかえして家人ですら全貌を把握できなくなった巨大な洋館!

 

・変わり種

選択肢の変わった使いかたをしている作品はそれなりにあるのですが、そのなかでも代表して一作紹介。

こいとれ ~REN-AI TRAINING~」です。このゲームは選択によって「恋愛偏差値」が変動します。それとは別に、ヒロインのフラグ関連の選択肢も存在します。各ヒロインのルートだけでなく「高偏差値(低偏差値)エンド」も存在しています。

マイナーなわけではないですが、今では埋もれはじめている一作かもしれませんね。

 

 

まとめ

ゲームデザインや、ストーリーとシステムを融合させることなどが重視されなくなってきた昨今、今一度「ゲームである」ことの意義を考えてみてもいいのではないでしょうか。

まぁこうつらつらと選択肢について語ってきましたが、もちろん私とて攻略がダルい作品には嫌気がさします。

でもまぁ選択肢を選ぶのが楽しい作品もありますし、自分で選ぶからこそ深く物語に入り込めるんだと言えるでしょうし、気が向いたらでいいので自力攻略するのも楽しいですぜ……てな感じ。

 

 

 

スライムが あらわれた!

 

にげる

こじょうたちは にげだした!

しかし まわりこまれてしまった!

 

にげる

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たたかう

 

 

 

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