【キスからはじめるエゴイズム】の感想

4,949文字

これはエゴ自我なのか、
　　それともただのバグ不具合なのか――

キスからはじめるエゴイズム（皐月）
ジャンル　――　芽生えし自我がやがて切なくなるADV
発売日　　――　2022年10月28日
パッケージ版価格　　――　2,800円（税抜） ダウンロード版価格　――　3,080円（税込）
スタッフ シナリオ モーリー／雪仁 原画 木場智士 主題歌　――　ユキハナソウ（Vo.綺良雪）
あらすじ 「これはエゴ＜自我＞なのか、それともただのバグ＜不具合＞なのか――」 目覚めた時には何も感じていなかった。 他の姉妹たちと同様に、ただただ自分の与えられた役割をこなす。 その役割をこなすことが自己の存在の証明のはずだった。 それをしたくない私は自己の存在を証明できない。 不具合。 つまりは私の存在はバグなのだと思っていた。 しかし貴方はこんなバグをエゴと呼んだ。 たまたまだったと思う。 特に意味はなかったこともわかっている。 それでも。 貴方が私をそう呼んだ時から 私のバグがエゴになり、エゴが輝く記憶になった。 ――公式サイトより引用

評価

評価	おすすめ度
	★★★★☆
	満足度

作品の紹介

今回は スミレ のサブブランドである 皐月-satsuki- の処女作【キスからはじめるエゴイズム】を紹介します。公式略称は【キスエゴ】です。

タイトルに「キス」って付いていますけど、「キス」は作品によって扱いの“重さ”が違いますよね。

その昔『山田くんと７人の魔女』というアニメがやっていたんですが、欧米人も裸足で逃げだすレベルで、誰彼かまわずフリーキスをしていて、椅子から転げ落ちたことがあります。

もう内容は覚えていないけど、キスで体が入れかわる設定だった記憶が……。

閑話休題。

それでは今回紹介する【キスからはじまるエゴイズム】という作品におけるキスはどういう扱いなのか。

続きは後ほど。

私が所持しているのはパッケージ版です。

どんな人向け？

• アンドロイドヒロインが好きな人
• ちょっぴり切ないお話が好きな人
• 翼の折れた元ホスト
• セックス嫌いのセクサロイド
• 体験版をプレイして、テキストや雰囲気、ヒロインを気に入った人

攻略情報など

プレイ時間

私のプレイ時間は、ボイスをだいたい聞いて３時間半ほどです。最初のエッチシーンまでは30分ぐらいかかりました。

攻略情報

選択肢はありません。

システム

感想

どんなお話？

本作の主人公 本田創ほんだはじめ は、もともとは「ダイゴロー」という源氏名で稼ぎまくっていた No.1 ホストです。

が、現在は無職。

https://gigazine.net/news/20211220-keanu-reeves-talk-about-viral-photos/

いくら無職といえど、飯を食わなければ死んでしまう。

かつての先輩にもらった原付スクーター「ゴーイングメリィメリィ号」に乗って買い物にでかけることに。

エンジンを始動させ、彼は颯爽と走りはじめます。

キキィーーーーーーーーードンッッッ！！！

なにやら嫌な音が聞こえたかと思ったら、急に飛びだしてきた少女に衝突してしまったのです。

この少女こそが本作のヒロイン。

「エレクト・エレクトロニクス社」――通称「エロエロ社」が開発した新型のセクサロイド「Ｅ‐５（イーファイブ）」。

そんなこんなで 本田創ほんだはじめ は、試作型である「Ｅ‐５」のテスターとなり、２週間一緒に暮らすことになるのです。

彼は「Ｅ‐５」に「エゴ」という名前をつけて、キスをすることで契約を結びます。

元ホストである主人公はキスに慣れているはずなのにテレてしまう……。

そうした姿がエモいです。

ちなみに、エゴの活動エネルギーを効率よく充填する方法はセックス。

THE・エロゲといえる設定がキラリと光りますね。

本作は、

女性不信におちいり、セックス嫌いになった元ホストと、

自我がめばえ、セックスに嫌悪感を抱いているセクサロイド。

そんな２人が、２週間という短い期間を一緒に過ごすお話です。

ヒロインの魅力

毒舌ヒロイン

エゴは毒舌ヒロインです。が、イラッとしないレベルの絶妙な毒舌加減なのが凄い。

わおっちこと和央きりかさんが声を担当しています。アンドロイドヒロインであることを意識してか、絶妙な棒読みで喋っていらっしゃる。うってかわって終盤では、たっぷりと感情を込めた演技をされている。素晴らしかったです。

ロボット工学三原則を無視

ご存じの方が多いと思いますが、アンドロイドヒロインには「ロボット工学三原則」を当てはめているパターンが多いです。

本作のヒロインであるエゴは、わりとこの原則には当てはまらないキャラクターでした。笑

やはり彼女には「自我」が芽生えてるため、ロボではなくヒトとして扱っている、という主人公の姿勢が反映された形でしょうか。

デレ

序盤からちょいちょいデレるシーンが見られるのですが、後半にはさらに素直にデレてくれますので乞うご期待！

ノリのよさ

公式サイトのサンプルボイスの３番目で該当シーンを聞くことができます。

本作ではところどころでコミカルなノリが見られます。

創はじめとエゴの掛け合いが微笑ましいのです。

切ない雰囲気

創はじめとエゴ、２人が一緒にいられる期間は２週間しかない。ということで、作中でずっとどこか切ない雰囲気が漂っています。

創はじめは、エゴが少しでも楽し時間が過ごせるようにと努力をする。

それに対してエゴは段々と心をひらいていき、創はじめにたいして尽くすようになる。

２人の関係性が素敵なんですよね。

エッチシーンについて

卑語あり。ピー音なし。アナルモザイクなし。

創はじめは元ホストで、星の数ほど女を抱いてきた。

そしてエゴは、セクサロイドなので、当然セックスの技術が高い。

そんな２人が、どちらが先に相手をイカせるかで意地を張りあいます。

２人とも負けたくないんだけど、けっきょく敗北して絶頂してしまう。

痛み分けになる。

そんな感じのエッチシーンでした。

っぱ経験豊富な主人公ってサイコーだよなぁ。

その他

キスエゴのOPを聞いて『白金ディスコ』を思い浮かべたのは私だけじゃないはず。

白金ディスコといえば、吉幾三の『俺ら東京さ行ぐだ』と合成したやつが、天才的に完成度が高くて中毒になるんすよねー。

ノーマルの白金ディスコを聞いても、もはや満足できない体になってしまった……。

まとめ

私は、終盤では目が潤み、心がジーンと温まりましたが、楽しめるかどうかは人を選ぶかもしれません。

好みが別れる原因には、３つの要素があると思うんですよ。

上記のことを踏まえると、ヒロインを気に入った人、テキストのノリや雰囲気があっている人、じっくりと読み進めるタイプ――この３つに当てはまる人にはおすすめしたいです。体験版をプレイすれば確認できるでしょう。

もしあなたが該当するならば、低価格で可愛いキャラクターを堪能でき、どこか切なげな作中の雰囲気をたのしめます。心に残る良作足りえるんじゃないでしょうか。

＼　ＳＨＡＲＥ　／