8,170文字
宿命にあらがえ。共に、何度でも。
Deep One -ディープワン-(Nameless) | |
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ジャンル ―― 新本格バトルビジュアルノベル | |
発売日 ―― 2018年10月26日 | |
パッケージ版価格 ―― 9,800円(税込10,780円) ダウンロード版価格 ―― 8,000円(税込8,800円) | |
評価
評価 | おすすめ度 |
![]() | ★★★☆☆ |
満足度 | |
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作品の紹介
今回は【Deep One -ディープワン-】をご紹介します。
私のお気に入りの作品であり、炎上騒ぎをおこした問題作でもあります。事情を知りたい方は、ぜひ続きをご覧ください。
たとえ100人を敵に回そうとも、私は本作のことを大好きだと主張します。万札を出して予約買いしたけれど、それで良かったと思っていますよ。
あ、調子に乗りました。ごめんなさい。100人が敵に回ったら、いくらなんでも勝てません。許してください。仲良くしようじゃありませんか。暴力はよくないですよ。暴力は……。

私が所持しているのはパッケージ版です。
どんな人向け?
- イラストに惹かれた人
- 能力バトル作品が好きな人
- 兄妹の絆を描いた作品が好きな人
- 演出力の優れた作品を求めている人
- 主人公以外の男キャラの活躍も見たい人
攻略情報など
プレイ時間
私のプレイ時間は、ボイスをだいたい聞いて 29 時間ほどです。最初のエッチシーンまで 21 時間半ぐらいかかりました。
攻略情報
選択肢はそれなりにあります。もしも選択を間違えるとバッドエンド。しかしバッドエンドには、攻略のヒントコーナーがありますので、自力攻略は容易でしょう。
システム
難易度 | 修正パッチ | バックログジャンプ |
普通 | あり | なし |
備考 | ||
※スペシャルパッチを適用してからプレイしてください。 |
感想
どんなお話?
ディープワンをディープに愛している私でも、全肯定する訳にはいきません。序盤はあまり楽しめなかったんですよ。ゲームを開始すると、主人公が登場するのかと思いきや、女性のボイスが流れはじめて混乱します。
どうやらプロローグは、ヒロインの佑姫カスミの視点で進んでいくらしい。
カスミの前に、髭面のジジイがあらわれます。カスミは、魔法学校を卒業するにあたり、独り立ちするために、恩師であったジジイと戦うようです。
バシバシと派手に画面を動かし、エフェクトで賑やかし、効果音で迫力をつける。「新本格バトルビジュアルノベル」を謳うだけあって、演出力の高さを見せつけてくれました。
もしかしたら、他のプレイヤーは「うおおおお!」とテンションを上げたシーンかもしれません。しかし私は、それどころではありませんでした。
なぜなら、ジジイがキショかったからです。
このジジイは、娘のように可愛がってきた弟子のカスミのことを口説きまくっているんですよ。年の離れた女の子を口説くジジイとか、キモすぎて鳥肌が立ちます。
カスミはカスミで、ジジイに特別な感情を見せている。独占厨である私は、発狂しながらプレイしておりました。おそらく、ここで止めていたら、ディープワンのアンチになって、ネット上で暴れまくるモンスターと化していたでしょう。
………………
…………
……
場面は切り替わり、やっとこさ主人公の斎野尚哉が登場しました。尚哉くんは、妹である斎野九花と2人で暮らしているようです。九花ちゃんの笑顔が眩しすぎますね。私は人生において1度たりとも、ここまでキラキラと輝いている笑顔を見せたことはないぞ。
九花ちゃんは家事が得意で、主人公のお世話を積極的に焼こうとしているヒロインさん。
ジジイに下げさせられたテンションが、徐々に徐々に回復していきました。
ご覧のとおり、主人公たちは平和な日常を歩んでいます。しかし、尚哉くんと九花ちゃんの家系である「斎野家」は、何百年にもわたる複雑な宿命を抱えていました。
主人公たちの知らないところで、斎野家に関わる人間が、それぞれの思惑を持って動いているのです。平和な日常とは反するように、暗い影が迫ってきているのでした。
つまり本作は、お家騒動にまきこまれて、戦わざるを得なくなった主人公が、家族を守るために立ちあがる物語。
炎上した経緯
よく聞くんだ、事情を知らないエロゲーマーたちよ。なぜディープワンが炎上したのか。内容を知ったうえでプレイするならば、評判以上に楽しめる作品ではないかと思うのですよ。ということで、炎上騒ぎについて触れない訳にはいきません。

パッケージイラストをご覧ください。複数のヒロインを攻略できると思うでしょう。
しかし実際は、妹との物語を描いた1ルートだけ。

ゲームをクリアすると、別のヒロインをメインに据えた続編の告知がされます。

エッチシーン回想は、メインヒロインが2枠、サブヒロインも2枠です。サブヒロインは、儀式として必要なエッチシーンとなっており、実用性は度外視されていました。
「―――掛介麻久母畏伎伊邪那岐大神」
などの祝詞を、エッチシーン中に唱えはじめて、血を吐きだす。この展開には、ズボンとパンツを下ろしていた人は発狂したでしょうね。
インタビュー記事やSNSでは、ライターさんが「エッチシーンにも力を入れている」と語っていたので、騙されたと感じた人が多かったのですよ。
ディープワン発売前には、【Fate/stay night】で有名な武内崇さんをはじめとする、エロゲ業界の有名人たちのメッセージが掲載されたため、スカイツリーばりの高さまでハードルが上がってしまいました。高すぎるハードルを超えられなかったのです。
まとめると、本作の炎上理由は以下のとおり。
- 宣伝に力が入っていてハードルが異常に高くなってしまった
- 攻略ヒロインを明言しない騙し討ち分割商法だった
- エッチシーンが少ないうえに薄かった
つまり、これらの事情を考慮したうえでプレイしたならば、もっと評価が上がるんじゃないかと考えています。
そもそも、あれだけ叩かれたのも可笑しいと思うんですよ。フェイトの劣化版のようだと語る人もいますが、解像度が上がって作画コストが跳ねあがっている時代に、プレイ時間にして約30時間のボリュームは凄まじい。
ユーザーを騙すつもりはなかったんじゃないかな。隠されていた続編の情報が公開されることによって、ユーザーが喜ぶだろうと考えていたのではないでしょうか。妹をメインに据えた物語としては、本作にてしっかりと完結していましたから。
当時、ディープワンを擁護していたら、私のことを「サクラ」だとか「業者」だとか「制作スタッフ」だとか言ってきたヤツらのこと、忘れてねぇからな!!!
本作の特徴は?
比奈森沙耶が可愛い
ゲームをプレイしていたら「大和撫子」という言葉にふさわしい、上品な佇まいと丁寧な言葉遣いの、ロリ系のヒロインが登場しました。
しかも、担当声優がくすはらゆいさんなんですよ。くすはらゆいボイスの敬語ヒロインともなれば、私の好みにドンピシャです。
沙耶ちゃんの家系である「比奈森家」は代々、主人公の家系である「斎野家」を護ってきたらしい。こんなに可愛らしルックスのヒロインが、主人公にたいして服従の意思を示したとき、私の脳の回路がバチリと弾けました。
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
その瞬間に私は、まるでオペラ歌手のように反響する叫び声をあげました。近所に生息する野犬が、一斉にけたたましく吠えだしたので、よほど私の声が響いたのでしょう。
まさか、こんなにも好みに合致するヒロインと出会えるとは思いもしませんでしたね。
女性にもおすすめ
- 文示宮 篤
- 朱鷺谷 衆逸
私は基本的には女性キャラクターにしか興味を持ちません。しかし本作は、男性キャラクターの活躍にも胸が踊りました。
先ほど、お家騒動という言葉をつかってストーリーを説明しましたことは覚えていますよね。これが何を意味するのかというと、主人公とは従兄弟であり、仲が良かったはずのキャラクターと、敵対しなくてはならないこともあるのです。
友人キャラが向けてくる、複雑なクソデカい感情とか最高すぎません?
私がエロゲにおいて重視するのは、刺さるシーンがあるのかどうか。その点において本作は、グサグサと心の奥底にまで刺さるシーンが用意されていたんですよね。
もちろん男キャラだけでなく、女キャラの感情にも注目していただきたいのですが。
演出が最強
演出が優れていることは先述したとおりです。
魔法使いの戦闘よりも、剣戟のほうが素晴らしかった。
刀を振って攻撃をしたら、相手がそれを受け止めて反撃に転じてくる。この流れが、すごく分かりやすく表現されていたんですよね。少なくとも 1,000 本以上のエロゲをプレイしている私ですが、近接戦の面白さは、トップクラスじゃないかと思いました。
本作は、ライターさんが以前に同人作品として作っていたものを元にして制作しています。だいたいのシナリオは完成していたため、開発にかけた2年半のほとんどが演出のために使われたんだとか。
テキストはクセが強いかも
2007 年に制作された同人作品を元にしているため、テキストには洗練されている部分と洗練されていない部分がありました。たとえば「極め付きは」を「極めつけなのは」と書いていたり、「畢竟」を「畢竟するに」と書いていたり、少しクドい表現になっていましたね。
しかし、おおきく手を加えたであろう後半は、グイグイと引き込まれていきましたぜ。
スペシャルパッチは、絶対に当ててからプレイしてください。演出が強化されるだけでなく「TIPS=用語集」が追加されます。
たとえば「V1」「犠牲者」「マガツキ」「ヴィクティム」「ウェンティゴ罹患者」という本作特有の用語がありますが、
これらは全部同じ意味の言葉です。
通称だったり、俗称だったり、学術用語だったり、昔の言葉だったり、外国の言葉だったり、同じ意味の単語でも複数用意されているんですよ。ですから「TIPS」を見ながら、しっかりと丁寧に読み進めていくプレイスタイルを推奨しております。
低スペックPCの人は「負荷軽減パッチ」を当ててからプレイしましょうね。
エッチシーンについて
卑語なし。ピー音なし。アナルモザイクなし。
批判されがちな本作のエッチシーンですが、私にはブッ刺さったんですよ。ネタバレ込みで語らせていただきたい。
まずね、フェラシーンは最高だったと主張します。小さいボディで綺麗な顔をしたヒロインが、懸命に奉仕をしてくれるというその姿だけでも最高に尊いものです。
問題はその次のシーン。前述しましたが、本番セックスを始めたかと思ったら、祝詞を唱えはじめて、ヒロインが血を吐いて倒れます。この展開には、勃起力に定評のあるAV男優だろうと、チンコがしなしなになってしまうことは間違いないでしょう。
そのあとも地雷展開でした。ヒロインの沙耶ちゃんは意識を失ったあと、主人公の父親のことを回想するんです。エッチシーンの合間に他の男を出すとか禁忌も禁忌、特大NG案件ですよね。
しかし、この展開がその後に生きてくる。
主人公の一族を護るための「道具」として生まれた沙耶ちゃんは、主人公の父親から息子(=主人公)のことを託されることによって、「人間」として生きることになります。
沙耶ちゃんは、主人公のことを見守ってきた「親」のような「姉」のような「師匠」のような存在です。
そんな沙耶ちゃんが意識をとりもどしたら、尚哉くんが代わりに呪いを引きうけながら、彼女のことを抱いていたのでした。
今までも沙耶ちゃんは尚哉のことを、「仕えるべき主人」として忠義を抱いていたし、「見守るべき子」として愛していました。しかし、このとき初めて異性としての魅力に惹かれて、一人前の男であることを認識するのでした。彼女は目を潤ませながら、震えるような声で愛しい人の名前をよびます。今まで味わったことのない感情が、つぎつぎと胸のなかに去来します。
あくまでも儀式的な性行為であったにもかかわらず、心の底からの幸福をおぼえ、おさえきれないほどの愛情があふれ、経験したことのない快楽につつまれるのです。
画像を見てもらえれば分かると思いますが、このときの沙耶ちゃんの顔が、美の女神=ヴィーナスの彫像のように美しい。
私はこの一連のエッチシーンに感動を覚えました。ですから、エッチシーンが薄い薄いと言われて、叩かれていた当時は胸が痛みましたね。ライターさんは確かに魂を込めて書いていたと思うんですよ。少なくとも、それが私には伝わってきたのですから。
ま、シーン数はマジで少ないと思うけどな。
DeepOne エクストラHシーンエピソード
ネクストンパスポートに作品のシリアルナンバーを登録すると、エッチシーン回想が5枠用意された追加エピソードをダンロードすることができます。プレイ時間は30分ほどでした。サンプル画像の真ん中の下側を見ていただきたいのですが、
ケツを強調した構図が最高で爆発しました。
もしかしたらディープワンはヌキゲーだったのかもしれない。
未使用のシリアルナンバーを用意する必要があるので、新品のパッケージ版を買うか、ダウンロード版を買うことを推奨します。
DeepOne 虚無と夢幻のフラグメント R
【DeepOne】をプレイして、エロやキャラ萌えの不足を感じた人に朗報があります。
【DeepOne】の派生作品であり基本無料のオンラインゲームがございます。サービス開始から5年続いている人気ゲームですね。略称は【とのフラ】です。本編のストーリーとは直接の関係がないので、どちらを先にプレイしても大丈夫なはず。
原画家には、ディープワン本編のイラストレーターである夏彦さんも参加しています。絵を目当てにプレイするのもありでしょう。声優は、最近買い切り型のPCゲームの出演が減っている、遥そらさん、花園めいさん、藤咲ウサさん、小鳥居夕花さんなどが出演しています。エロゲ声優を目当てにプレイするのもおすすめ。
まとめ
ココがイマイチ
- セーブ画面のテキスト編集欄が大きすぎて誤クリックしてしまう
- エッチシーンが少ないし攻略不可のヒロインがいる
- 不愉快なシーンがある
- 処占NG展開
ココがおすすめ
- 男キャラが主人公に向けるクソデカ感情
- グイグイと引き込まれる展開
- オーケストラ収録された音楽
- イラストが美しい
- 魅力的なヒロイン
- 迫力のあるバトル
- 目を見張る演出
私は【DeepOne】が大好きです。寝不足になりながらも読み進めた記憶がありますね。例えストーリー展開の好みが分かれようとも、オーケストラ収録された音楽や、美麗なイラストや、洗練された演出が一級品であることは間違いないでしょう。
色眼鏡で見ずに、興味を持ったのならばプレイしていただければと。テキスト描写に肌が合った人ならば、手に汗握るバトルシーンと、胸を打つ感動シーンを味わえるはず。
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