趣旨
「萌え」という昨今は使われなくなってきた言葉。だけどオタクにとっては大事な概念。
そんな「萌え」を、あらゆる角度から究明するコーナーです。
「萌え」って何だ?__イラスト分析編
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前回は、あまりにも遠回しなアプローチになってしまったので、今回は、もう少し直接的に探ろうと思います。
「萌え」の裏側……すなわち「萌えない」を追求することで、真理に近づけるのではないかと考えました。
「萌え」について
いまいち萌えない娘
諸君は「いまいち萌えない娘」をご存知だろうか?
2011年1月に、神戸新聞社がアルバイト求人に以下の広告をだしました。
どうやら、神戸新聞社ではたらく萌え絵に明るくない人が、むりやり萌え要素をとりいれたキャラクターを描いたらしい。そうしたら、上の画像のような「いまいち萌えない」絶妙なキャラクターができあがったようです。
この絵が Pixiv をきっかけにネット上にひろまり、「なぜ萌えないのか」「なにが萌えを阻害しているのか」「そもそも萌えとはなんなのか」という私が今まさにテーマにしている議論が沸きおこります。
そうして「いまいち萌えない娘」を「萌えるように描く」二次創作がふえはじめ、一大ムーブメントが起こったのです。
あなたは、いまいち萌えない娘が、なぜ萌えないのか説明できますか?
私は、
- 不安定な線と、おかしな人体構造
- 単一のカラーで、配色のコントラストが弱い
- どこか不安げな、よくわからない表情をしている
の3つがパッと思い浮かびました。
①不安定な線と、おかしな人体構造は、
たとえば女の子キャラクターには萌えても、犬や猫に萌えることはない。可愛いだとかキュンとすることはあるだろうけど萌えることはない。そう考えると、違和感のある人体構造だと(人間から離れれば離れるほど)萌えから遠ざかってしまうのではないかと考えました。
②単一のカラーで、配色のコントラストが弱いは、
無数に二次元キャラクターは存在しますが、やはりどのキャラクターも埋もれないように、あるいは無個性すぎないように、何かしらの見た目の特徴を持ち合わせています。そういうキャラクター性の主張が弱いんじゃないかと考えました。
③どこか不安げな、よくわからない表情をしているは、
人間には「理解できない」ことに恐怖を感じる性質があるんじゃないかと思っています。たとえば「怒りながら他人を殴っている人」と「笑いながら他人を殴っている人」がいたとしたら、後者のほうが理解しがたく、恐怖を感じるんじゃないかと思うのです。
ちなみにブームのさなか、「いまいち萌えない娘」の「いまいち萌えないという属性」に萌える人が現れはじめました。笑
「学生服」や「ツインテール」や「萌え袖」や「ニーソックス」や「女の子座り」などの記号的な萌えよりも、むしろ萌えというのは概念的なモノなのかもしれません。
余談ですが、2021年現在「いまいち萌えない娘」の10周年記念の絵をあげている人をちらほら見かけました。
いわゆるひとつの萌え要素
「らき☆すた」では、ドジっ子属性を萌え要素にあげていて、「涼宮ハルヒの憂鬱」では、萌えでロリっぽいキャラという表現がでてきます。
なるほどたしかに、「隙のない完璧超人」には萌えづらいですし、「大人のお姉さん」も少し萌えとという概念とはズレている気がします。
そう考えると「萌え」は「可愛い」と似た感情であり、庇護欲や、隙、欠点、ギャップなどなど、「マイナス要素」だったり「弱さ」だったり「不完全性」が絡んでいる可能性があるのですね。
じゃあここで最後に、私の好きなキャラクター(ひと昔前っぽく表現すると『漏れの真実のお嫁さん』)のサンプルCGを紹介します。昨年の最萌キャラクターひよりんこと和泉妃愛です。
「ひよひよ~」という三次元女子が言っていたらぶん殴りたくなるようなセリフも、ひよりんが喋れば可愛い。
やはり現実には無い概念こそが「萌え」なんじゃないかと感じさせてくれる最強のヒロインですのでよしなに。
まとめ
今回は、だいぶ「萌え」について追求できたんじゃないでしょうか。
近づきすぎてしまったので、次に記事を書くときには、もっと遠回しな話題をチョイスしようと思います。笑
今後も「萌え」のなんたるかを求めて 古城 さんの旅はつづくのであった……。